まとめ15
いじめの標的になってから、わたしは上手く寝付けなくなった。真夜中に起きては鉄塔の上の秘密の場所で泣いていたの。どうせ苦しく悲しい思いをするのなら、いっそシェイクスピアの悲劇のヒロインでありたかった。それなら愛されもしたでしょうに。
@0daib0t:真夜中、鉄塔、シェイクスピア
わたしはここにいると言えなかったの。だって気づいてもらえなかったら、助けてもらえなかったら、辛くて悲しくてどうしようもなくなってしまうもの。誰かがこの手を掴んでくれるなら、閉じられたままの窓から手を伸ばすのだけれども。
@roubaititle:窓から手を伸ばしたことなんてなかった
目が覚め時計を見れば午前二時。やることもないまま、なんとなく居間へ行く。
「眠れないの?」
声がした方を向けば窓辺で月明かりに照らされ、君が笑っていた。その周りには大きな魚たちが優雅に泳いでいて、幻想的な光景に見惚れてしまっていた。
@odai_mzekaki:眠れない午前二時に魚が部屋を泳ぐ
そんな光だけで大丈夫?君は心配そうに尋ねてくる。弱い光では闇の強さに飲まれて消えてしまう。でも大丈夫なんだよ。この光をくれたのは誰だと思ってるんだい?安心してほしい。僕を救ってくれたこの光は、絶対闇に飲まれはしないから。
@asitanoiro:君がくれた光だ
少年は深海を歩きながら昔の街並みを思い返す。今は深海魚たちの住処になっているビル街は、曾ての賑やかさをそのまま受け継いでいた。むしろ今のほうが賑やかだろうか。いずれにしても自分の愛した街が不変であったことが少年にとって救いであった。
@lemon_no_heart:【三題噺用お題】深海、ビル街、不変
僕は意を決して海の中へ飛び込んだ。僕の探す新しい世界はこの底の底にあるはずだった。飛び込んだ衝撃で作られた気泡に包まれた視界の端に、僕の求めていた世界が写り込んだ。やっと。手を伸ばした瞬間、視界に捉えていた世界は目の前で霧散した。
@bomb_odai_bot:視界の端に世界が見えた
「後悔はない?」
青年は隣で眼下の街を眺める少女に問うた。今から破壊するのは少女の故郷だった。
「好きだからこそ壊すの。わたしがこの手で」
少女は笑う。キラリと輝かせたガーネットの瞳は、今すぐにでも壊したい衝動が秘められていた。
@0daib0t:破壊衝動ガーネット
その店が取り扱っているのは綺麗で美しい宝石たち。その一つ一つに物語があり、それがより一層宝石たちの魅力を引き立てる。みなが捨ててしまった夢や希望を宝石たちを通じて思い出せるその店は、とある通りの路地裏でひっそりと営まれている。
@sousakubot_01:路地裏の宝石店
久しぶりのあいつからの電話は、助けてくれ!の一言だった。どういう事だと問い詰めれば、見知らぬ土地で迷子、おまけにお金もなくなんとか公衆電話見つけてかけたとの事。全く、世話が焼けるにも程がある!
@odaidai_bot:【文題】公衆電話、お金、迷子を使って100字以内に
わたしは寂しかった。苦しくてつらくて泣きそうだった。貴方はわたしが何か悩んでいるに気づいて、何かあったら相談しろよと頭をぽふりと叩いてくれた。それはとても嬉しかったけど、この思いを口に出しても貴方に届かない。貴方はきっと戸惑うだけ。
@odai_amedamabot:寂しいって言ったらあなたはそばにいてくれるの?
魔法使いには一般的な死という概念はない。既に魔法使いは不老である上、死ですら世界が許すなら何度だって蘇る。愚者の世界を守る為に、そうやって生と死の間を巡ってゆく。だからこそ価値観や感覚が愚者とずれてしまうのだが。
※マギカロギア世界観
@0daib0t:魔法使いは永遠を巡る
天国か地獄か。そっとそれを手に取り、深呼吸をする。決めたんだ。もう後戻りは出来ない。覚悟を決めて一息に手に持っていたそれを……口の中に放り込んだ。絶妙な甘さが口の中に広がる。助かった。肩をなでおろし相手へパス。激辛はまだ残っている。
@sousaku_land:ロシアンルーレット
綺麗に管理されたアクアリウムの中を色とりどりの魚が泳ぐ。きらきらとしてまるで宝石が泳いでいるみたい。ああ、わたしが死んでしまったのならこのアクアリウムの中、景観を壊さないような端に埋めてもらえたらどんなに嬉しいだろう。
/水槽、水葬
@IdeaSephirah:お題『すいそう』
その生物室は不思議な空間だ。放課後、それまで学校の一部屋であったことなど忘れてしまうほど全く別の表情を見せる。青い小石に青いライトが当てられた水槽の中、真珠と見まごう小魚たちが待ってましたと舞泳ぐ。僕はこの変化が好きで堪らない。
@0daib0t:青い、小魚、生物室
いつも通り恋がしたい恋人が欲しいと嘆くわたしと、いつも通り愚痴を聞いてくれる優しい君。でもその日は少しだけいつもとは違った。
「わたし、もう一生恋人できないんじゃないかしら」
「……ならさ、今日から俺と恋人な」
「……えっ!?」
@odai_amedamabot:恋人はじめました
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