緊張と心安

Present for 祥子san



昔からものすごい緊張するタイプだった。
発表会なんてものは地獄で、緊張からくる尿意と発表に対する焦りでがんじがらめ。
小学校の時のピアノの発表会で漏らした経験もある。
年々良くなるどころかひどくなるばかりで、注目されることをも苦手。
高校までは人影に隠れていたけれど、大学に入ってからは発表の場というのはどんどん増えるばかりだ。
月に1回の研究発表、ゼミの発表、オープンキャンパスや研究室紹介の研究体験などなど。
そのストレスに耐えかねて、ついにはおねしょをする始末。
1人暮らしで良かったと言わざるを得ない。
この状態では駄目だと尿瓶を購入。
せめて漏らすのは防ぎたかった。
オムツも買ってみたが、ごわごわして寝付けなかったから駄目だ。

「ト、トイレ・・・」
「またかよ、頻尿飯田」
「うるさい!」

研究発表前日、俺の家で練習することが最早日常になり始めていた。
同じ研究室の高木は俺の緊張すると尿意をもよおす体質を理解してくれている。
だからこうやって毎度付き合ってくれているのだ。
ショロショロと尿が出て、その感覚に身震いする。
明日のことを考えだけで、出たそばから尿意が湧いてくる。
この体質をどうにかしないと、俺は仕事もままならない。
なんとかおねしょや壇上で漏らすことは耐えているが・・・正直いつやらかしてもおかしくはない。
とりあえず手を洗い、トイレを出る。
高木は研究ノートを見つめながらビールを飲んでいた。

「そろそろ寝ようぜ」
「えっ、でもまだ」
「こんだけ練習したんだから、大丈夫」
「う、うん・・・」

正直何度やっても緊張から抜けられない。
でも高木に言われたらなんか大丈夫な気がするのだ。

「ま、最悪ちんこにペットボトル付けとけばいいんじゃない?」
「それじゃ変態だろ!もれなく警察呼ばれるわ!」
「この歳でおねしょする変態も同じだって」
「う゛!そっそれは言わない約束じゃないか!」
「他の奴には言ってないって」

高木はビールを飲み干し、ベッドへ入った。
俺も残りのビールを飲み干して同じベッドに入る。
布団は一組しかないし、この状態で寝ることも慣れた。

「しかし・・・俺の家なのに俺が腕枕されるってなんなんだ。お前枕よこせよ」
「無理無理。俺もう寝てるから」
「起きてるよな?!絶対起きてるよな!!!」

何を言っても枕を渡す気配はない。
いつもこれだ、と諦めて目を瞑る。
せめておねしょはしないでくれ。

***

夜中、発表の場に立たされる夢で目が覚めた。
ビールを飲んだせいか緊張のせいか、ものすごくトイレに行きたい。
高木はぐっすりと寝ていて、起こさないようにとこっそりトイレに向かう。

「ん、飯田?」
「わっ」
「まだ夜中だって」
「違っ」

何やら寝ぼけて高木は何かしら言っていた。
そしてこともあろうに俺を抱き寄せたのだ。
がっしりと。

「う、嘘・・・だろ・・・・・」

しかも高木は今も寝続けているではないか。
このままじゃ、このままじゃ・・・確実に漏らす。
高木の横でおねしょをするかもしれないというこのスリリング極まりない状態に俺はさらに尿意を強めた。
ぎゅっと股間を握り、膀胱をつつく尿意をどうにかしようと試みる。
ごそごそと高木から離れようとするが高木の力は強いらしく、動けば高木までもついてくる始末。

「たっ、高木っ」
「まだ夜中だってば」
「違っトイレに行きたいんだって」
「おねしょしたの?」

駄目だ!
話が噛み合わない!
頭で高木を突くと何を思ったのかよしよしと子供でもあやすように撫でてくるのだ。
こっこの、阿呆・・・!

「高木!」
「う゛っ」

容赦ない頭突き。
高木はようやく目が覚めたらしく、寝ぼけた目でこちらを見てくる。

「ちょ、何」
「トイレ!」
「いや、勝手に行けよ。怖いのか?」
「違う!おまっお前が離さないからっ」
「あ、ごめん」

ようやく気付いたのか高木は俺から離れた。
だが、それからが問題だ。
我慢と緊張で張り詰めた膀胱は最早限界で。
正直、動くこともままならない。

「・・・トイレに行きたいんじゃないの?」
「・・・・・動いたら、も、も、れ」
「え゛っちょっ」
「む、りぃ」

ぎゅっと小さくなった俺を見て高木が慌てる。

「お、俺が運ぶからっ」
「やっ触るなっ」
「あっ!じゃあペットボト」
「やだ!」
「でもおまっ」

どうしよう。
漏らすのは絶対嫌だ。
今更オムツもない。
でもペットボトルも絶対嫌。
トイレまで運んでもらう間に漏らしそう。
いっそ風呂場とかに運んでもらって漏らすとか・・・。

