猛禽類の瞳に睨まれて

Present for ALL.



もうやめてと3度ほど言ってみたが何も効果はなかった。
正確にはより一層攻撃が激しくなった。

「ははっ小せぇちんこ!」
「女子憧れのオサレ男子、早川タイチくんは短小包茎パイパン野郎でしたー!」
「そんなちんこで彼女満足してんの?」
「入ってるのかわからなかったわ!」
「きもっ!ヤバいわー!」

放課後の教室、自分の周りにモテない男共が集まって俺を罵る。
自分の周りをぐるりと囲まれ、背中はロッカーに押し付けて。
みっともないオナニーショーに励む。
制服のズボンとパンツを下までおろし、シャツを咥えてケツまで丸出し、それからコンプレックスである陰毛が薄くて、子供みたいな小さなちんこを一生懸命擦る。
目の前の男子が動画を撮り、情けない顔してオナニーする俺を全員で馬鹿にする。
なんだって、俺がこんな目にあうんだ。

「あれあれ?泣いたら嫌だよ?」

そう言いながら髪を掴むクラスメイト。
おそらく今回の主犯である。
少し怖い顔した、瀧レイジ。
2週間前に彼女にフラれた、今の俺より情けない男。
早川くんの方が好きだって彼女に言われてフラれた可哀想な男。
俺に告白してきた彼女は俺にお手柔らかにフラれ、その機を逃してなるものかとよりを戻してほしいと伝えた男、俺にお手柔らかにフラれた彼女に手酷く拒否された男。
そしてこの情けない俺の、好きな人。

「早く射精しろー」
「包茎で射精するとどうなんの?出てくんの?」
「俺包茎じゃないからわかんね」
「なに、ズル剥けなの?」
「早川よりは確実に剥けてるかなー」
「誰だってそうじゃん?」
「かわいそー」

笑いのネタにされ、瀧くんに笑われるたびに萎える。
そうするとそれに気付いた誰かに蹴られる。
小さいちんこを揺らしながら転ければ大爆笑を誘い、さらに惨めになった。
毎日鏡の前で1時間かけてセットする髪も、みんな同じの制服の着方を少し変えてオシャレを演出するのも、全部瀧くんに見てもらいたいからなのに。

「あさみも馬鹿だなー。なんでこんなやつのが俺より好きなんだろ」
「瀧が巨根過ぎて嫌だったんじゃない?」
「そうだな。こんな小さいちんこ選ぶ理由はそれぐらいしか浮かばないわ」
「マジ判断基準ちんことか、お前らあさみのことなんだと思ってんだよ」
「だってお前と早川比べたところでって話だよ」

笑いながら瀧くんを褒めるモテない男共。
俺だってそう思うよ。
俺なんかより絶対瀧くんのがかっこいい。
ちんこだって絶対俺みたいにみっともなくない。
ボコスカ殴られて全身軋むのに、無理矢理起き上がって、みんなの馬鹿にする声をBGMにオナニー。
早く終われと思えば思うほど射精が遠のき、皮の中でにちゃにちゃと先走りが音を立てる。
その音が聞こえないように弄ると、刺激が足りなくてさらに射精が遠のいていく。

「ダメだわ、コイツ。短小包茎ちんこだから使い物になんねーみたい」

その声にビクりと身体が跳ねる。
また、殴られる。
どうしよう。
もう立ち上がれなくなるかもしれない。
ガタガタと身体が震え、さらにちんこが小さくなる。

「マジかよ、クソつまんねーな」
「コイツの射精動画、あさみに送ってやろうと思ってたのに」
「この写メだけで十分なんじゃね?」
「つーかマジでやんのかよ。ドン引きされんじゃねーの?」
「確かに。もれなく瀧も嫌われると思うよ」

今更気付いたんだ。
簡単に考え付くことなのに、彼は馬鹿だったんだな。
こんなことされても好きってほど、俺は彼のことが好きではなかった。
だからこの瞬間、いとも簡単に恋心が砕けてなくなり、彼に蹴り飛ばされた俺のように軽くどこかに吹き飛んだ。

「あーあ、時間無駄にした」
「なんか食いに行こうぜー!」
「マックは?グラコロ食べた?俺まだ食べてないから食いたいんだけど」
「いいな、グラコロ!俺も行く!」
「俺パス。この後用事あるから」
「マジかよ!今度絶対な!」
「おー」

