※鳥籠ED後
「花ちゃんはさ、ここから逃げ出したいと思う?」
鳥籠の中、羽を奪われ飛び立つことも許されない少女は、鉄格子の隙間から覗く青空をただただ見つめ続けていた。その質問が彼女の耳に届いたのか、少女はゆっくりとした動作で声の主であろう男に視線を向ける。赤、この空間では異色なそれは少女に静かに歩みよる。
「ねぇ、花ちゃん」
愛に慈しみに溢れたその声音に少女はいつだったか、遠い昔かはたまた昨日のことだったか……酷く幸せだった頃を思い出した。
「花ちゃん」
再び問われ少女は静かに微笑み首を左右に振った。
「そっか」
少女の返答に男は笑顔を見せた。
自然と引かれた腕、それに伴って少女の身体は傾き男に抱きしめられる形になる。
「花ちゃん」
少女は抱きしめられたまま視界に赤を映しながら静かに瞳を閉じた。
鳥籠の少女、今なにを思う
2011/07/24