ComingOut:81

朝目が覚めると佐藤の露出度が上がっていた。
タ、タンクトップ・・・!

「露出度高くねぇ?」
「お前等には見られたからな」
「ふーん」

期待したほどの驚きはなかったが別に裸が汚いわけでもなかったしな。
むしろ綺麗だったからな。
しかし・・・タンクトップ・・・。
下はまぁ普通にジーンズなんだけど佐藤のタンクトップなんて今まで一緒にいて初めて見たぜ。

「何がそんなに嫌なんだ?乳首チェリーピンクがそんなに嫌なのか?」
「オイ、その言い方やめろ」
「すみませんでした!」

本気で睨まれた。
何なのこの人。

「つーかそもそも自分の身体がコンプレックスだ。日焼けもしないし毛深くもならないし」
「いいじゃねぇか」
「俺はこう、もっと男くさくなりたかったんだ!」
「大丈夫だ。俺等の中じゃ一番男性ホルモン出てるぞ」

むしろ出している。
鈴木の中とかに。
各々帰る準備をある程度終わらせると下へ降りて来た。

「佐藤がタンクトップだと・・・?」
「何、病気?!」
「熱中症にでもなったのか?」
「佐藤、風邪ひくぞ!」
「・・・お前等ムカつくな」

佐藤がキッチンへ移動してダイニングテーブルに準備していた食材を並べていく。
今から昼飯を作るのだ。
山下の別荘から駅まで1時間もある。
たいした土産物はないが土産を買う連中のことを気遣い昼飯は電車内でとることにしたのだ。
電車をずるずる逃すと帰れなくなるからな。
佐藤と吉田の指示で初サントイッチ作り。

「まずたまごな。ゆでたまごを潰すんだ」
「俺がやる!」
「じゃぁたまごは山下な」
「手でいいのか?!」
「フォークでしようか」

佐藤は山下にフォークを渡した。
お椀の中のたまごを山下が楽しそうに潰している。

「原田のタマがぐっちゃぐっちゃー!」
「・・・山下くん、その不吉な歌をやめてもらえないだろうか」
「原田はシーチキンとマヨネーズ混ぜろ」
「中村くんはキュウリ塩揉みしてー」

キュウリの塩揉みね、塩揉み。

「・・・塩揉みってなんだ」
「塩入れてあげるからぎゅっぎゅってして」
「おう」

吉田の指示に従ってキュウリを塩揉みする。
おお・・・キュウリがしなしなってなった。
鈴木が佐藤の指示でパンを切っている。
しばらくしたら簡単なサンドイッチの具が出来上がった。

「マーガリン塗って、好きな具を挟むだけ。できるな?」
「「「「できる!」」」」
「できあがったら俺に頂戴。切るから」
「「「「わかった!」」」」

お手本に佐藤と吉田が作る。
特に難しいこともないな。
各々勝手に好きな具を取っていく。
たまごにシーマヨ、それからハムにチーズにキュウリ。
具の種類は少ないが組み合わせは自由らしい。
佐藤と吉田は手慣れた様子でどんどんサンドイッチを作っていく。
うん、うまい。

「あっ中村!つまみ食い駄目だって!」
「食事だ」
「もっとダメエエエェェ!!!」
「ボケコラ鈴木ィ!具をそんなに挟むな!」
「多い方が嬉しい」
「知るかボケエエェ!!!後のことを考えろ!べちゃべちゃなるだろ!」
「キュウリ嫌」
「サンドイッチにキュウリはないよな」
「オイオイお前等俺の作ったサンドイッチを何分解してんの?何キュウリ抜いてんの?」
「「キュウリは漬け物で食べたい」」
「黙れ!野菜も食べろ!健康志向の吉田を見習え!」
「キュウリサンド!」
「ふざけろボケェ!!!キュウリ足りないだろうが!」

佐藤・・・突っ込み忙しいな。
あ、俺は食べるのに忙しいから。
新しいたまごサンドに手を伸ばして口へ。
俺の頬を佐藤の手ががっちり掴む。

「お前はいつまで食べてるつもりだ?ん?」
「あ、あじゅみ・・・」
「し過ぎだデブ!」
「ほびゅっ」

佐藤に頬を潰された。
ハムが飛び出るかと思った。

「鈴木・・・つまみ食いが見つからないとでも思ったか?ん?俺が作ったツナサンドをどうしたコラアアァ!!!」
「つっツナは原田だ!俺はたまごを!」
「同罪!」
「「ほぶっふ」」

