意外性とはこの事よ

Present for ALL



最近は珍しくなってきた社員寮で、特に不自由なく俺は暮らしている。
寮費は格安で男女別の寮、会社までは徒歩15分と近い。
コンビニだって近いし、近所に100円ショップに病院となんでもある。
しかも朝と夕で飯まで出てくるのだ。
そうなると結婚まではそこに住むって人も少なくはない(独身寮なのだ)。
だが・・・全く不自由がないと言えばそれは嘘だ。
プライベート空間は狭いし、先輩と仕事でぶつかっても先輩もいる場所へ帰宅する。
社会人にもなって門限はあるし、飯の時間も風呂の時間も決まっている。
挙句恋人や親戚までも連れ込むことは叶わないというのだから、なかなかな不自由さかもしれない。
しかし、俺はちょっと違う。
俺の恋人はこの寮の住人で、少し歩いた先にいつもいる。
職場の先輩であり、恋人である彼。
名前は鬼頭要と言う、とても怖い名前だ。
そしてその名は体を表す。
冷たい目にクール過ぎる性格。
行動はいつだってスマートで無駄がない。
冷たい目元が印象的で、仕事で誰かがミスをしようもんならさらに冷たくなる。
ブリザードと影で呼ばれている程にクールだ。
対して俺の名前は犬飼良太。
この名前も体を表していて、よく大型犬に似ていると言われる。
よく食べて育ち過ぎたのは身体だけで、頭はそんなに育っていない。
唯一の取り柄はこの体躯を生かした空手のみ。
休日は社内空手部に出ているか鬼頭さんの部屋に押しかけることしかしていない。
散歩か主人の元でじゃれる以外のことをしない、まさに犬だ。
こんな俺たちの馴れ初めはひどく簡単なもので、ただの一目惚れ。
話したことすらなかった鬼頭さんを見て、顔面が真っ赤になる程に好きだと思ったのだ。
ブリザードと呼ばれていようとも、悪評を聞こうとも、その気持ちは少しも揺るがなかった。
結局俺の猛アタックに折れた鬼頭さんが眉間を押さえながら分かったと言ったのだ。
もう、俺にとってそれが、どれほどに嬉しかったか!
舞い上がって抱き付いたそばから蹴り飛ばされたのを覚えている。
痣になった。
そんな恋人と仕事で毎日顔を合わせて、プライベート空間も共有できるのだ。
幸せの極みかもしれない。
まぁ、その幸せの極みでの問題と言えば・・・やはりセックスに支障が出ること。
壁が薄い社員寮じゃどうやったって聞こえてしまうわけで、俺たちの関係を秘密にしておきたい鬼頭さんは頑なにセックスを嫌がる。
付き合い始めて半年、扱き合いはおろか裸だって見たことはない。
風呂でも局部どころか尻すらも絶対隠している。
女かって程厳重に。
ここまでくると頭も下半身もサル以下である。
もう鬼頭さんが服を着ていても裸に見えてしまうほどに欲求不満だ。
そして今、その鬼頭さんが、俺の部屋で、寝ている・・・!

「んー・・・」

落ち着け、落ち着くんだ、俺。
昨夜は俺の部屋で飲んだ。
それはそれは大量に飲んだ。
連休前の大仕事を無事終わらせた祝いだとチームで飲んだのだ。
飯も食べたのにつまみは大量、酒はもっと大量で、鬼頭さんが差し入れだと高い酒を持ってきて・・・。
連休中に彼女の家だの実家だのに行くと他の連中は部屋へ戻ったが鬼頭さんは酔い潰れてそのまま俺の部屋で寝たのだ。
それから酔い潰れた鬼頭さんをベッドに寝かせて、俺も寝て。
・・・現在に至るわけだ。
時計を見れば朝の9時過ぎ。
おそらく他の連中は朝早くに出掛けたのだろう。
寮全体が静まり返っている。

「き、鬼頭さーん・・・」
「う゛、んんー」
「あ、朝ですよー」

鬼頭さんは布団の中でもぞもぞと動くだけで起きる気配はない。
俺はこれ以上鬼頭さんの寝顔に耐えれる気がしない。

「い・・・いぬかい?」
「は、はいっ!」
「あー・・・昨日、飲んで・・・そのままか・・・」
「あ、朝ですー」
「そうか」

起きる気が、ない。
いつも朝は機嫌が悪いし、ブラックコーヒー飲んでるし、昼ぐらいまで電話対応もしないから弱いのは知っていたがここまでとは。
いつも休日は昼まで寝てるしな。
残業は苦ではないあたり、夜型なのだろう。
まぁ、残業は仕事を残す無能がするものだと豪語する人だから残業もあまりしないけれども。

「可愛いなぁ」
「・・・誰がだ」
「はっ・・・!おおお起きてるんですか!」
「うるさい。朝からそんなでかい声を出すな」

鬼頭さんら顔をしかめながら俺の布団に潜った。

「今何時だ」
「朝の9時です。少し過ぎてますけども」
「チッ」

舌打ち・・・!

