付き合って数年もすればお互いの事は大体理解しちゃって、この年齢にもなれば結婚とか子供とかも意識する訳で。
だけど今私の目の前で煙草片手に新聞を読んでいる彼は、一向に行動に移そうとはしなかった。
というより今まで一度だって触れたことはない。

前に何気ない感じで、いいなぁウエディングドレス!とか子供欲しいなぁとか話を振ってみたけど、あーやらへーやら聞いてんのか聞いてないのかわからないような返事ばかりだった。
今だって私の視線にすらスルーかましてやがる。

「……ばーか!」
「いって!てめぇいきなり何しやがる!」

思いきり肩を殴ってやれば、新聞を落としながら彼は私を見た。

「あんたが悪い!」
「は!?」

意味わかんねぇ、と小さく呟いて彼はまた煙草に火をつける。
私はまた殴りそうになるのを堪えて一気に息を吐くと、ソファーからそのままずるずると床に落ちていった。
ほぼ横になっているような状態で彼を見上げて、見てるかはわからない彼にあっかんべーをしてやる。

「何だよさっきから」

ようやく読み終わったのか、新聞を四つ折りにしてテーブルに置くと彼はそのまま私のおでこにキスをして煙草を吸った。

「何でもないわよ」

仰向け状態からぐるりと半回転して、ソファーに肘を付きながら上目遣いに彼を見る。
もう少しで吸い終わりそうだ。

「ふぅー…」
「ん」

灰皿を差し出してやれば頭を撫でながら、彼は煙草の火を消した。
そしてちらっと私を見やって、

「行くぞ」

いきなり意味がわからん。

「どこに」
「買いに行くんだろ、指輪」


リング
(そろそろ良い時期じゃねぇか)
(あんたのそういうとこ好きだわ!)





企画:Coopere に提出


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