企画 | ナノ


現在は、自身の城で生活をしていた。
古びた書斎にはかつてキールに、スパルタ教育された魔法書や純血貴族についての資料などがたくさんあった。

「懐かしいな・・・。よくこの本で、頭を叩かれたっけ。」
何気なくとった本には、僕が不正解を生み出すたびに叩かれていた本だった。

「読んだことは、ないんだよなァ・・・。」
パラパラと、思い出深い本のページをめくる。
教授の形式は、キールが読みそれを覚える。と言った物だった。

確か内容は、稀有な一族について書かれていた気がする。
彼は、書き込みは全くする人間ではなかった。
・・・が、一か所だけパラパラとめくった中に、書き込みを見つけた。
とても落ち着いた癖がない字だった。

「血の奇跡・・・?」
ちょうど開いた部分にあった一族の名は、クロスフォード。
資料が古いのか、書かれていた家系図には不可解な部分が多かった。
没年が未来の表記なのだ。

出版年もかかれていないこの本は、もしかすると生前に彼が指輪の呪いで訪れた並行世界を巡り・・・彼の手によって書かれたものなのではと推測した。

「キール」
呼べば、彼のかつての友が現れた。
「この本は、彼が書いたモノか?」
『さようでございます、キング。』
「・・・この一族に会いに行こうと思うのだが、君もくるだろ?」

パチパチと大きな目で自分を見返すキール。
「ただの小旅行さ。1人じゃさみしくてね。」
『承知しました。』

手元にあったネックレスに呪文をかけ、キールに手渡した。

「このネックレスをつけてもらえる?洋服じゃないから、解雇にはならないだろ?」
『その通りですが・・・なにをなさったのです?』
「つけた者が認知できなくなる魔法。まァ、かけた人間には見えるし聞こえるから・・・あんまり需要は低そうなんだが。多分、これ用の魔法だろう。」

キールは頷き、僕の近くに寄ってきた。
「では、行ってみようか。」

指輪に魔力を込めると、黒い炎が溢れた。
何もない空間に手をかざせば、ぽっかり丸い穴が開いた。

・ ・ ・ ・

キールとともに穴をくぐると、禁じられた森だった。
夜、さらに雪が積もり・・・かなり寒い。
保温魔法を自分とキールにかける。

「時代はいつぐらいだと思うね。」
『・・・わかりません。しかし、その資料から行けば未来でしょう。』
「僕も、そう思う。」

きゅっきゅと雪を踏み鳴らしながら、歩を進める。
「・・・生き残りか。彼と同じ、人間嫌いなのだろうか。」
『どうでしょうね。』

すると、かすかに声が聞こえた。



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