×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
主お世話係の様子が異常すぎる


※悪役令嬢ですが攻略対象の様子が異常すぎるパロディ
※こちらは某なろう系作品に出てくる使用人達を見て、これとうらぶでも活かせるのでは?と思い立って出来た管理人の管理人による管理人の為の自己満足作品です。
※内容的に共感出来ないと感じたら、すぐに読むのを止めて引き返して下さい。





政府から呼び出しが掛かり、一日位で戻る予定が気付けば一週間も本丸を空けてしまった今日この頃。
一応、こんのすけには帰りが遅くなる旨を皆に伝える役目とその間の本丸の運営をお願いしたけれど、大丈夫だったかな?

「まあ、悩んでいても仕方がないよね。いざ!懐かしの我が家へ」

と喜び勇んで玄関の扉を開いた筈が、突如として現れた壁で目の前が塞がれてしまっていた。
いや、違う。この程良く鍛え抜かれた胸筋。そして見慣れた上腕。これは…!
恐る恐る顔を上げていく私。
予想は付いていたけれど、案の定そこには、私のお世話係だと周囲に触れ回っているへし切長谷部様が仁王像宜しく突っ立っておられました。

「我が主、今の今まで何処にいらっしゃっていたのですか?」

満面の笑み。と見せかけて全く目が笑っていない。そんな笑顔で尋ねられた私はというと、身体中の冷や汗が吹き出すのを止められずにいた。
心配させたのは悪いと思ってますので、頼むから玄関扉の真ん前で待ち構えているのは止めて頂けないでしょうか。精神衛生上、良くないと思います。
そう口にしようとした矢先、ガッと両肩を長谷部に掴まれてしまった。激しく上下に揺さぶられ、長谷部の顔がまともに見られないのに、鬼気迫る雰囲気だけは身を持って感じる。

「こんなにも長く外出されるという事は!もしや俺の事が嫌いになったんですか?飽きたんですか?他の奴に下げ渡すつもりですかあああああ!?」
「長谷部、落ち着いて。ちょっと政府の人に呼ばれただけだから。そこでの話し合いが長引いただけだから…!」

急な出張と度重なるスケジュールの変更で長期不在となってしまった話から、何故長谷部を捨てる云々という事になるのか。話が飛躍し過ぎだ。
これはあれだ。長谷部がまだ織田信長に所有されていた頃、黒田官兵衛へ拝領された逸話に起因しての事だろう。
長谷部は今だに信長の家臣である黒田家に下げ渡されたとぼやいている程、根に持っているのだ。
だからちょっとした事で不安になってしまうのかもしれない。

「大丈夫。こんなに優秀な長谷部を捨てるなんて事しないから。私を信じて!」

噛んで含めるように長谷部へ語り掛けると、彼は感極まったように目を潤ませて、私の両手をぎゅうっと握り締めてきた。

「主。俺‥‥俺‥‥!この先もずっと、生涯貴女に仕え続けますから!誰かに下げ渡すなどという考えが一欠片も貴女の頭に浮かんでこない程、誠心誠意、貴女に尽くしますからね!!」

いや、そこまでしなくても。
そう思ったけど口にはしなかった。
これ以上、長谷部が不安になるような懸念材料を口走ったら駄目な気がする。本能的に。

「うん。無理のない程度でよろしくね」
「無理なんてありません!俺は貴女の為だけに、この世界に顕現したも同然なのですから!!」

ぐぐぐっと、より一層力が入った長谷部の手と、ギラギラとした紫水晶の瞳を目にして、あ、もうこれ手遅れな奴だと私は痛感した。




back