「休日は昼まで寝たい」
「お、起こしてすみません・・・」
「お前ももう一度寝ろ」
「えっ、わわっ!」

鬼頭さんは俺を抱き寄せると、俺の胸板に顔を埋めた。
そのまま額を押し付け、俺の背中をポンポンっとリズム良く叩いた。
こ、この人、絶対寝ぼけてるだろ・・・!
普段こんなことしないってか、そもそも一緒に寝たことすら初めてなのに!
もっと言うなら勝手に一緒に寝ただけでもある。
普段一緒に寝ましょうとか言ったら蹴り飛ばされかねない。

「うっ!」

鬼頭さんが、俺に足を絡めてきた。
多分抱き枕的なノリなんだとおもうんだけどっ、でも!
足を絡められたら、その、き、鬼頭さんの、こ、股間が、ふ、ふふふふ太腿に・・・。
あ、鬼頭さん朝勃ちしてる・・・。

「オイ、勃たせるな」
「す、すみません」

俺の息子が起きちゃった。
光の早さで覚醒しちゃった。
おさめようと思うのだけれども、鬼頭さんの股間に俺の息子があたる度にギンギンになってしまう。
それを繰り返すものだから、そういった何かしらのプレイみたいになるし、こっそり擦りつけてみたりして。
俺の変態・・・!

「あ、あの・・・」
「・・・なんだ」
「す、少しだけ、その・・・」
「ハッキリしろ!」
「ごっごめんなさい!」
「っ、あっ!」

謝ると同時に鬼頭さんのズボンへ手を突っ込んだ。
頭が覚醒しきっていないのか、反撃はこない。
や、やるしかない!
今こそ、今こそ、おあずけをくらいまくっているセックスを・・・!

「犬かっ、うっ」

鼻息を荒くして乱暴に鬼頭さんのズボンを下げる。
鬼頭さんのちんこを触ると萎えてはおらず、コスコスと扱くとびくりと身体を揺らした。
俺にしがみつき、歯を食いしばる鬼頭さんの可愛さといったら!
普段のブリザードの面影はない。
ハァハァと息を荒くする鬼頭さんに興奮し、布団を剥ぎ取りズボンも剥ぎ取った。
タマがパンパンで美味しそう。
どんどん思考回路がおかしくなるが欲求に耐えることができずそのパンパンになっているタマを舐めた。
鬼頭さんは口を塞ぎ、目を瞑って行為に耐えている。
震えている足を担ぎ、心の中でいただきますと呟いて鬼頭さんの股間へ顔を埋める。
タマもちんこも丁寧にしつこくこれでもかってほどに舐め回した。
鼻息荒らしながら舐め回した。

「ふ、うぅ・・・や、めっ」
「おいひぃれふ」
「っ!」

むしゃむしゃと喰らい尽くすほどに舐める。
そのまま、そのままゆっくりと下の方に舌を這わせて、辿りついた先は鬼頭さんのアナル。
夢にまでみたアナル。
指でなぞり、少しだけほぐして、尻をぐっと拡げた。

「ヒクヒクしてる・・・」
「お前っ」
「ん、ふぅ」
「あ!」

誘うようにヒクヒクさせてるアナルに舌を差し込む。
もぞもぞと逃げようとする鬼頭さんの腰をがっちりとホールドして、アナルに唾液を流し込むように舐めた。
舌が抜ける感覚が気持ちいいのか、舌を抜く度に太ももに力が入る。
チラリと見た鬼頭さんはシーツを握り締めて、ぎゅっと口を結んでいた。

「き、鬼頭さん・・・?」
「なんだ・・・」
「そんなに声を我慢せずとも・・・」
「我慢してなっあ!」
「おぉ・・・」
「んぅっ、くっ」

不意打ちでアナルへ指を挿れたらいつもより高めの声が出た。
ぐるぐると指を回してかき混ぜてみる。

「あっんん!!」

どうやらイイらしい。
2本目もイケそう。

「あっ、早っ」
「早いのがいいんですか?」
「ち、違っあ゛ひ!あっそれ、ああぁ!」
「か、可愛い・・・」

普段そんなことを言えば回し蹴りが飛んできただろうが今はそれどころではないようで。
必死にに口を塞いでふーふーって猫みたいに唸る。
ドーベルマンよりも怖い鬼頭さんが、最早子猫・・・!

