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「足元気を付けろよ?暗いんだから」
「……」
「それにしても下水道なのに結構キレイなんだなー、って!ナマエ!そっちじゃなくてこっちだってッ!」
「……」

おかしい、ヒュウが確実におかしい。
先日の牧場でのハーデリア探しの時はほったらかしにしていた癖に
何故だか今日は、それも下水道に入ってからはぴったりとついて離れようとしない。
ほったらかしにされたらされたで寂しいものがあるけれど、こうもひっつかれるのもかえって落ち着かない。
(ていうか今にも口から心臓が出てきそうなんですけど…!)



今私たちはプラズマ団を追ってヒウンシティの下水道を探している。

先ほどタチワキシティでプラズマ団に遭遇した私たちは、それを追ってヒウンシティに来た。
街中を探している時は手分けをして探していたのに、もう下水道しか探す所がないとなったら何故か私が前を歩きヒュウがその後ろをぴったりとついてくるこの状態になってしまった。

別にヒュウと行動するのは嫌ではないのだ。むしろ嬉しい。ポケモンを回復してもらえるし、いいことづくめの筈なのに


どうしてこんなに落ち着かないんだろう。

あまりの居心地の悪さに少し距離を置こうと早歩きになってみるが

「あ、こら!無視して進むなってッ!」
「〜〜っ!」

ったく!しょうがねえな!なんて言いながら手を繋がれて離れた分を引き戻されてしまって、更に今まで後ろにいたヒュウが隣に来てしまい、余計状況が悪化してしまった。

「あ、あああのさあヒュウ?やっぱりここもこんなに広いんだし、手分けして探した方が良いんじゃないかな?さっきみたいに」
「……」

耐えきれずに提案してみるが反応が返ってこない。
隣に来てから見れずにいたヒュウの顔を窺ってみると、不満そうに眉を寄せていた。
ああ、怒らせてしまったかも…。と思ったその時、視線にに気づいたのかヒュウが口を開いた。

「……プラズマ団がいるって確実にわかってる場所で、ナマエをひとりにできるわけないだろ」


心配なんだよ。と、いつもより元気がないような、低い声音で、
まるで何かを後悔しているような苦しそうな表情で言うものだから、
もう私は何も言えなくなってしまった。




(心配だなんてヒュウが自分から言うなんて)
(プラズマ団と一体何があったの)


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