13:美味しい金曜日

「ミツル、起きろ。飯行くぞ」
「う゛ー・・・」

朝方中途半端に寝てしまい、頭がすっきりしない。
ヨシキは目覚ましでしっかり起きれるタイプの人間らしい。僕もあまり朝に弱い訳じゃないんだけど・・・中途半端に寝るのよくない。

「起きないならあの約束破棄な」
「・・・約束?」
「何もしないってやつ。・・・覚えてないなら犯ればよかったな」

眠気なんて何のその。シャキーンって言いながら飛び起きて制服に着替えた。うひょー・・・頭がクラクラする。



本格的な授業が始まるのは次回の授業かららしく、今日は中学校の授業の復習だった。
さすがに習ってることに差があって、高校から入学した僕らからしたら頭が痛い。これがテストにでるって言うんだから、甘くない・・・。

「間々原と柏木は授業どうだった?習ってるとこまでだった?」
「僕は何とか勉強したとこまでは。すっごい不安だけど」

僕の今日のランチはミートボールスパゲティ。委員長はAランチでイッセイはわかめうどんとおにぎりだ。

「あ、あの・・イッセイ平気?」

さっきから天かすをちまちま食べてるだけのイッセイはまさに廃人だった。
く、口から魂抜けるんじゃ・・・。

「かっ柏木も頑張ろうな!」
「そっそうだね!寮帰ったら勉強会しようね!」
「・・・・・うん」

ようやくわかめを食べれるぐらいには回復したらしい。うどんまでの道のりは長い!

「あっそう言えばね、ヨシキと仲直りしたんだよ!」
「高岡くんと仲直りできたんだ。早かったねー」
「・・・仲直り・・したんだ・・・・・」

わかめからネギにテンションダウンした。
な、なんでっ!

「イッセイのおかげだよっ!ありがと!今度何か奢るねっ!」
「そんなことないから・・・はは・・・」
「えっと・・・あっほら、何か希望あるならそれでもいいよっ!」
「・・・何でもいいの?」
「うんっ!何でもいいよ!」
「考えとく」

ネギからうどんにテンションアップした。よかった、なんとか持ち直した。口から魂出てない。

「そう言えばミツルと委員長は今日部活あるの?」
「ある、かな?昨日の夜に佐橋先輩からメールが来てあるようなニュアンスだったから」
「ニュアンス?」

委員長はAランチの唐揚げを租借しながらなんか困り顔だ。

「明日部活来るよな、見せたいプラモデルがあるんだけどって・・・」
「た、確かに部活あるようなニュアンスだね!」
「茶道部はホント自由なんだね」

佐橋先輩らしいメールだ。茶道具じゃなくてプラモデルを見せるのか。

「たぶん今日はとりあえずの顔合わせなんじゃないかな?まだ入部してない人もいるし、今いるだけの茶道部と華道部でダラダラするんだと思うよ」
「えっダラダラするの?」
「それが茶道部の日常だからね」
「よし!僕は頑張ってダラダラするぞ!」

初部活!しくじるわけにはいかないのだ。

「やっぱり自己紹介にはインパクトが・・・」
「そうだよな。ポテチとナタデココじゃパンチが弱いような気も・・・」
「普通にクラスと名前だけでいいんじゃないかな!」

僕らの味噌田楽ときりたんぽって言う案はイッセイがすっごい止めたのでなくなった。委員長のきりたんぽ、お腹がよじれるぐらい面白かったのに。



放課後になるとイッセイはげっそりした顔になってた。近くの席の子達がイッセイにここぞとばかりに群がってる。さすがアイドル、どこ行っても人気者。

「柏木くん顔色悪いけど平気?」
「うん、大丈夫だよ。えーっと・・・小高君だっけ?ありがとう」
「そっそんな!ってか名前覚えてたんだねっ」
「一星くん、無理しないでね?僕と勉強する?わからないとこ教えるよ?」
「尾原に聞いたってわかんねーじゃん。副委員長、俺に聞けよ!」
「ちょっと啓太黙ってよ」
「気持ちだけで充分だよ。勉強は委員長とミツルに見てもらうから」

ぐるりとこちらを見る取り巻きA〜G。僕と委員長はその視線を教科書で回避した。

「町田が教えるなら俺等じゃな・・・」
「委員長頭いいもんね」
「間々原君て頭いいの?」

痛いっ視線が痛い!まさかたった1日でこんなアウェイになるなんて!

「柏木の人気は半端無いな・・・!」
「中学なんてもっと酷かったんだよ・・・女の子が常に周りに」
「高岡くんとか西くんも格好いい言われてたけどここまでじゃないぞ!」
「イッセイみんなに優しいからじゃない?」
「確かに。あの2人と違って誰にでもフレンドリーだよな」

イケメンフラッシュオーラを振り撒くイッセイは1年2組のアイドルだ。男子校でも人気は高かった。さすがイッセイだ。
って言うかあんな住む世界が違うようなイッセイと昨日あんな事したなんて考えたら顔から火が出てしまうっ!れ、冷静に・・冷静に・・・!