「もっ、やめ」
「やめれると思います?」
「んああぁ!」
「鬼頭さんって、普段は静かなのにセックスの時には声大きいんですね」
「なっ」

まぁ、その前に感度が大変よろしいと思うけれども。
アナルでここまで感じるとは。
ぐっとアナルを拡げ、指を増やす。
身を捩って逃げようとする鬼頭さんの前立腺を容赦無く責めた。

「あっ、あ゛、ひいいぃぃぃ!!!」
「そんなにイイです?」
「あっ、あ゛あ゛っ!やめ、とめっでえ゛ぇ!!はひっあっああぁ!」

少し乱暴に、少し強く、勢い任せに指を動かすと鬼頭さんは悶絶した。
涎を垂らして、気持ちよさを堪えてる。
やめてやめてと言いながら腰を浮かせているのだから、多分やめて欲しくないんだと思う。
そういう解釈でいこうと思う。
鬼頭さんのちんこははち切れんばかりに勃起していて、時折ぴゅっと先走りを飛ばす。
普段の姿からは全く想像がつかないほどの乱れっぷりだ。
テンションが上がる。
指も3本に増え、鬼頭さんのアナルも柔らかくなったところで指を抜く。
ぽっかりと開いたアナルが卑猥に収縮する。
鬼頭さんが息を整えている隙にさっとゴムをはめた。
ナマでヤってはみたいが、そんなことをすれば中出しは必至。
そしてそのことにブチ切れる鬼頭さんなんて容易く想像できる。
いや、この行為が終わったらとりあえず半殺しにはされると思うけれども。
せめて、ね。
未だ震えてる鬼頭さんの足を担ぎ、アナルへピタリとちんこを添える。

「息、吐いてくださいね」
「えっ待っ」
「っ、ん」
「う゛あ゛ぁ・・・」

鬼頭さんは目を見開き、指先が白くなるほどシーツを握り締めていた。
思っていたよりもキツいって感じはない。
いや、入口は狭いけれども、割と奥にはすんなりと挿った。
男性とのセックスもそうだがアナルセックスもしたことがなかったので不安がないかと言えば嘘。
しかし、何度も妄想することで、できるものだな。
いや、想像よりもすごい鬼頭さんの乱れっぷりには股間がやられたけれども。

「く、苦し・・・」
「馴染むまで、待ちましょうか」

その言葉に鬼頭さんは必死に頷く。
気分転換になればとチラリと覗く乳首を抓ってみた。

「ひん!」
「う゛っ!」
「あっ、引っ張るなっ!あぁん!」

乳首を触ったら、不意打ちでものすごく締められた。
や、ヤバかった・・・。
イくところだった・・・。
そして引っ張るつもりはなかったのだが、いきなり締め付けられたので思わず。
そして今引っ張ったり抓ったりしているのは確信犯だ。
だってものすごく感じてる。
徐々に卑猥に色付く乳首に我慢ができなくなってきた。

「もう、いけますよね」
「え、まだっ」

ぐっと腰を引き、一思いに打ち付ける。

「ひっ、い゛い゛ぃ!」
「締め過ぎ、ですっ」
「あ゛っん、んうぅ!は、あっあぁ!」
「は、良かった。萎えてはないですね」

雄叫びをあげるものだから萎えていたらどうしようかと思ったけれど。
顔を隠している腕をよけて、鬼頭さんの顔を覗く。
少し涙目になっていて、目が赤い。
ギロリとこちらを睨んだ目は確かにいつもの鬼頭さんだが今は怖くない。
むしろ可愛い。
これがギャップ萌えか、なるほど。
鬼頭さんのちんこは痛いほど勃起はしているがイけそうにないのか先走りをダラダラと零している。
これだけぐずぐずになっていればイけそうなものだと思うが。
自分は気持ちいいしイけそうなのに、鬼頭さんがそうでないのは良くない。
ゆるりと鬼頭さんのちんこに手を伸ばし、腰の動きに合わせて扱いてみた。

「んあ、あぁっ!」
「イけそうな時にイっちゃってくださいね」
「ひっあっああぁ!ん、う゛っふ、うぅぅ」
「ほら、声も我慢しないでください。ね?」
「やっ!あっあ゛っんっあ゛あぁ!」

鬼頭さんが俺のちんこを締め付ける。
もう限界だが、鬼頭さんがイけていないのにイくっていうのはなんとなく嫌で。
頑張って鬼頭さんのちんこを扱き、頑張って鬼頭さんのアナルをかき混ぜた。
鬼頭さんの目がさらに潤んで、口端から唾液が溢れる。

