ラブコメB  
(お題配布元:確かに恋だった様)



「指揮官殿〜。」
「んー。」
「お仕事まだ終わらないんですか〜?」
「んー、仕事は終わってる。」
「じゃあ何読んでるのよ〜。」
「んー…本…。」
「もう日が暮れちゃうよー。」
「んー…、もう少しで読み終わるから…。」

仕事の延長線上で読み始めたそれ。最初はさらっと読んで終わるつもりだったのにこれが意外と面白い。
俺はデスクで手元の本に夢中になりながらも、割と適格な返答を返していった。
でも彼女の顔すら見ずに答えているせいか、段々とリノアの声音が拗ねたものへ変わっていくのが分かる。
悪い、リノア。それでも今はただ、この文章から目線をずらすことすら惜しいんだ。

すると突然。椅子に座っていた俺の脚の間から、リノアの顔がひょっこり出てきた。
いつの間にか四つん這いで近づいてきたらしい。
なんてところから顔出してんだ、あんたは。と突っ込む暇もなく、そのまま彼女は徐々に立ちあがる。当然本を読むどころではない。
何をする気かと見守っていると、やがていわゆるお姫様抱っこに近い形で俺の膝に座り込んだ。そしてそのまま顔を俺の首筋に埋める。

「何してるんだ?」
「……そろそろ鳥は巣に帰る時間ですから。」

ぴったりと隙間なく寄り添い、顔をあげないままコンパクトに俺の胸におさまる彼女はまるで、本を読む邪魔にならないようにしている気がした。

「本、読んでもいいのか?」
「うん。」
「抱きしめ返さなくて、いいのか?」
「うん。」
「ありがとう、リノア。」
「ただし、待ってあげるのはあと少しだからね。早く読むこと。」
「了解。」

そうして俺が読書を再開してから、寝息が聞こえたのは2分後のことだった。





どうしようこいつかわいすぎる



END






prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -