雨音と君の告白。

6月13日、放課後。梅雨入りを告げた天気予報通り、朝から降っていた雨は結局止むことはなく、下校時刻となった現在も大粒の雨が振り続いていた。そんな空模様に都築は小さく息を吐いて持ってきていた傘を広げた、その時。
「あ!?やべ、まじ?!」
隣で都築と共に帰るために傘を探していた半田が声をあげた。都築が眉をひそめてどうしたんですかと問えば返ってきた答えは。
「傘忘れてきたっぽい」

…………

「ほんとまじでごめん都築」
「そう思うなら今度は忘れてこないよう気を付けてください」
小雨ならともかく本格的に降っている中傘も差さずに歩くわけにもいかないので、結局半田は都築の傘にいれてもらっていた。それなりの大きさの傘ではあるが流石に2人で使うには狭くて、お互いに肩が濡れてしまっていた。それが申し訳なくて先程から何度も謝っては淡々と返される、という会話を続けていた。
「本当にごめんな、最低だよな…」
はぁ、と大きなため息を吐いた半田に、都築はそんなことはないですよと返した後、ふと思い出したように、そう言えば知ってますか?と半田に話かけた。
「雨の日の傘の中って、人の声が一番綺麗に聞こえる状態なんだそうです。せっかく綺麗に聞こえるのに謝罪ばかりなのは、もったいない、ですよ」
都築は一旦そこで言葉を切り、半田としっかりと目を合わせて微笑んだ。
「僕は、半田さんが好きです」
言い切って少しだけ照れ臭そうに目を伏せた都築が愛おしくて、会話が途切れて聞こえてきた、ボツボツと傘に当たる雨音でさえ半田には心地よい音に聞こえていた。
「うん、オレも都築のことが好きだよ」
優しく愛を込めて紡いだその言葉は、雨音に混ざっても消えることはなく、大切で大好きな後輩へと届いたようで、都築がぽつりと、綺麗ですね、と呟いた。

………………
ハッピー半静デー!おめでとう!

タイトル:『一人遊び。』お題botさま


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