LOVE∞ 作品 | ナノ

Reposont
by.macaron なつきさま






「ーーと、いうことに決定したから!よろしくな!」
「勝手に決めるなといつも言ってるだろ」
「だってよー、スコール、全然こっち来てくれねーじゃねーか。俺は可愛い可愛い孫とリノアちゃんとスコールに会いたいんだよ!」
「どうせもう、リノアには話してあるんだろ」
「あったりまえだろ!毎日メールしてるからな!」
「・・・・・・日程を調整してまた連絡する」
「了解〜」




スコールは電話を切り、一つ息を吐いてからカレンダーに目をやる。
3日間の休日、はたして取れるのだろうか・・・いや、なんとしてでも休む。
忙しくてなかなかできなかった家族サービスのチャンスをしっかりつかもう。と、今後の日程調整に全力を尽くす事をスコールは心に誓った。

ガチャリと扉が開いたので振り向くと、リノアが申し訳なさそうに顔を覗かせていた。

「ごめんね、勝手に」
「いや、いいんだ。せっかくの機会だし、家族みんなで楽しもう」
「本当に?すっごく嬉しい!子供たちも喜ぶ!」

リノアは母となった今でも時折少女のように屈託のない笑顔を見せる。
それは子供達に向けられることが大半だが、こうやって自分に見せてくれると、スコールはどうしようもなく愛おしく感じた。

「もう寝たのか?」
「うん、ついさっき」
「悪いな、まかせっきりで」
「ううん、大丈夫」

そう言ってリノアはスコールの腰に手を回すと、頬を摺り寄せてきた。
それに応えるようにスコールもリノアの細い体に腕を絡めた。
少し力を入れて引き寄せると大きく深呼吸。
ああ、癒される。
スコールにとって、どんな休息よりも、こうしてリノアとくっついている時の方が気持ちが安らぐのだ。
帰宅してヤンチャな子供達を抱き上げる時に幸福感、リノアと抱き合う時に安らぎを与えてもらえる。
家族がいれば、自分はいつまでも無敵でられるんじゃないかと錯覚するほどに今が心地よかった。

「んー!充電完了!」
「お疲れ様。一日子供に付きっ切りも大変だよな」
「二人とも可愛いし、わたし、全然大変じゃないよ」

そう言って眉を下げるリノアだったが、ここ最近魔の二歳児と言われる時期に入った長女に少し苦戦している様子が見受けられた。
だから、スコールは旅行中はできる限りのサポートをするとリノアに伝えた。











「らーぐーなーくーん!!!!」
「ああ、愛しい愛しい俺の孫たちよー!」

一体、あんたは何キャラなんだよ。と突っ込みたい衝動を抑え、スコールは子供たちの後ろ姿を見守った。
以前、エルオーネから「ラグナおじさん、スコールにいろいろしてあげられなかった分、孫たちには十分な愛情を注ぎたいんだと思うの。ちょっとうざいけど、好きにさせてあげて」と言われてしまったので、文句が言いにくくなってしまったのだった。

「リノアちゃん、今日は俺が子供たちとめいっっぱい遊ぶから、たまにはスコールとデートでも楽しんでくれよな!」
「ありがとうございます。でも・・・」
「大丈夫よリノア、私も一緒に見るから安心して?」

エルオーネにそう言われてもまだ心配そうな表情を見せるリノアだったが、スコールの「心配だろうが、面倒見させてやってくれ」の一言に眉を寄せながらも頷くのであった。
大はしゃぎの三人を見送り、ほっと息をついたとき、リノアの手があたたかくて大きいものに包まれた。
普段は子供の小さな手を握って歩いているので、久しぶりの感触にリノアの心臓がドキリと跳ねる。

「スコール?」
「ん?」

何か問題でも?と言うかのように肩をすくめるスコールにリノアは少しだけ悔しくなった。
昔は自分がドキドキさせていたし、愛情表現も多くしていた。
けれど、結婚してからというもの、なんだろう・・・余裕ができたとでもいうべきか、前はなかなか言ってくれなかった「愛してる」や「可愛い」
をスコールはごく自然に言ってのけるようになったのだ。
これは勿論嬉しい変化なのだが。


「いろいろ買い物がしたいって言ってたろ?」
「うん、たーくさんあるよ!」



エスタのショッピングモールでは手に入らないものがない。
だが、実際に歩いてみると目に付いてしまうのは子供服ばかり。
そういえば最近、自分の洋服や下着を買っていないな、とリノアは苦笑した。
今日は自分を存分に甘やかそう!そう決め、洋服、靴、化粧品を久しぶりに新調した。
しかし、結局一番購入してしまったのは子供服だった。