鈴木と原田の頬へ平手が飛んだ。
あ、やべぇ。
佐藤と吉田が作ったサンドイッチがもう残り少ない。
仕方ない、これで最後にしよう。

「テメェ・・・苺ジャムにまで手を付ける気か?」
「デザートがほしくて・・・」
「いい加減懲りろ!!!デブボケエエエェェ!!!」

佐藤が青筋ビッキビキだ。
真面目にラップしよう。
山下が千切ったラップを1枚もらってサンドイッチをくるくる包んでいく。
性懲りもなくツナサンドに手を出した原田は顔面を潰された。

「ぎゃああぁ!」
「山下を見習え。大人しくラップを千切っているだろうが」
「見ろ!くるっぱっじゃーん!」
「上手上手!」
「山下はラップ上手いなぁ」
「新しい俺の才能・・・!」

山下が佐藤と吉田にうまく扱われている。
馬鹿みたいにラップ千切ってやがる。
鈴木が可哀想な顔して山下見てる。
俺は見なかったことにしよう。
やたらに具を挟んだ鈴木のサンドイッチは佐藤によって具を半分にされていく。
何度言っても直らないことに痺れを切らした佐藤が鈴木を見て舌打ちをした。
ものすごい顔で舌打ちをした。

「よし、鈴木。楽しいサンドイッチの作り方を教えてやる」

佐藤がパンを1枚鈴木に手渡した。

「ラップの上にパン置いて」
「置いた!」
「ハムとマヨネーズ塗るだろ?」
「塗った!」
「こうやってくるくるするしてラップの端をぎゅっと結ぶ。ほーらキャンディ形サンドイッチ」
「うおおぉ!できた!俺にもできた!」
「さすがだなー!鈴木は覚えるの早いな!」
「ふへへへ」

佐藤が鈴木にうざいぐらいちゅっちゅしてる。
目が笑っていないんだけど。
でも食われるよりも具を挟み過ぎるよりもマシだと思っているに違いない。
山下も自慢げな鈴木に触発されてキャンディ形サンドイッチにチャレンジしている。

「中村も作ってみなよ。佐藤がちゅっちゅしてくれるよ」
「いらん」
「じゃあ俺がしてあげぶべっ!」
「近寄るな」

吉田を叩いてからキャンディ形サンドイッチにチャレンジ。
誰でもできるなんて言ったら佐藤の機嫌が悪くなるからやめておいた。

「・・・佐藤」
「なんだ」
「俺だけくるくる巻けないんだけど・・・」
「諦めろ」

誰にでもできるわけではなかった。
原田のキャンディ形サンドイッチは無残な姿になっていた。
ハムがボロボロでパンが潰れている。

「・・・お前、それ責任持って食えよ」
「山下がきっと食べてくれる」
「パパが料理は目で楽しんでから食べるものだって言ってたから不格好なものは間違っても口にしない」
「そんな・・・!そんな・・・!俺の手料理が・・・!」

結局吉田が新しいパンを重ねてちゃんと見た目が良いサンドイッチに仕上がっていた。
鈴木と山下はキャンディ形のサンドイッチが余程気に入ったのかひたすら作り続けている。

「佐藤、弁当箱は?クーラーバックに入れとく?」
「そうしようぜ。痛むといけないからなー」

サンドイッチもほとんど出来上がって具もほとんどなくなった。
残りをうまいこと分けて佐藤と吉田でサンドイッチを作る。
パンの残りはすべてジャムを塗ってキャンディ形サンドイッチにすることにした。
未だに巻けない原田を放置してたくさんのサンドイッチを作る。
佐藤が洗いものしているうちに吉田がタクシーを呼んだ。
まだまだ遊び足りない気もするがもうすぐ夏休みも終わりだしなぁ。

「課題やらないとな」
「「「「「う゛・・・!」」」」」

反応を見る限り、何一つしていないのは原田だけだな。
他は得意教科だけ終わらせたらしい。
馬鹿な連中だ。
終わるとは思えないから特別補習行きだな。

「全くお前等現実を見ろ。手伝わないぞ」
「「「「「中村様アアァ!!!」」」」」
「ははは、せいぜい頑張れ」

無計画な奴等め。
俺はほとんど終わっている。
帰りの車内は宿題と進路で頭いっぱいだった。
俺以外の奴等な話だけどな!




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