まとめ8
みんなこの世界は崩壊したと、捨ててしまいました。まだ植物は生きているのに。一輪でも花は咲いてくれたのです。だからわたしは、いつかこの場所にたくさんの花が咲いたらあなたを呼びたいと、今は手も言葉も届かない彼を思うのです。
@j_on_m: いつかあなたが見捨てたこの場所から
喧嘩別れで家を出た。それから母からも俺からも連絡なんか一切取らなかったのに突然家に届いた贈り物。幼児だった頃腹を壊すほど食べた大好きなみかん。食べきれない量のそれに見慣れた字が書かれた手紙。気づけば俺は、週末の新幹線チケットを予約していた。
@0daib0t:幼児、みかん、贈り物
ここに来るのは三回目ね、と貴女が言う。思い出の海岸、二人だけの世界。舞台は整っている。前二回には言えなかった言葉がある。
「結婚してください」
波の音だけが何度も聞こえた。どれくらい経ったか。貴女は、やっと言えたわねと笑った。
@odaidai_bot:【文題】舞台は海で恋愛物語
私が髪を切れないのは、貴方が綺麗と言ってくれたから。もう二度と言ってもらえないの。だから貴方が触って、綺麗だと言って、笑って、キスをしてくれたこの髪を、もう生涯切ることなんて出来ないわ。
@ephemera_odai:私が髪を切れないのは(French Toast)
「わたしの宝物はこれね」
彼女が愛おしげに触れたそれは、お世辞にも綺麗とは言えない。花冠のように見えるが不格好なものだった。
「あの人がね、わたしにくれたものなの」
微笑んだ彼女に釣られもう一度見れば、それは光り輝く王冠であった。
@odai_hurahura: 不格好な花冠
人生は何が起きるか分からないものだ。たった一年前には花の咲くように笑っていた少女が、今はただ依頼の為に人を殺すのだ。始めの頃は泣いていたというのに最近では無表情。強くなってしまったと思う。できれば、あの笑顔の少女でいてほしかったが。
@muro_x: あのとき笑っていた少女はいま
わたし、アメリカに行こうと思うの。そう言ったあなたの黄金色の髪がさらりと風に舞う。その風が通り過ぎてから、わたしは頑張りなさいよと背中を押した。泣き虫で守られてばかりだったあなたの、暖かな木漏れ日に包まれた後ろ姿が頼もしく見えた。
@0daib0t: 木漏れ日、黄金、後姿
参った。まさかプロローグだけでこんなに泣かれるなんて。一大傑作を作ったからと話を始めたはいいものの、息子は序章で泣き疲れたらしく涙の後もそのままに寝入ってしまった。風鈴がチリンと鳴る。そうね。夏はまだこれから。また明日話してあげましょう。
@0daib0t: 風鈴、涙、プロローグ
就職先が決まり、その開放感から部屋の掃除を始めた。数年は触ってなかった棚を片付けると、お気に入りだった宝物を詰めていたおもちゃ箱があった。開ければ一番上に紙切れが一枚。世間知らずの素直で純粋な子どもからのエールに、僕は泣きそうだった。
@0daib0t 就職、素直、おもちゃ箱
君は今生、とても幸せでしたね。辛いと思ったことなど一回もないのでは。大丈夫ですよ、心配なさらないで。君の来世は今生につりあう程の辛さを与えられますから。ふふ、では。君の来世に幸なきことを祈って、いってらっしゃいませ。
@bomb_odai_bot:君の来世に幸なきことを祈って
バケツいっぱいに入ったさくらんぼ。大きく頷いて君は、お湯を中程まで張ったお風呂の中に全部突っ込んだ。それもまぁ止める間もなく。チェリー半身浴って健康によさそうじゃない?と君は言うが、俺には君のやることが理解出来ないよ。
@0daib0t:バケツ、チェリー、半身浴
今日は記念すべき日!盛大なパレードが行われる日!そんな日に数多のバルーンに混じって殺人予告のバルーンが上げられたんだ。ああ!誰なんだ!ここまで面白いことをしてくれるのは!久しぶりに僕を悦ばせる人と出会えそうな予感に胸が踊るよ!
@0daib0t: バルーン、パレード、殺人予告
もうなんの音もしてこない無音の世界。その世界の内側、何も知らない少女がいた。その少女は外界の、たくさんの音があるだろう世界に憧れながらヘッドフォンをかけ、心地良い音楽に包まれる。その場所だけが音のある世界だと知らぬまま。
@odaidai_bot:【三題噺】ヘッドフォン/外/無音
きみは世界崩壊の全ての原因を抱え込んで消えたね。なんとかすると言って、ほんとに何とかしちゃったんだ。僕はきみを探しに行けないけど、定期報告くらい届いているといいな。
「はろー。きみがいないから、今日も世界は平和です」
@utislove:きみがいないから平和です
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