「も、だめっ!もっうああぁぁ!」
「っは、イけましたね」
「ふぅ、うっ・・・んんぅ」
「じゃあ、俺も」
「あっやっまだっひぃ!」

ぐずぐずに溶けた鬼頭さんのアナルが気持ち良く、鬼頭さんがイったばかりで辛いなんてのは考えてられなかった。
パンパンと乾いた音が響き、そこに鬼頭さんの声が混ざる。
頭を抱えながら喘ぐ鬼頭さんの可愛さといったら、もうたまらない。

「あっ、ヤバっ」
「ひ、うっう゛あ゛あぁぁ!」
「はぁ・・・出ちゃいました。もう少し持つかと思ったんですけど」

余韻に浸り、名残惜しいがちんこを抜く。
ゴムの先には大量の精液が溜まり恥ずかしいほど。
鬼頭さんのお腹に飛び散る精液をティッシュで拭き取り、自身のちんこも拭く。
終始ぼーっとしている鬼頭さんに布団をかけ、その横に俺も潜り込む。
甘えてくれるかと思ったのに鬼頭さんはうつ伏せになり動かなくなった。
もしかしてこの体勢で寝ているのだろうか。
いや、あり得ない話でもないけれども。
ちゅっちゅっとうざったらしいほどに髪だの頬だの手だのにキスをしても何もしてこない。
照れているのかと思ってくっついてみたが反応なし。

「き、鬼頭さーん・・・」

声かけにも応じない。
も、もしかして、もしかしてこれは鬼頭さんは拗ねているのではないだろうか。
いや、怒っているとは何か違うし、何も喋らないし、ずっと動かないし。

「鬼頭さん、何拗ねてるんですか?鬼頭さん、鬼頭さんってば」
「うるさい」
「うるさいじゃなくて、何を拗ねているのかと」
「・・・った」
「え?」

ぼそりぼそりと何かを訴えているようだがよく聞こえない。
限界まで耳を近づけ、最早耳が鬼頭さんの頬に密着している。

「お前が、声が大きいって言った」
「声が大きい?」
「言っただろ・・・」

そういえば言ったような、言ってないような・・・。
いや、でもそれがなんだと言うのだろうか。

「だからヤりたくなかったのに・・・」
「えっ、そんなこと気にしてたんですか?」
「そんなこととはなんだ!俺からしたら、どれだけっどれだけ恥ずかしいことだと!」
「わっちょっおごぉ!」

飛んでくる拳を捕まえるがあっさり逃げられ鳩尾に1発喰らった。
パ、パンチが、重い・・・。

「尻は痛いし、声が大きいだの言われるし、最悪だ」
「いや、声が大きくてもいいと思いますよ?」
「くそっ・・・。もう少し慣れてからって思ってたのに」
「ちょっちょっと待ってください!慣れてからってなんですか!」

き、聞き捨てならない!
慣れるってなんだ!
どこの男とこんな行為に勤しむってかもう勤しんだ後?!

「ソープだよ」
「えっ鬼頭さんソープとか行くんですか?」
「今年、生まれて初めて行った」
「なんのために?」
「おまっ、お前が!」
「俺?」

ギリギリと歯を鳴らし、親の仇でもみるかのような目で見られた。
でも俺に心当たりはない。

「お前が、やたらに人の尻を見るからっ!突っ込みたいんだろうと俺は思ってお前のためにソープに通ってっ」
「そ、それはそれは・・・」
「挙句声が大きいから抑えてくれと言われる恥までかいて!」

な、なるほど。
やけに感じるとは思っていたが、開発済みだったのか。
開発は俺がやりたかったけれど、このブリザードが俺のためにソープ通いをしていたなんてわかったらもう、そんなのはどうでもいい!
言い終わってから言うんじゃなかったという顔をしている鬼頭さんが可愛い!

「鬼頭さん」
「なんだ。二度目はないぞ」
「え゛?!あっ、いや、そうじゃなくて、その」
「はっきりしろ!面倒だ!」
「俺っ声大きい方が興奮するんで、存分に喘いでください!」
「黙れ!お前とはしばらくヤらない!」
「そんなっ!」

そういいながら俺の布団に潜る鬼頭さんの顔は真っ赤だった。
芋虫のように丸くなる鬼頭さんの上に重なり、思いっきり抱きしめる。

「今度からソープじゃなくて俺のところに通ってくださいね。存分にアナル開発をしまっふが」
「それ以上喋るな」
「ごべんなざい・・・」

拳が顔面に降ってきた。




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