※ネタバレ注意



「紗夜ちゃん」


その呼び方に未だに馴れない自分がいる。
馴れなくてはいけない、あの人と光先輩は違う。
それにもう、あの人はいないのだから……。


「何ですか光先輩」
「俺が帰ってきて迷惑だった?」
「……何故?」
「偽物のアイツの場所を奪ったから」
「元々は光先輩の場所、奪ったという表現はおかしいです」
「うん、でも君にとってはアイツが本物の日生光だったでしょ」
「……」
「それに紗夜ちゃん、アイツの事好きだったんじゃない?」
「……分かりません」
「ならどうして紗夜ちゃんは泣いてるの?」


歪む視界。言われて初めて気付く、自分が泣いていることに。
光先輩は器用に私の涙を拭ってくれる。


「お嬢」


哀しくはない、なのに何故だろうあの人を思うと胸が痛い。





2011/08/04

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