in your flavor  



ふわふわ

ふわふわ



暖かくて、優しくて。
心地よいあなたの匂いに包まれて、もう少しだけ…――。









―――





「悪い。起こしたか?」



眠い目を擦って見上げた先には、いつもの黒いジャケットではなく、SeeDの制服を身にまとった彼の姿。
足元には大切な武器とアタッシュケース。



「……もう行っちゃうの?」



時計を確認すると、まだ朝の4時前だ。



「ああ。」



その代わり今日中に帰ってこれそうなんだ、そう言いながらベッドサイドに歩み寄ってきた彼は、完全に覚醒しきれていないわたしの頭を優しく撫でてくれた。



「待ってるね。」
「先に寝てろ。」
「待ってるからね!」
「……分かった。」



渋々同意を示した彼を布団にくるまったままで見上げる。
額に手を当てて溜息、――彼のお決まりのポーズだ。

そんな様子を見てくすくすと笑いながら時計に目をやれば、短針は既に4の数字を指している。集合時間はそろそろのはずだ。

そう思って身体を起こそうとするが、何故か彼に制される。
上半身を再びベッドに沈められたことに首を傾げた。



「まだ眠いんだろ。」
「う゛…。」



……図星。
そりゃあそうよ、良い子はまだ眠っている時間。こんな時間に目を覚ましたこと自体、わたしにとっては奇跡だもん。



「スコール。気を付けてね。」



襲い掛かってくる眠気には逆らえず、仕方がなくそう言うと、縮こまるように布団で丸くなるわたしの頬に手を滑らせるスコール。
そのまま触れるだけの優しいキスをしてくれた。



"いってらっしゃい"の挨拶。
"必ず戻ってくる"の約束。
それを言葉に出す代わりに、口付けを。



柔らかく微笑んでから、彼の姿は扉の向こうに消えた。










時々見せてくれる、その笑顔が好き。
頭を撫でてくれる、その手が好き。
まっすぐ見つめる、その眼が好き。



スコール。
あなたの部屋で、わたしは帰りを待ってるから。

だから帰ったらいっぱいハグハグしよう?
あなたの暖かさを、声を、香りを…一番近くで感じていたいの。










ふわふわ

ふわふわ





あなたの匂いが残る、柔らかい布団に包まれて。

あと少しだけ…――、
おやすみなさい。






(まるであなたの腕の中)

END


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