下半身丸出しで吹き飛んだ俺のことなんて忘れたようにみんないなくなる。
ぐずりと鼻をすすり、目に溜まる涙を拭った。
惨めだった。
誰も助けてはくれないから、意地で自分で身体を起こし、足首に引っかかるズボンとパンツを手に取る。

「ダメだよ。まだイってないじゃん」

引き上げたズボンとパンツが奪い去られた。
恐る恐る顔を上げると、いつも瀧くんと一緒にいるモテない男Cがいた。
中途半端に長い髪が陰湿な十和田くん。
長い前髪の隙間から覗く目はギラリと光り、猛禽類を彷彿とさせる。

「ね、見て」
「え?」
「この時イキそうだったっしょ?太もも震えてるし、腰つき出してる」

目の前で流れる俺のオナニームービー。

「や、やだ。消して。お願い」
「だーめ」
「お願い。お願いします。そんなの、ばら撒かれたら、俺」
「ばら撒きはしないよ」

ニヤリと笑った十和田くん。
きっとこれから俺は脅されて、貶されて、ゴミのように扱われるのだと直感する。

「俺のズリネタにすんの」

・・・は?
ズリネタ?

「ポカンとしてんね?わかんないわけじゃないでしょ?」
「ズ、ズリネタって」
「俺のオナニーのオカズにするの。嘘じゃないよ?本当に。俺はね、早川のお仲間だよ」
「え」
「驚きすぎでしょ、好きな男に勝手な理由で恨まれて、暴力に強制オナニーしてる情けない早川くん」

その言葉に顔が真っ赤になる。
どうして、どうして、俺が瀧くんを好きだったの知っているんだろう。
俺はそんなにあからさまに瀧くんを好きだと表情に出していたんだろうか。
俺は何か余計なことを言ってしまったんだろうか。

「ち、違う」
「違わない」

ピシャリと放たれた言葉にぐっと歯をくいしばる。
ギラリと光る目に射殺されるので早いかと思った。

「本当はね、瀧を殴ってでも止めようと思ったんだけどさ、早川にオナニーさせるっていうから黙っちゃった」
「・・・止めてくれたら、よかったのに」
「だって早川のオナニー見たかったんだよね。おかげでその小さいちんこも見れたし?」

ニヤニヤと笑われながら小さいちんこを見られる。
恥ずかしくて、今更だとは思ったけど手で隠した。

「情けない顔。いつもの元気はどうしたの?やっぱり瀧にあんなことされると辛かった?まぁ好きなんだもんね?」
「・・・もう好きじゃない」
「本気?ソレ」
「うん。もう、いい」

またじわりと涙が滲んだ。
こんな恋の終わり方ってない。
悲しくて恥ずかしくて惨めでこの先真っ暗。

「じゃあ尚更早川のオナニームービー消せないなぁ」
「な、なんでっ」
「そういえばコレ、瀧のこと考えてオナってたの?」
「消して、お願いだからっ」
「じゃあさ、もう好きじゃなくなったんだから、瀧のこと考えないでオナってよ。欲求に負けて扱いてる感じでさ。せっかく教室なんだし、自分の席でやる?」
話が、通じない。
ニヤニヤ笑いながら、訳が分からない提案ばかりしてくる。
ピロリン、と間抜けな音がなり、撮影会が再開されたことに身体が冷える。
嫌だと訴える俺の意思は十和田くんに握り潰される。

「じゃ、やってみよっか?」

十和田くんに引っ張られ、自分の席に座らされる。
前を向いたら見えないと無理矢理横を向かされ、両足を机の上に乗せられる。
小さいちんこどころか、お尻の穴まで十和田くんに丸見え。
十和田くんはとても楽しそうに俺の前に椅子を寄せて座った。

