まとめ2



ねぇ先輩見て!と自信作らしい絵を抱えて美術学生である少年が走ってきた。その瞼と手から指先にかけて、紫色の絵の具がついていた。絵の具のついた手で擦ったなとわたしは笑い、少年の瞼を指で撫でた。こんなにも一生懸命な少年の描いた絵は、やはりとても美しい。
@0daib0t:瞼、紫、学生


「また来たの?」
「また来たよ」
「殺してもらえるまで来るよ」
「うん、大丈夫だよ。いつかちゃんと殺すから」
「そう、約束」
「でももうちょっとだけ一緒にいさせてよ」
「いいよ、じゃあその時まで一緒にいるね」
@sizukubot:殺人鬼と自殺志願者


きみは天文学を学んでて、わたしにはきみがしてることがよく分からない。ただでさえ変人の部類なのに加えて少し天然なところがある。だから時々よく分からないことをやる。今日も今日とて。昼食のたまごサンドを届けに来たら、机に突っ伏して寝てる。それだけなら変じゃないけど、何故か近くに砂時計。
砂時計になんの意味があるのか分からないから倒さないようにして起こす。んん、の声とともに背伸びをしたきみはわたしに気づいてふわりと笑った。
「あれ、来てくれたの」
ご飯届けに来たの、と伝えたらさらに笑顔になる。じゃあ食べようと提案したきみに、あれはどうするの、と砂時計を指さす。
きみが不思議そうな顔をしたから、わたしは何か測ってたんじゃないのと訊き返す。そしたら、仮眠のために使ったんだよと。だからわたしは、でも砂時計には時間を測ることは出来ても時間を知らせられないのよ、と告げる。ああそうだったんだね、と笑うきみ。うん、やっぱりわたし、変人なきみが好き。
@0daib0t:砂時計、天文学、たまごサンド


またやり直しかぁ。満月の光を浴びながらわたしはため息。今まで何度も何度もやり直してるのに最善の結果が生まれない。でもわたしは飽きられたりはしない。もう一度、一から再構成して再びの満月の日に最高のエンドをみる。そう決めて、わたしは世界をやり直す。
@0daib0t:再構成する月夜


大陸からずっと離れた所にぽつんと一つだけある離島。そこには骸骨が二体。彼らは狂った精神を持つ『神の国』から思想的に追放された男性と女性だった。何もないところに二人きり。それでも、この『アダムとイブ』は幸せだったのだ。
@0daib0t:骸骨、離島、アダムとイブ


月曜日に現れ、二泊三日で来たと言った幽霊。最初こそ、変なものに取り憑かれてどうしようか危惧したけれど、そいつは意外に良い奴でなかなか楽しい日々を送れた。そして水曜日、オレたちはさよならを言わなかった。変わらぬ挨拶をして笑いあっただけたった。
@0daib0t:水曜日にはさよならを


「あーもーむりきらいー」
幼なじみはそう叫んで机に広げていた、彼女に嫌いと言わしめた物理の本をバサリと閉じる。いつものことなのでやんわり声をかける。
「ほら、ちゃんと勉強しなきゃ」
「あ、見てほら!いわし雲!」
ああこれじゃもう駄目かな。
@0daib0t:物理、きらい、いわし雲


生まれたときから病弱で、それでもここまで生きてこれた。それはとっても幸せで、わたしは世界に愛されてたんだって思ったよ。…そろそろ逝くね。わたしの意志で終わりたいんだ。だから、今までありがとう。さよなら、愛してる世界。
@__oDaibot__:さよなら、愛してる


僕からのプレゼントは魚を模したアクセサリー。君が好きそうなデザインを考えたんだ。対して君からのプレゼントは僕の似顔絵。一生懸命描いたらしいそれは酷く似ていなくて思わずクスリと笑みをこぼした。そしたら彼女もつられて笑っていた。
@0daib0t:似顔絵、魚、アクセサリー


ヘルメットに伊達眼鏡をして身を固める俺…を盾にする友人。おい待ておかしいだろ。
「君が悪ノリするのがいけないんじゃん?」
炊飯器でポップコーン作れそうじゃね?って言い出したのはどこの誰だ!言い出しっぺが何とかしろよこれ!
@0daib0t:炊飯器、ポップコーン、ヘルメット


え、と声が零れた。反射的に視線を追わせた。見間違いではない。真っ赤な傘を持ったその人は、確かに幼なじみだった。小学生の頃から仲が良くていつも二人で遊んでいて…昨年亡くなったはずの。その人は歩みを止めた。そしてゆっくり、振り返る。
@CockRobin_bot:真っ赤な傘が振り返る


わたしの作り出した世界。中途半端なものは要らない。この世界の全ては完璧に完成されたもののみ。これならみんな幸せになれる。完璧に制御された世界で幸せに暮らせる。ああもう完璧じゃないわたしは居られない、なんて素晴らしい程に完璧主義!
@odai_mzekaki:完璧主義な世界


初めての水族館は、わたしを虜にするには十分だった。そこはいつもの世界とは全く違った。見るもの全てが新しく輝いて見えた。だけどそれきり一度も行くことの出来なかった場所。そこに、わたしは来た。今でもここは、きらきら輝いて見えるのだろうか。
@odai_bot01:水族館きらきら


手品を見せてあげるってあなたを誘い出した。
「ここに立っててね」
わたしの言葉に素直に頷いた君に、ワン、ツー、スリー!で魔法をかける。崩れ落ちる君。これでわたしのことを忘れられる。幸せになれる。おやすみなさい。
@bot_yubikiri:ワン、ツー、スリーでおやすみなさい


それは雪降る日の夜のこと。こんこん、とドアが叩かれて出てみれば可愛らしい少女。その状況に疑問符を浮かべまくるわたしにその少女は、はい、と手紙を差し出してきたの。郵便屋さんだったのね、と無理やり納得したわたしは、あれから彼女に会っていない。
@0daib0t:少女、雪降る、郵便屋


春先に転校してきたあなたはいつも楽しそうにしていましたね。誰とでも仲が良くて、何事にも全力投球で、笑顔が絶えませんでした。三ヶ月でまた転校していったあなたは、なんとなく初夏の清々しさのような人だったと、今になって思います。
@kmgr_odai:過ぎ去った初夏の香り


元に戻れるのか?俺のその言葉に苦笑して、オッドアイの元凶となった液体の入っていたボトルを指さす。液体は入ってない。
「折角だから、全部飲んだのさ」
オッドアイを戻すなら、僕の目、抉らなきゃ。笑みをたたえてそいつが取り出したのは、鋏。
@0daib0t:鋏、ボトル、オッドアイ


 

[back]


BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -