オフタイム

Present for 倉田san



突然の腹痛に見舞われ、公衆トイレに駆け込んだ。
多分朝食べた温泉卵のせいだ。
だからと言ってそんなことで会社を休めないのが社会人。
ぐるぐる鳴る腹を抑え営業へ行き、その帰りに限界を迎えたわけだ。
小学生がランドセルを放り投げて遊ぶ公園で情けなくも尻が痛いほどに下し、トイレとお友達の俺。
きゃっきゃと遊ぶ声をBGMにトイレで絶望にかられていた。
会社に戻りたくない。

「わっ、さわくんのちんちん、ほんとに大人ちんちんだ」
「へへー。お父さんがやってくれたんだー」

隣の個室から響いてきた声。
なるほど、おとなちんちん・・・。
俺も昔、皮が剥けたことを自慢してたなぁ。

「なるのちんちんはまだ子供ちんちんだな!」
「僕もお父さんにやってもらおうかなぁ」
「最初はじんじんするんだよなぁ」

そうそう。
パンツに擦れると腰がひゅってなるんだよな。
トランクスにちんこが擦れて変な声を出してしまったのが未だにトラウマだ。
あの頃はブリーフが神だった。

「大人ちんちんいいなぁ」
「じゃあなるのちんちん、俺が大人にしてやるよ!」
「ほんとに?!」

や、やめろー!!!
危険だ!!!
友達に剥いてもらうのは危険だ!
後々一生の恩をきたり恥を耐えたりするぞ!
失敗なんてしたらもうこれうおおお・・・。
うっ、力んだら腹がっ・・・。

「まずはーこうやってー」
「ひゃっ、くすぐったい!」
「ちんちん大きくしないと、大人ちんちんにならないんだぞ!」
「そ、そうなの?」

腹の痛みを堪えているうちに事は進んだらしく、なるとかいう少年のちんこを勃起させようとしているらしい。
ぐるぐる鳴る腹を摩りながら隣の個室に耳を傾ける。
いや、別に小さい男の子に興味があるわけじゃない。
なんか気を紛らわさないと腸が尻から出てきそうなんだ。
肛門科とか、行きたくない。

「んっあっ・・・」
「気持ちいい?」
「うん。ちんちん、むずむずする」
「へへ。なるのちんちん、ちょっと大きくなった」
「あっほんとだ!」

徐々に大きくなるちんこに感動でも覚えているのか、なるくんは仕切りにはしゃいでいる。
さわくんとやらは時折気持ちいいか確認しながら、どうやらなるくんのちんこを扱いているようだ。
その行為を一生の過ちとして生きていくに違いない。
ご愁傷様。

「なるのちんちん、ピンクの見えた」
「あん!ほ、ほんとだぁ」

なんとなく艶っぽい声を出すなるくん。
将来は魔性だな。
魔性の男の子って、我ながら面白いな。
男性ストリッパーとかになってそう。

「あ、さわくんのちんちんも大きくなってる」
「まじだ」
「なんでー?」
「わかんない」

それはね、なるくんの魔性っぷりにさわくんが興奮したからだよ。
なーんて、俺面白いな!
さわくんは将来これをきっかけにホモだな。
男に尻を掘られるか掘るかの争いに巻き込まれるのか。
そして俺みたいにトイレにこもって腹の痛みを耐える社会人になるに違いない。
俺は腐りかけの温泉卵食ったからだけどな!
脱腸しそうなぐらい尻が痛い。
いや、俺、冷静になるな。

「う、うぅ・・・怖いよぉ・・・」
「大丈夫だって。あっ!じゃあお尻の穴に指入れてあげる!」
「ひっ!やっ、汚いっ」
「大丈夫。俺もお父さんにしてもらったから」

お、お父さんんんんんんんんんん!
何してんだ!
風俗に行き過ぎだろう!
小さい息子のお尻の穴弄って、お尻の穴気持ちいいから、ちんこ痛くないよねなんてあるわけないだろうが!
痛いよ!
むしろお尻の穴の不快感でさらに痛いよ!

「ふぁっあっきもちー、かもぉ」
「だろー?俺もお尻の穴すきー」

・・・そうでもないらしい。
最近の小学生はなんだ。
あれか?
小学生専門の風俗でもあんのか?
むしろ学校教育のいっかんなのか?
俺がお父さんになった暁には、この辺りの小学校には絶対通わせない。
ある日突然息子に『お尻の穴弄って?隣の席の××くんはお父さんにしてもらったって』なんて言われたら今以上に腹が痛くなる。
この腸が捻れるような痛みが6倍ぐらいになる気がする。

「あんっあっおひり、しゅごいぃ」
「なるのちんちん、また大きくなった」
「あひ、あっしょこぉ!さわくんっそこ、もっかいして」
「ここ?」
「ふああっ!ちんちんむずむずするぅ!」
「あとでなるも俺にして?俺もお尻の穴してほしい」
「うんっうん!」

なるくんがずいぶんと敏感なのか、さわくんがテクニシャンなのか知らないが・・・隣が異様な盛り上がりを見せている。
心なしか俺のちんこも大きくなってる気がする。
腹の痛みが引くと情けなくもぴょんっと上を向いている。
・・・腹も空気を読まないが、ちんこまで空気を読まないとは。
最近可愛いがってなかったしな。

「痛ぁ!」

うおおおお!
びっくりした!
なんだ、何があった!?

「ほら、なるのちんちん、大人ちんちんなったぞ!」
「うぅ・・・ほんとぉ?」
「また小さくなっちゃったな」
「でも、ありがとう!大人ちんちんだー!」

な、なんだ。
無事に剥けたのか・・・。
あぁ、びっくりした。
思わず警察を呼ぼうかと考えたぜ。

「じゃあさわくんのお尻の穴、ぐりぐりしてあげるね!」
「うん!やってやってー」
「わぁ、お尻の穴ってしわしわだねー」
「んうぅ!」

攻守交代らしい。
っていうか、こんなことを公園のトイレでしてないでお家に帰りなさい。
変質者とか来たらどうするの。
悪いけどおじさん、お腹痛いからトイレから出れないよ。
今HP8ぐらいしかないから。

「あっあっんんっ!」
「さわくん、気持ちいいの?」
「うん!」

元気な子供をよそに腹を抱え、あまつさえ勃起なぞしている俺。
この世のダメ人間からも白い目で見られる気がする。
お隣は盛り上がっているのか、さわくんの声が響いていた。
なるくんはなるくんでどうやら息遣いが荒い。

「さ、さわくんっ」
「んっあっなに、い?」
「僕のお尻ももう一回してぇ?」
「俺が、んっ!終わったら!」
「だって、もう、ちんちんがじんじんするんだもんー」

なるくんは半ベソで自分のお尻を弄れと訴えている。
さわくんは譲る気はないのか、自分の番だとしか言わない。
そんなことで喧嘩をしてもどうにもならないだろうに。
さて、大分腹の調子も良くなって来たし、そろそろ会社に戻るか。
腹の中はもうすっからかんだ。
少々、腹はキリキリと痛むし、尻はズキズキと痛むがいた仕方ない。
ついでに勃起もおさまらないがそれも仕方ない。

「僕のもして!」
「さっきしたじゃん!」

さわくんとなるくんがトイレで大喧嘩を始める前に退散しよう。
喧嘩の理由がまさか尻を弄ってくれないだとは、笑える。
勃起したちんこを上向きに収納し、スラックスのチャックをそっと閉めた。
そして隣に人がいるのだとわかる、水音。

「えっ」
「っ!」

やれやれ。
よもや本当に気付いていなかったのか忘れていたのか。
さわくんとなるくんの息を飲む声が聞こえ、俺は鞄を手に個室を後にする。
その恥ずかしさと気まずさを胸に、今日は大人しく帰りなさい。
手を洗い、ポケットからハンカチを取り出す。
営業たるもの、ポケットにはハンカチ、鞄にタオルは欠かせないのだ。

「あの・・・」

服の乱れを整えているとふいに声がかかった。
声からして、さわくんか。
後ろでおどおどとしているのがなるくんなのだろう。

「お、おじさんっあの」

別に他の人には言わないという意味を込めて、軽く溜め息をつく。
さわくんはきゅっと口を結び、それから改めて勢いよく開いた。

「お、俺たちのお尻を弄ってくれませんか!」

・・・ん?

「その、僕たち、2人ともお尻を弄って欲しくて、それで」
「でも一緒だとうまくできないし」
「おっ大人の人のが、うまいと思うからっ」

な、なにを言い出したんだ?
ものすごくとんでもないことを告白されている気がするんだが。

「「おねがいします」」

上目遣いの2人が俺を責める。
はてどうしたものかと思いながら俺は携帯を取り出した。

「部長、お疲れ様です。申し訳ありませんが、その、少し話が長引いてまして。本日は直帰とさせていただきたいのです」

とりあえず、今日は会社に戻らないことにした。
腹も痛いし尻も痛いし、挙句股間まで痛いのだから仕方ないだろう。
社会人にも休養は必要なのだ。
開けられた扉を閉め、鍵をかければオフタイムスタート。




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