「早川のちんこ小さいから、タマが大きく見えるね」
「や、やだ」
「早くして。瀧のときはできたんだから、俺の時はできないとか許さないから」

ね?って笑いながら俺のタマを撫でる。
きっと、やらなかったら、タマを潰される。
俺は怖くて縮み、さらに小さくなったちんこに手を伸ばす。

「ちん毛ないっていいね。そーゆー性癖はなかったけど、小さくもない男の股間がツルツルなのはいいわ」

そう言われて顔が真っ赤になる。
別に自分で剃ったとか、そんなんじゃない。
一応薄いけど生えてるんだ。
「あ、そう言えばさ、早川はアナル弄んないの?」

その言葉に俺は過剰に反応してしまった。

「ははっ、やっぱり?」
「ち、違う。やらないっ」
「だからちんこじゃイけないの?物足りないの?」
「そんなんじゃない!」
「ねぇ、いつもみたいにヤってよ」

有無を言わさない猛禽類の目。
十和田くんは、怖い。

「お願い、許して」
「何を?早川は俺に何もしてないでしょ?」
「嫌だ。やりたくない」
「瀧のときはできたんだから、早くしてよ」

目で殺されるかと思うほど、十和田くんの目は冷たかった。
痛いほど突き刺さるその視線に耐えられない。
俺はゆっくりと自分の指を舐め、アナルに指を当てる。
唾液が乾かないうちに指を押し込み、指を動かしていく。
片手はちんこに持って行き扱く。
やり慣れた行為にちんこが硬くなり、十和田くんも喋らないから目を瞑れば現状を忘れられる。
このまま、早く終わらせて解放してもらおう。
あのムービーはばら撒かないって言ってた。
十和田くんのオカズにされるぐらい、ばら撒かれることに比べたらなんてことない。
指を二本に増やして、さっきよりも性急に動かしていく。
足が震え、息が上がる。
下腹部に力が入り、足先が突っ張る。

「ふ、うっ・・・イく、イくっ」
「うん」
「っ、うぅっん!」

ぎゅうっとアナルに入る指を締め付けて射精した。
ちんこの先からダラダラと精液が溢れる。

「ちゃんと、瀧のこと考えずにイけた?」
「へ?」
「オカズに瀧を使ったのかなって」
「使ってない」
「本当かなぁ」
「あ゛あ゛ぁ!!!いだっいだいっ痛っ!」

ちんこの皮を無理矢理引き降ろされる。
精液で汚れた亀頭が露出し、その先を十和田くんが指先で撫で回す。
敏感な部分への刺激に勝手に腰が跳ねる。

「ああぁっ!やだぁぁっひぃっい゛ぃぃっ!」
「そんなに気持ちいいの?」
「やめ、で!とわ、だくんっちんこ、壊れるっかりゃっ!あ゛ー・・・!」
「あは、剥けたね」
「い゛ぎい゛ぃぃ!ちんこっしゅらなっあっひいいいぃ!!!」

十和田くんの手が容赦なく俺のちんこを刺激する。
敏感すぎる亀頭を重点的に、手のひらでぐるぐると刺激してくる。
不自由な身体を捩らせると間に十和田くんが入ってきて、何度も何度も亀頭をこね回す。
全身がガタガタ震え、ちんこは痛みに震えて腫れ上がる。
ぼろぼろ涙が溢れて十和田くんのジャケットに吸い込まれる。
ようやく解放してもらえた時には全身に汗をかいていた。

「早川ってさ、男とヤったことある?」
「・・・なんで、言わないといけないの」
「答えてよ」
「いや」
「ふーん?」

机に乗ったままの足を降ろそうと思ったけどうまく足が動かない。
早く服を着て早く帰りたい。

「痛かったら、泣いてもいいよ」
「へ?」
「でもあんまり声は出さないでね」
「ちょっ、嫌だ!うそ、嘘っ!」
「シー」
「あ゛!あ゛あ゛ぁ!!!」

嫌でも見える。
十和田くんのちんこが、俺の中に入った。
こみ上げる吐き気に口を押さえ、痛みにぼろぼろと涙が溢れる。

「ふ、ふー、うぅっ」
「あはは、やっぱ処女?」
「ぬ、抜いてっ嫌っ」
「脱処女おめでとー」
「う゛ぎっひ!」

十和田くんは俺の足を持って身体を押し込んできた。
壁に預けた背中が痛い。
それよりも無理矢理ちんこを押し込まれたアナルが痛い。
焼けるような痛みに涙が止まらない。

「可愛いー」
「やらっやだぁ」
「ね、瀧なんてあさみちゃんしか見てない馬鹿やめてさ、俺にしようよ」
「嫌だっ嫌っ」
「そんなに拒否されると悲しいなぁ」
「い゛!」

