※発売前カウントダウン
まるでお姫様だ――
「……私の顔に何か?」
「いや、お嬢は本当にお姫様みたいだなって思ってね」
目の前にいる少女は白いティーカップを置き不思議そうに首をかしげる。
遠野紗夜はそんな些細な仕草それだけで絵になってしまう、とても美しい少女。
お姫様という表現がこれほどまでにピタリと当てはまる人物は彼女の他知らない。
「ふふっ、私がお姫様なら日生先輩は王子様ですね」
「僕が王子様、ねぇ……」
王子だなんて自分に最も似合わない言葉じゃないだろうか。
思わず笑ってしまいそうになる。
「ねぇお嬢、物語では王子と姫は結ばれるものだよね」
「えぇ、そうですね」
「それじゃあお嬢と僕は?」
「それは……ふふっどうでしょうね?」
「誤魔化されたかぁ」
「そんなことはありませんよ、先の事は誰にもわかりませんもの」
「あはっ。確かにそうだ」
お互い笑いながらすっかり冷めてしまった紅茶を一口飲んだ、そんなある日の午後。
死神と少女発売まであと3日
2011/07/25