Monopoly

小指と小指を絡めて約束をする。

「将来は僕のお嫁さんになってね」
「うん!」

そう、その時は笑顔で笑っていたと思う。
幼稚園の教室の隅、おもちゃ箱の横。
小さな俺たちはさらに身体を小さくしてこっそりと約束をした。
でもその時にはホモだとか結婚がなんだとか知らなかった。
だからそれは他愛もない約束だったわけだ。
今となってはその約束をした彼すらもを覚えてもいない。
それぐらいの記憶だ。
その記憶も夢として、つい昨日見たから思い出した。
でも昼になる頃には大方ぼやけていてよく思い出せなくなっていた。
絡めた指だけが頭に残っている。

「タツヤ、昼行こうよ」
「おー」

いつの間にか授業は終わっていたらしく、俺は閑散とした教室に取り残されていた。
夏休み中の課外授業だけあってただでさえ教室にいる人はまばらだったが、俺は自分が取り残されていることにも気付かない程上の空だったらしい。
チトセが声をかけなければまだぼーっとしていたかもしれない。
鞄にテキストを詰め込み、チトセと一緒に用がなくなった教室を後にする。

「何食おうかなー」
「俺は日替わりかな」
「日替わりかー。俺は今月金厳しいからうどんにでもするかな」
「何かあるの?」
「今月、サオリの誕生日」
「あぁ」

大学に入学して間も無く付き合いはじめた彼女。
付き合いはじめてまだ半年にもならないが、それなりにラブラブで過ごしている。
旅行もしたし、残りの夏休み中にプールも行く予定だ。
夏休み中の課外授業なんて取らなければもう少し遊べたかもしれないが、簡単に単位がもらえる授業はとっておきたい。
実家からの通学だし、帰省する田舎もない。

「この後どうするの?」
「バイトもないし、サオリはヨーコたちと遊ぶって言ってたし、帰るかな」
「そっか。っていうか彼女以外に遊ぶ人いないわけ?」
「タダシもショータもナツキも実家に帰ってんじゃん。残ってんのは俺とお前だけ」

チトセも実家通いだから夏休み中の課外授業を取っている。
多分俺と同じでヒマなんだ。

「あ、どうでもいいんだけどさ」
「どうでもいいんだ」
「まぁな。夢の話なんだけど、昔のこと思い出してさ」
「へー」
「男と男で指切りしてんの。将来は僕のお嫁さんになってねって」
「誰と?」
「それがなー、イマイチ思い出せなくて」

うどんをずるずるとかきこみながらぼんやりとした記憶を話す。
チトセは適当に相槌を打ちながら俺の話を聞き、興味なさそうに日替わり定食のから揚げを食べた。

「なーんでこんな夢みたんだろ」
「さぁ?罪悪感?」
「そらねぇわ。子供の時のことだもんよ」
「そっかー」

つるんとうどんを喉に滑らせつゆを飲む。
そこから話題はサオリの誕生日プレゼントについて移った。
俺的には時計が無難かと思っていたがチトセはバスグッズを押した。
最近バスオイルに凝っているのだと話をしていたらしい。
チトセはサオリと仲が良いので参考になる。

「そうだ。タツヤさ、この後ヒマなら俺の家来ない?新しいゲーム買ったんだよね」
「おー、いいぞ」
「やったね。まだ封も開けてなくてさ。早くやりたいんだよね」
「どーせ無双系だろー?」
「面白いじゃん」

チトセの趣味はさっぱりわからないが毎回なんだかんだと楽しんでいる。
大学からの付き合いで、一番つるんでるだけはあると思う。
うどんのつゆを飲み干し、席を立った。

「だめだ。うどんだけじゃたりねー」
「じゃあカップ麺でも買ってから行こうよ。カップ麺ならおごってあげる」
「やったね。ラ王にしよ」
「げ。そこはカップヌードルにしといてよ」