悲しいなんて顔は全然してなかった。
より一層激しくなる動きに振り回されて何も考えられない。
どこもかしこも痛くて、こんなのが初めてだなんて最悪だった。
もしいつか、俺にも彼氏ができたらって、そんな夢見て、その時まで処女も童貞も大切にしようと思ってたのに。
女々しいかもしれないけど、初めては好きな人とがよかった。

「やべ、もう出るわ」
「痛いっ痛いっ」
「っ、は」
「ひぃっ」

奥が熱い。
あぁ、そうか。
中出ししたんだ。

「あー、気持ちよかったわ」
「う゛ぅっ」
「これで早川は中古だね」
「そんな、そんな」

ふさがらないアナルから十和田くんの精液が溢れる。
十和田くんはその瞬間をムービーに収めて笑っていた。
ショックで固まる俺の代わりに後始末をして、ズボンとパンツを履かせる。
腫れ上がる亀頭にパンツが擦れて、痛くてたまらない。

「オナニームービーと処女ごちそうさま」
「最低」
「ねぇ、滝好きじゃないんなら俺にしてよ」
「嫌だよ」
「滝の言うことは大人しくきいたくせに、俺の言うことは聞きたくないんだ?」

当たり前じゃないか。
こんなことされて、どうやって好きになったらいいのかわからない。

「許してよ。早川のこと好きなんだもん」
「よくそんなこと言えるね」
「嘘じゃないよ?そうでもなかったら別に早川のオナニームービーいらないでしょ?」
「そんなの、わかんない」

鞄を手にゆっくりと立ち上がる。
股関節が軋んでうまく歩けない。

「じゃあさ、このオナニームービー誰にも見せないから、俺と付き合ってよ」
「・・・そもそも、ばら撒く気は無かったんでしょ」
「瀧がさ、面白かったからくれって言ってるんだよね」

ほら、と見せられた画面。
グループラインには瀧くんからの催促が並んでいて、他の連中もくれと言っていた。
何に使うかなんてわからない。
でも十和田くんの返事次第でどうにかなるのは明白だった。

「ムービーも写真も俺しか撮ってないからさ。まぁ俺はばら撒かないけど、他はどうだろうね」
「お、送らないで。お願い」
「じゃあ付き合ってよ」
「わかった!わかったから!お願いだからっ」
「そ?じゃあ今日がお付き合い記念日だね」

十和田くんは満足そうに笑い、グループラインには『そんなのもう消した』って返事をした。
俺はもう、十和田くんが俺に飽きるまで、好きな人と付き合うことすら叶わなくなった。

「じゃあ一緒に帰ろうか」
「うん」

十和田くんに手を引かれて歩き始める。
でもうまく歩けないし、亀頭がパンツに擦れてがくりと腰が抜けた。
めんどくさいと殴られるのではないかと焦って上を向く。
十和田くんは鋭い目をして俺を見ていた。

「何?歩けないの?」
「ごめん。ごめんなさい。ちゃんと、ちゃんと歩くから」
「仕方ないなー」
「ひっ!」

十和田くんは俺の鞄を取り上げて、無理矢理俺を立たせる。
そしてそのまま器用に俺を背負った。

「うーん。やっぱ女とは違うから重いな」
「あっ歩くから!」
「いいよ。疲れたら歩いてもらうけど」
「お、重いからっ」
「それは男だから仕方ないって」

こんなことをさせては後が怖いからだとは言えない。
でも無理矢理降りようと暴れたらまた何かされるかもしれない。

「早川はさ、今俺が大嫌いじゃん?きっと最低のとこに俺がいるじゃん」
「な、何」
「でも最低のとこにいたら、これから先好きになる以外はないよね」

十和田くんは声を噛み殺して笑う。

「俺ね、彼氏にはちょー優しいから。きっと早川は俺が好きになるよ」

十和田くんの目はやっぱり猛禽類の目をしていて、やっぱり俺は逃げられないと思った。

「・・・とりあえず、髪切ったら好感度が上がるかも」
「えー・・・俺目つき悪いから目が見えるの嫌だよ」
「すでに優しくないじゃん。嘘吐き」
「早川って意外に我儘だし、結構文句言うよね」
「十和田くんのこと好きじゃないからね」
「ムカつく」
「あっやだやだ!やっ揺すらないでっちんこがぁ!ひっひぃん!」




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