「い、飯田」
「な・・・に・・・」
「こ、これは?」

高木が手に持っていたのはベッド下に隠しておいた尿瓶。

「やだ!つか、見つけるな!」
「だって、お前が漏らすとか言うから、なんか探さなきゃって」
「やだやだやだ」
「だーもう!埒があかねぇ!」
「ひっん!」

高木は俺のズボンをパンツごと下げた。
突然下半身を裸にされ、有無を言わさず手をどけられる。
そして尿瓶の中にちんこを突っ込まれた。

「ほら、出せ!」

あまりの羞恥に言葉も出ない。
俺の顔は真っ赤に違いない。
高木は俺が出しやすいようにと俺の後ろに回る。
見ないからと言うが・・・背中に高木の体温を感じるし、尿瓶を掴んでるのも高木の手だ。

「無理」
「ここまで来たら気にするなよ!」
「でもっ」
「でもじゃねーの!」

高木の言うことは最もで、尿意で動けないのも俺なのだ。
せめて高木が見ていないようにと願って、下半身に入ってる力を抜いた。
歯を食いしばり、羞恥を堪える。

「・・・え?」
「ど、どうした?」
「う、嘘っ、でなっ」
「は?!」
「やだ、やっ漏らしそうなのにっ、出そうなのに、おしっこでなっ」

なんでだ?
どうして出ないんだ?
緊張してんのか?
膀胱はパンパンで苦しいのに、尿意も半端ないのに、おしっこが出ない。
我慢しすぎたのか、もうわけがわからない。

「やだっ、おしっこ出したいぃ」
「ちゃんと力抜けよ。出るから、落ち着け」
「うっうぅ!おしっこ、おしっこっ!」

ぎゅうぎゅうと下腹部を押し、さらにはタマまで揉んでみる。
タマを揉むとぞくりとした感覚がして、おしっこが出そう。
ぐにぐにとタマを揉み、転がしてみる。
もう少しで出そうなのに、出そうなのに出ない。

「出したいっおしっこっ!出したいいぃ!」
「お、落ち着けってば」
「高木っ、たかっあっおしっこでないのっ」
「てって、手伝うからっ、そんなタマ弄るなって!」
「でも、おしっこ出ないからっ」

高木は俺の下半身に手を伸ばし、下腹部を押しながらタマを弄る。
その感覚が気持ち良くて、気が張っていたのがだんだん落ち着いてきた。

「あっあっ!たか、ぎっ!んあっ」
「出そう?」
「出るぅ!あっ気持ちいいぃっもっとしてぇ」
「あー!もう!」
「あひっはうぅん!」

ちょろりと、少し水が零れた。
それを逃すまいと腰を揺する。

「あっあん!あっおしっこ、れるううぅ!」

ジョロ・・・ジョロッジョボボボ・・・

「はひ、は、でたあ」

透明の尿瓶に大量のおしっこが注がれる。
夜中だからか音が響いた。
俺は尿意から解放された気持ち良さに震え、後ろの高木にもたれかかる。
足を投げ出し、股間に尿瓶を置く無様さ。
でもそれにかまってられないほど気持ち良く、ぶるりと震え、最後の一滴まで絞り出した。
開放感から抜けられない。

「い、飯田?」
「ん」
「お前・・・すごい顔してるよ・・・」
「え?」
「その、エロい感じの」

高木を見ると高木は真っ赤な顔をしていた。
俺がぽかんとしていると高木は申し訳なさそうに俺の腰に、高木の腰を押し付けた。

ゴリッ

ご、り?
その正体を掴み、撫でる。

「は?」
「だっ、だってお前っ、」
「いやいやいや!引く!引くよ!」
「うるせー!お前だって好きな奴がオナってんの見たら勃つだろ!出たのは小便だったけども!」
「はあああ?!好きな奴だったらだろ!お前っ、俺だぞ!」
「お前だからだよ!」

お前だ、から?

「畜生ー。それだけでもヤバいのにオナってんの手伝わされるし、気持ちいいとか言うし、そんな顔するし、我慢とかできねーよ」

高木の言ってることを飲み込もうと必死になる。
何語だ、これ。
つーか、高木はなんで俺の尻を揉んでいるんだろう。
やたらに穴を触ってんのはなんだ?
え、なにこれ。

「た、高木・・・俺のこと好きなの?」
「じゃなきゃおしっこおしっこ言いながらオナって、小便を盛大に尿瓶にした奴見て勃つかよ」

突然の告白、突然の緊張。
俺はまた尿瓶におしっこを漏らしていた。

「・・・嬉ション?」
「ばっ違う!」

バクバクと鳴る心臓。
尻を撫で回すおおきな手。
またタマを揉まれ、次は尿意ではないものをもよおした。

「飯田、勃ってる」
「言うな!」

もう、高木が何を言っても落ち着かない気がしてきた。




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