そこは引けぬと首を降り、食器を片付けた。
やっぱおごってもらうなら高いものでないと。

***

チトセの家には何度か足を踏み入れたことがある。
親が共働きだからか、大抵無人の家だ。
チトセの部屋は綺麗に片付き、テレビ周りだけが少し汚い。
ちょっとロマンチスト気味のチトセにお似合いの簡易プラネタリウムとかあって、ベッドサイドには少し古いスノーボールがある。
ベッドは硬めで、ソファーは柔らかめ。
俺はその柔らかいソファーで、チトセに蹂躙されていた。

「ひっ・・・い、あ゛・・・」
「まさかなー。忘れてるなんてなー」
「あ゛っ、あ!」
「俺はね、ちゃんと覚えてたよ?」

無理矢理開脚した足は手首と繋がれ、閉じないように通された棒が首にぶら下がる。
俺は裸で、とんでもないところをチトセに晒し、その穴をもう何時間も弄り回されていた。

「これはね、タツヤがサオリと付き合った時にむしゃくしゃしてお仕置き用に買ったんだ。後から反省したし、使わないつもりだったんだけど、買っておいて良かったよね」
「はひ、ひっ・・・く、くるひぃ、あ・・・」
「俺の心はもっと苦しいよ。約束、忘れてたんだもん」
「ご、ごめんなさっごめんなさい」
「だぁめ。全然反省してない」

チトセは、楽しそうに笑いながら怒っていた。
約束を忘れていた俺に。
あの時の指切り、お嫁さんになるって約束。
あれは幼稚園の時の、俺とチトセが交わした約束だった。
何気なくアルバムを見せられ、同じ担任だったことに気付き、思い出話もつかの間。
あの指切りをした彼が鮮明に映る写真を見つけたのだ。
そこからは、どうだったのだろう。
俺は確か夢の登場人物である本人に話した恥ずかしさに何かを言った気がする。
その恥ずかしさを隠そうと必死だった。
でもその恥ずかしさを恐怖が踏み躙り、俺から自由を奪った。
恐ろしい程に力が強いチトセに簡単に組み敷かれ、気が付いたら身包みを剥がされていた。
そして拘束されて、肛門を弄り回されている。
俺はこの数時間、勃起こそすれどイくには至らなかった。
もどかしいを通り越し、苦しい。
もうやめてくれと叫びたかった。
されどこのまま放置されても腫れ上がったちんこは収まりはしない。

「すごいね。人間の肛門って、こんなに拡がるんだ」
「はひ、ひ、いぃ・・・」
「中、真っ赤だね」
「も、もぅっ」
「もっと、拡がりそうだね?」

その言葉に、絶望する。
先ほどから幾度となく繰り返される行為。
はじめは、よくわからない液体を注がれた。
しばらくすると痒みが襲ってきて、わけもわからないうちに糞便を漏らした。
その時の糞便で引っかかれる腸内が恐ろしく気持ちよかった。
糞便が出なくなると痒みにおかしくなりそうで、腸内を洗われる行為に溺れた。
全てが終わる頃には指2本なんて余裕で挿入できた。
絶望に駆られる間も無く、俺の肛門はアダルトグッズで遊ばれた。
指が3本挿入できた時には絶叫した。
まだ拡がりそうとあの痒くなる液体を腸内に塗られ、涎を零しながらバイブが肛門を出入りする感覚に浸った。
さらに拡げられた肛門は指が5本も挿入できる。
これ以上拡げられたら、腕すらも飲み込むだろう。
許してくれとチトセを見るが、チトセの手にはあの液体と筆。
にっこりと笑いながら、チトセは言った。

「まだ、許してあげない」

筆が、腸内の奥を撫でた。
丁寧に丁寧に撫でた。
身体が痙攣し、もうおかしくなりそうだった。
チトセは俺の腸内にたっぷりと液体を塗り、それから俺の手足を自由にした。