「間々原、顔赤いよ?」

僕はもうポーカーはしないと心に誓った。無理無理、僕隠し事できない。
しかし、アレだ。

「「ホント格好いいなあ」」

委員長とハモった。



イッセイと教室で分かれて委員長と茶室へ向かった。イッセイは今日からレギュラーメニューらしくて遅刻したらまずいって走って行った。
茶室には何人かの人がいるけど知った顔はない。佐橋先輩もいないし、委員長の反応を見る限り茶道部はいないらしかった。

「俺たちも荷物置いて待ってよ」
「うん」

少し緊張しながら端に鞄を置く。華道部の人にも挨拶した方がいいよね・・・?

「おはようっ1年生たち!あら、佐橋ちゃんが言ってた新入部員ってこの子たち?」

いきなり扉が開いてテンション高い人が入ってきた。び、びっくりした・・・!

「そーですよ、部長」
「ホント小さいのね!やだもう可愛いっ」
「う゛っうぅー」

顔をぐにぐに揉まれて喋れもしない。委員長も固まってた。

「ゆーちゃんは久しぶりよねっ元気してたあ?」
「んんっ・・・ちょっと、峰せんぱっ、うっ・・やめっ」

峰先輩は僕から離れると委員長に覆い被さった。ち、ちんちん触ってる・・・!
放心しながら見てたら峰先輩はこちらをぐるりと向き直った。ヒィ・・・!逃げようと背を向けたら腰を捕まれて引き寄せられる。

「逃げなくてもいいじゃなあい?」
「あんっ・・うっう゛ー!や、やめっ」
「止めろ」
「ぎゃん!」

峰先輩は変な声を出して僕から離れた。あっ危なかった・・・!

「ちょっと三瀬っ痛いじゃないのよ!」
「お前がそんなんだから茶道部の部員が減るんだろ!」
「そうですよ。自重してください。町田はともかく彼は初めてなんですから」
「那波ちゃんまで冷たいわねえ。いいじゃない、ちんこ触るぐらぐふぅ」
「よくない」

峰先輩が三瀬先輩のパンチで床に沈んだ。

華道部と茶道部で向き合って座る。なんと三瀬先輩は華道部の部長だった。
茶道部から順に挨拶をしていく。

「茶道部部長、3年の峰賢治です!今年も頑張りましょうねっ」
「茶道部2年の那波陽です」
「茶道部2年の佐橋由弘です」
「茶道部に入部いたしました。1年生の町田裕二です」
「さっ茶道部に入部いたしましっました、1年生の間々原充です!」

僕自己紹介嫌いだ。

「今のところこの5人がうちの面子よ。三瀬のとこはー?」
「じゃあうちも順番に。華道部部長、三瀬海斗。今年もよろしくお願いします」
「華道部3年の横田英です」
「華道部3年の鈴木祐輔です」
「華道部2年の睦月崇夫です」
「華道部2年の金杖優です」
「華道部に入部いたしました。1年生の松井蓮です」
「華道部に入部いたしました。1年生の斉藤直樹です」
「華道部に入部いたしました。1年生の吉崎泰親です」
「華道部は現在8名、よろしくお願いします」

似たり寄ったりな人数だ。なんだかじろじろ見られてる気がして恥ずかしい。そして正座がおもったよりキツい・・・!

「まっ堅苦しいことは終わりにしてお菓子でも食べながら交流しましょ!横チンっお菓子とって!」
「峰、できればその変なあだ名は」
「横チン、お茶も」
「鈴木まで?!」

一気に賑やかになってきて委員長の真似して茶道で使うお茶碗みたいな、茶器?をみんなに配る。これ使うのかって委員長が聞いたらエコとか言ってた。

「さっ好きな飲み物とお菓子をどーぞっ」
「懇親会を始めます」

懇親会と言う名のダラダラした会が始まった。

「町田、佐藤は?茶道部に入らなかったの?」
「佐藤と吉田はロボット工学に行っちゃったからさ」
「うちの林もロボット工学行くっつってた!人気だよなあ」

華道部の松井君は委員長と仲が良いらしくさっそく盛り上がってた。隣に座ってた吉崎君は先輩に捕まってるし、でっ出遅れた!

「ねえ、間々原君だっけ?」
「はい!」

確か斉藤直樹くん。すらっとしてて顔が小さい、綺麗な子。

「もしかして高岡君と知り合い?」
「はい!ヨシキはルームメイトで、お世話になってます」

僕もしかしなくても語彙が貧弱かもしんない。

「そうなんだ。僕も高岡君と仲良くてね、去年ルームメイトだったんだ」
「そ、そうなんだ!僕はこの学校高校からだから。これからよろしくお願いします!」
「うん。仲良くしてね」

斉藤直樹君かあ!お友達また増えたなあ!

「間々原っ!ポテチがあるよ!」
「食べるっ!はっ!食べて良いですか!」

那波先輩にいいよと言われたのでポテチの袋を開けた。やったねっのりしお!

「斉藤君も食べよっ!のりしおだよ!」
「うん。食べる」



「ヨシキ君はこんなちんちくりんのどこがいいわけ?」



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