「グラハムさん、絶対わたしのこと一人にしないでくださいね」

 左手でクッションを抱え、右手では私の袖を掴んで。妙に緊張した面持ちをモニターに向けたまま、なまえは視線だけを一瞬ついとこちらへ寄越した。

「それは構わないが、なまえ」
「は、い?」
「そもそも、怖いのなら見なければいいだろう……」

 既に怯えつつもなまえが見ているのは、所謂、心霊番組の類だ。
 怖いもの見たさと言われてしまえばそれまでだが、こうして視聴に付き合うのも今回で三度目。前回、前々回共に、視聴後しばらくは暗がりが怖いだの一人で眠れないだのと言った事態に見舞われていた事を鑑みれば、止めたくもなる。
 けれど、「これは! そんな簡単な問題じゃ、ないんです!!」。右手で私の膝をぺしぺし叩きながらの猛抗議を受けてしまった。では、一体どういう問題だと言うのか……。

「だって私は科学者ですよ! 心霊現象だなんて非科学的なものに屈する訳にはいきません!!」
「(……いや、そんな事はないと思うが)」



スケァリィ・ナイト
word request:「怖いのなら(心霊ビデオなんて)見なければいい」
20111226

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