「壊れてみせてよ」

凶悪な程に大きく、凶悪な程に長いディルドを渡される。

「あっ、あぁ・・・」
「痒いんでしょ?思いっきり擦りたいでしょ?」
「しゅ、しゅりたっ擦りたいぃ」
「いいよ。やってごらんよ」

俺の中の何かがプツリと切れた。
大きなディルドを何の迷いもなく肛門へねじ込み、痒みに震える場所まで乱暴に押し込む。
ぶるぶるとその感覚に震え、ゴリっと腸内を擦る感覚に快楽を覚える。
壊れてみせてよ、だなんて。
壊したのはお前のくせに。

「んお゛ぉっあ゛あ゛あ゛!!!ごりゅごりゅう゛う゛う゛!ぎぼち、いっしゅごいぃぃ!!!」
「んははは!可愛いよ!すごく可愛いよ、タツヤ!」
「奥っがあああ゛!きもぢい゛い゛ぃ!!ごしゅごしゅ、い゛いのお゛お゛ぉ!」
「ふはっ、ははは!お尻めくれちゃってるよ?ふふっあははは!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!手がっどまんなっもっど、もっとぉ!う゛ん、あああ゛ぁ!」

俺は腸内を引っ掻き回すことに夢中だった。
馬鹿でかいディルドをこれでもかと奥に挿入し、腰を振りながらディルドを動かした。
もうこの行為以外に何も考えられないぐらいに。
涎を撒き散らし、みっともなく声をあげ、足を投げ出して喘いだ。
チトセがスマホを取り出し、俺の壊れた姿をムービーに収めている。
でもそんなのにかまっていられなかった。
ちんこは爆発寸前で、だらだらとカウパーを漏らしている。
最早小便でも漏らしているかのように。
でも俺の両手は馬鹿でかいディルドを動かすことに忙しく、爆発寸前のちんこに触る余裕はなかった。

「も、たしゅけったしゅけでえ゛え゛ぇ!ちんこっひんこが、こわえうっ」
「どうやって助けるの?」
「ひんこ、しゃわってっイかせてっ」
「どうしようかなぁ」

チトセはにこにこと笑いながら俺を見た。
俺は手を止めることなく、涎を零しながら懇願する。

「なんれも、なんれもしゅるからあ゛あ゛っ」
「でもタツヤは、俺との約束忘れてたよね?」
「んぎっ」

必死に動かしていた手を止められた。
苦しい、痒い、辛い。

「また約束を忘れて、破られたら嫌だもん」
「も、もうっもう忘れないからっ、何でもっ何でもいうこと聞くからっ」
「本当に?ちゃあんとお嫁さんになってくれる?」
「なるっ!チトセの、チトセのお嫁さんになるからっだから、ね?」

強い痒みに涙が出た。
ぼやける視界の先、チトセが笑っている気がした。
あの時の、顔と同じ。

「じゃあもう一回指切りしよ、タツヤ」
「する、指切り、する」

絡められる小指はあの時よりも大きく、千切られそうなほど強い力がこもっていた。

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます、指きった」

ひどく長い歌だった。
長くて酷い歌だった。

「これで、チトセの、お嫁さん?」
「うん。そうだよ。タツヤは、俺のお嫁さん」
「じゃあ、じゃあっちんこ、触ってくれる?」
「うん。たくさん、触ってあげるよ。だから、タツヤはたくさん自分のまんこ弄ってな」

再び自由になった両手は、また馬鹿でかいディルドを掴み、腸内をかき回した。
チトセは約束通りちんこを扱く。
俺がイっても手を休めることなく扱く。
頭がおかしくなりそうなほどの刺激に脳みそが溶けてしまいそうだった。

「はひ、うあ゛あ゛あ゛!!!ああっ気持ちい゛い゛ぃ!もっろ、もっとひてえええぇ!」
「ふふっ、はしたないお嫁さんだなぁ」
「チトセっ、ひとせえぇ!ひんこもっまんこもひもちいぃよおおぉ!」
「タツヤ、可愛いよ。本当に可愛い、可愛いお嫁さんだ」
「はへっあっあぁぁ!」

壊れたのか壊したのか。
ふとそんなことが頭をよぎった。




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