※現代パロ ※ヒロイン=幼女 ※過保護ライル 「らいる、らいる」 「んー? どうした、なまえ」 「つめ、きって」 「オーライ」 俺がソファで寛いでいるところへ、爪切り片手にとてとてとやってきたなまえを抱き上げて、それからごみ箱を手元に引き寄せる。そうして、その小さな爪を切ってやっていると、ふと、深爪気味の俺の指先を興味深そうに眺めながらなまえが言った。 「らいる、すーごくつめみじかいねー」 自覚はあるし、理由もわかっている。小さくか弱いなまえの肌には、すぐに傷が付くからだ。 いつだったか、少しばかり爪を切り忘れていた所為で、俺はなまえに怪我をさせてしまったことがある。それは、今では傷跡も残っていないような些細な傷だった。それでも、兄さんには滅茶苦茶怒られたし、俺自身、相当落ち込んだ。馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、それこそ、世界の終わりかってくらいに。 そして、それからだ。ついつい爪を切りすぎるようになったのは。 「あー、ほら。爪が長いと危ないだろ?」 深爪にする理由 20110316 |