(お題配布元:確かに恋だった様)
「どう?美味しい?」
「ああ、美味いよ。かなり煮込んだのか?味も染みてるし柔らかいし、ほんとに美味い。特にこれ、酸味が効いてて良いな。」
「やった!ふふ、昨日から鍋にかけてたの。手間かけてみて良かったぁ。」
ティファの料理はいつだって美味い。
だけど彼女は毎回確認してくるんだ。そんなに聞かなくても、どれも美味いのに。
でもいつだったかそれをケット・シーに話したら、
「分かってまへんな〜!好きな人に出す料理はいつでも不安に思うに決まっとりますがな。彼氏の好きな味やら見つけて、もっともっと改良していこ思うのが女心ってもんや。ちなみに『美味しい』言うだけやあきまへんで。ちゃんと具体的に美味しかった部分伝えな女の子は不安になりますさかい。」
と言われた。(他にもいろいろ言われたが、割愛する。)
そういうわけで、料理なんて微塵も分からない俺だけど、出来るだけ神経を研ぎ澄ませて感想を言うようにしている。
すると、確かに彼女は嬉しそうに笑ってくれるんだ。ケット・シーには癪だが…感謝している。
ふと、ティファが何かに気がついたように目を見張った。
「どうかしたか?」
「あの、クラウド…目元、何かついてるよ。」
「ここか…?」
箸を持つ方とは逆の手で自分の目元を触ってみる。
「あっ、違う、違う。ちょっと近づいて。取ってあげるから。」
箸を一旦置くと、カウンターごしの彼女に近づくために少しだけ身を乗り出した。
「あっ、め…目は閉じてね!危ないでしょ!」
至近距離で見つめあったことも数えきれないくらいあるというのに、未だに慣れないらしい。
そんなティファが可愛い。
意地悪で目を閉じまいかとも思ったが、仕方なく閉じてやる。
すぐそばにティファの匂い。
そして。
…俺の頬に柔らかい感触と、可愛いリップ音が耳に入った。
正直こういう展開を待ってました
END