遠い未来の話
(by.Irish jig 風さま)





「パパ、ママ…」
目の前には今にも泣きそうな小さな女の子が1人。
スコールとリノアは悩んでいた。

朝、10時5分前。
久しぶりに休暇をもらったスコールはガーデンの案内掲示板前で腕を組みながらリノアを待っていた。
「スコール、おハロー!」
「おはよう、いきなり待ち合わせするなんて言い出してどうしたんだ?」
普段なら休日はリノアが知らぬ間に彼の自室にいて。行こう行こうといろんな場所へ連れ出すので彼は不思議に思い、訊ねたら。「スコールと私たくさんデートってしてるよね。でもよく考えたら、まだ待ち合わせから始めるのってしたことなかったからしてみたかったんだ。」と少し頬を赤らめながらリノアは嬉しそうに話した。思わず頬が緩むのを堪えながら歩いてショッピングモールに着くと彼女は何かを見つけた。
「スコール、ちょっといい?」
手を引かれながらモールの中をどんどんと進み立ち止まると、そこには小さな女の子が1人。今にも泣きそうな顔で立っていた。
「大丈夫?迷子?」
「何故1人でいるんだ?」
同じ目線になって話しかけると少女はとても驚いた顔をした。何歩か後ろに下がって警戒をされてしまったがリノアとにらめっこをするようにこちらをずっと見つめた後、頼れると判断したのかぽつりぽつりと語り始めた。
「今日はねあたしのお誕生日なの。だからパパとママとね、お出かけにきたのにね。2人ともいなくなっちゃったの…。」
はぐれた時の事を思い出したのか唇を噛み締めながら泣くのをぐっと堪える少女。1人になって寂しかったはず。なのにしっかりしているなと感心した。
「今までよく頑張ったね、パパとママ一緒に探してあげる!スコール、いいよね?」
「ああ、きっと両親もさがしてるだろう。行くか」
それから少女の話す特徴に似た両親を探すため、今まで歩いたという道のりを歩き、はぐれてしまったといい場所にまで戻ると。遠くから少女を呼ぶ声が聞こえた。

困ったような表情の小さな女の子。どうしたのか気になって話しかけるとその子は迷子だった。
たくさんの人が歩くショッピングモールは1度親とはぐれるととても怖い場所になる。小さな頃に同じような経験をしたことがあった私はほおっておくなんて出来なくて。スコールと3人はぐれてしまったという場所に向かいながら一緒に辺りを探すけれどなかなか見つけるのは難しかった。
「おい。もしかして、あの人か?」
「スコール見つけたの?」
少女の話す場所に着いてからしばらくするとスコールは少女を抱き上げ、声のしたという方向を見ると2人の男女が寄ってきた。
「ママ〜!パパ〜!」
少女の両親だ。
会えたことにホッとしたらしい少女は今まで我慢していた涙を流しながら両親に飛び付いた。
「ありがとうございます。娘がお世話になりました。」
「いなくなったりしてごめんね」
「ううん、スコールお兄ちゃんとリノアお姉ちゃんがいたから大丈夫だったよ!ありがとう!」
こうして今まで不安そうにしていたのがまるで嘘だったのではないかと思わせる笑顔を見せた少女はお父さん、お母さんと手を繋いで私達の前から去っていった。
「さてと、デートの続きだね」
「そういえばどこかの店は必ず行きたいって昨日言っていたよな、どこだ?」
そしてさりげなくエスコートするようにさしのべられたスコールの手…ではなく腕に抱きついて私達は残りの休暇を楽しんだのでした。




end.








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