「子供のものは買わない約束だったろ?」
「だって、可愛いんだもん」

スコールはため息交じりに、「まあ、気持ちはわかるが」と続けた。
その後、ケーキが美味しいと評判のレストランで少し早めのディナーを済ませ、ラグナが用意してくれていたタワーホテルに足を運んだ。
高層から見る茜色に染まった景色はまた格別で、こんなにのんびり過ごせる休日はったいいつぶりだろうか。

「なんだかドキドキしちゃうね」
「それは、この雰囲気にか?それとも、俺とこれからする事を想像してか?」

急に耳元でスコールの低い声が響き、リノアの肩がビクリと上がった。
一体いつから背後にいたのか・・・・・・
リノアが窓際で景色を眺めている時、スコールはキッチンの冷蔵庫を開けていた。
それが次の瞬間、ふと漏らした言葉に直ぐ傍から反応され、おまけに後ろから抱きしめられていたのだ。

「スコールのえっちぃ」

そう、微かな抗議をするリノアの唇は愛する旦那様に奪われた。
いつもと違う雰囲気に酔わされて、何度も何度も角度を変えては口付ける。
絡まり合う舌が互いの理性を溶かしていくように感じた。
スコールがリノアの背中に手を這わせ、下着のホックに辿り着いた瞬間、室内の電話が鳴り響く。
名残惜しい。
だが、応じないわけにはいかない。
ゆっくりと唇を離すと、リノアは恥ずかしさからか両手で頬を覆ってソファに崩れ落ちるように座り込んでしまった。
スコールが受話器を取ると、想像していたとおり、テンションの高い声が聞こえてきた。

「ーーいや、もう食べた。・・・そうか。じゃあよろしく頼む」
と、スコールは完結に会話を済ませ、受話器を元に戻す。

「ラグナさん?」
「ああ、今から下のレストランで食事をするから一緒にどうかだと。それと、遊園地に行ったらしく、二人ともすごいハイテンションらしい」
「そっか、じゃあ下にいこ?」

リノアはソファから立ち上がろうとしたが、スコールがそれを静止した。

「食事はさっき食べたから断った。それに、今夜はラグナたちの部屋で二人とも泊まると言っているらしい」
「それは流石に悪いよ!」
「大丈夫だろ。どうせ隣の部屋なんだろうから何かあったら直ぐ来るさ」

それでもまだ何か言いたげなリノアをよそに、スコールはキッチンに向かうと、冷蔵庫からボトルを取り出した。

「久しぶりに飲もうか」

未だソファに座って浮かない表情をしていたリノアだが、観念したのか立ち上がりテーブルの前に腰かけた。
スコールはそれを目で追ってから、グラスを置きボトルの蓋を開けてゆっくりと注ぎ込む。
その一連の流れもまたスムーズでかっこよく、リノアは見とれながらも悔しく感じた。

「これ、何のお酒なの?」

グラスに注がれた薄いピンク色の液体の中で、小さい気泡が踊っている。

「ロゼスパークリングだ。きっとリノア好みだと思うぞ」
「うーん、子供達をほっといて、お酒飲んでもいいのかな?」

リノアは目の前のグラスをジッと見つめつつポツリと呟いた。
スコールはそんなリノアの真面目さも好きだったが、母親として気負い過ぎているのではないかと心配になる。

「……俺は母親の顔のリノアも好きだし、素敵だと思う。だが、俺と二人きりの時に見せる女の顔は今でも凄く魅力的に感じる。たまには息抜きしたらどうだ?」

そう言ってスコールは何かつまめる物がないかと席を離れた。


リノアは目の前のグラスを手に取り、一口飲んだ。
すると、ほろ苦いけどフルーティーで甘い香りが口いっぱいに広がる。
なんだか忘れかけていた気持ちが炭酸のように湧き上がって弾けた感覚。

そんなに言うなら…
今の私にできる
精一杯の女の魅力とやらを見せてあげようじゃないか。

リノアは勢いよく立ち上がるとスコールの背中に飛びついた。
そして、潤んだ瞳で見上げ、恥ずかしさと高揚感で顔を赤らめ、口にする。


「ね、スコール…さっきの続き、しよ?」










その二時間後に「りーのーあーちゃーん!!!!泣き止まない!助けてー!」とラグナが泣きついてくるまでは、二人きりの大人の時間。









END



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