「おっさんじゃリタっちを幸せにはできないから」


だから、ごめんね。


あたしの一世一大の告白の返事がこれだ。何となく分かってはいたがムカついた、思わずおっさんに一発かましてやろうかと考えてなんとか思いとどまった。


「一応聞くけど、あんたじゃあたしを幸せに出来ないって誰が決めたの?」

「誰がというか普通に考えてそうでしょ、リタっちと俺様じゃ歳が離れ過ぎてるしこの心臓じゃ先が分かりきってる、だから」

「だから幸せにできない? ふっ……ざけんじゃないわよ!」

「ちょっ!?」


だめだった、我慢の限界だ。あたしは勢いつけておっさんを押し倒した。


「痛っ……!」

「いい?あたしはあんたと一緒にいる事が幸せなのっ!あんたが隣でいつもみたいに馬鹿やってるだけであたしは幸せなの!あんたじゃあたしを幸せにできない?見当違いもいいとこよっあんたじゃなきゃっ、レイヴンじゃなきゃあたしを幸せになんか出来ないのよっ!!」


よくもまぁ喋る口だと自分でも思う。おっさんはと言えばポカンとだらしなく口を開けて馬乗りになったあたしを見上げていた。バカっぽい。


「リタっち……」

「あたしがアンタを幸せにする!辛い思いたくさんした分これからは幸せになりなさいっ!」


言った、言ってやった。物凄く清々しい気分のはずなのに心臓がバクバク煩くて体と顔が熱い。睨みつける勢いだった視線も何だか居たたまれなくなって間抜け面から急いで外した。


「あははー……やっぱリタっちには敵わないわ」


その言葉と共に、おっさんの襟首を付かんでいた私の両手を大きな手が包んだ。


「こんなに顔赤くしちゃって、俺様愛されてんねぇ」

「っさい、当たり前でしょ……」


外した視線を不自然にならないよう注意して戻せば、いつもの気が抜けるヘラヘラとした笑みを浮かべる顔が目に入る。
心なしか嬉しそうに見えるのは気のせい、じゃなければいいと思う。


「こんな俺だけど、どうかよろしくお願いします」

「っ当然!」


絶対絶対幸せにするから!





2010/12/01
2011/09/04

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