ComingOut:76

これが惚れた弱みだ。
中村に『最近夜更かしばっかしてるから朝が心配』とかあっさりノせられて中村ン家にお泊まり。
俺より早く起きた中村に引きずられて集合場所へ行きバスに乗った。
前の席は佐藤と鈴木、横は原田と山下。
朝6時に原田が迎えに来たらしい佐藤は酔い止めを飲んでから不機嫌MAXでバスに乗った。
そして長いことバスに揺られて、トイレ休憩で一旦バスを降りる。
とりあえず・・・佐藤が瀕死だ。

「吐く吐く吐く吐く吐く吐く」
「トットイレ、トイレもう目の前だから!」

どうやら酔い止めは効かなかったらしい。
そんな佐藤もいるのに中村はフランクフルトを食べている。

「早く食べちゃいなよ。食べ物の匂いさせてると佐藤が怒るよ」
「でも山下が鈴木の分までポテト買ってた。原田はアメリカンドッグ」

や、優しさの欠片もないな・・・!
俺何も買わなかったのに!

「吉田にもアメリカンドッグ。お前フランクフルトよりアメリカンドッグのが好きだろ?」
「マスタードは?」
「もらってきた」

ごめん、佐藤。
耐えてくれ。
バスに戻ると他の参加者も小腹が空いたのか色々食べていた。
ふらふらで帰って来た佐藤はその臭いに顔をしかめる。
俺等をものすごい顔で睨んだ。

「最低」

・・・まさか佐藤に最低と罵られる日がこようとは。
佐藤は無表情で鞄から立体型マスクを取り出す。
フリスクを口に入れて二重にマスク、そしてポテトを食べてる鈴木に背を向けて寝始めた。

「・・・後が怖いな」
「そうだね。あっ中村くんケチャップがついてる」
「どこ?」
「口端、って舐めない!ティッシュあるから!」
「拭いたもーん」

唾液で汚れたの中村の口を無理矢理拭いてゴミを回収。

「・・・山下くん、俺口端にケチャップついてない?」
「汚ぇな、早く拭けよ」
「そ、そうだね。山下くんはこうなるよね・・・!吉田ティッシュ頂戴!」

無理矢理汚したのか口がケチャップ塗れの原田にティッシュを渡したところでバスは再出発。



お昼はバイキング、それからバスで移動して葡萄狩り。
昼食、しかもバイキングの後に葡萄狩りだなんて。
鈴木と中村は目を輝かせていて、それとは対照的に昼食すらまともに食べれなかった佐藤は目から光を失っている。

「大丈夫?」
「俺そろそろ死ぬぜ」

ぐったりしていた佐藤に肩をかして葡萄畑に向う。
案内された葡萄畑は天井が低くて大変だった。
中村でギリギリ、俺等はアウトだ。

「おちびちゃんがうらやましいわぁ」
「たいして変わらない!」
「ふざけるな。俺のが7センチはでかい」
「さらっとサバよんだよね?」

でもまあ山下も屈まないと顔面に葡萄があたるし頭には葉っぱがわさわさとつく。
葡萄が食べ放題なので一房千切って中村と分けて食べる。

「美味しい?」
「うん、あたり。ほれ」
「あーん」
「山下くん!俺もアレしたい!」
「俺はどちらかと言えばアッチのがしたい」

山下が見ている方を見てみればしゃがんでる佐藤と鈴木。

「ほら口開けろよ。鼻に詰め込むぞ」
「ふぎゅっうっう゛っ!」
「あーあー口いっぱいだなー。じゃあ鼻から食べさせてやるよ」
「なっ何してるのー?!」

こんな場所で葡萄使ってSMプレイだなんて!
鼻に葡萄詰め込まれそうな鈴木を回収。
鈴木が窒素する!

「なんだよ、吉田。俺なりに楽しくないバスツアーを楽しもうとだな」
「違うことで楽しみなさいよ!」
「鼻と耳に葡萄詰めたらケツにも葡萄詰めて産卵プレイしようと思ったのに」
「食べ物で何しようとしてんの?!バスツアーだぞ!自重しろよ!」

頭ピンクな佐藤の口にもう何も喋らないように葡萄を詰めてやる。

「産卵プレイ・・・」
「原田、山下の口にも葡萄詰め込んで」

葡萄狩りで大人しかったのは無心になって葡萄を食べてた中村だけだった。



バスツアーから離脱してコテージに移動。
車酔いで使い物にならない佐藤は敷いてあった布団に転がして原田と2人でBBQの火をおこす。
中村は明日の予定の確認をオーナーさんとしていて鈴木と山下で荷物の片付けとBBQ準備だ。

「炭ってどう置くんだ?」
「ばらばらーって入れて隙間作るの。中に着火剤入れてれば割と簡単につくよ」
「ふーん。あ、油撒けば早いんじゃね?」
「危険な実験は俺がいない時にして」

地道な作業でようやく火がついた頃に佐藤が復活。
と言うよりは鈴木と山下に起こされたな。
なんで無理矢理起こしたのかしら。
佐藤の寝起きは最悪だと知ってるくせに・・・!

「ロケット花火見つけたんだけどやっていい?鈴木と山下のちんこにぶっ刺して固定するんだ」
「「起こしてごめんなさい!」」
「謝ってるから許してあげて!綾平のちんこ壊さないで!」

恐ろしいことをしようとしている佐藤をなんとか宥める。
中村も戻ってきたところで用意されていた肉を焼きはじめた。

「ちょーいいにおい」
「肉にめっちゃサシ入ってんな」
「まだー?俺腹減った」
「鈴木、お前バイキングも葡萄狩りも1番食べたろ」
「葡萄狩りは中村だろ」
「はーい、焼けましたよー」

さすが山下パパ、いい肉を用意してくれたらしい。
原田が持って来たビール片手に串を回していく。

「BBQっつったらビールだよなー」
「わかるわかる」
「・・・ビールかけたら冷えないかな」
「不味いだろ!つかお前串振り回すな!」

猫舌の山下はビール飲みながら串振り回して肉を冷やしているらしい。
まぁビールぶっかけるよりマシだけど。
お酒は1人缶2本、重いからそれ以上持ってきてない。
それだけで酔う奴もいないからまぁなんとなくだよね。
飲み終われば炭酸に切り替えて、原田お手製で簡易チーズフォンデュ。
アルミホイルにチーズ入れただけなんだけどこれうまいの。
コーラを取りにコテージの中に戻っていた佐藤が花火を手に戻ってきた。

「なぁ花火しよーぜー」
「まだ肉残ってるよ?」
「花火だけ大人しくしてもつまんねーし虫刺され嫌だから煙いうちのがよくね?」
「確かに。飯食いながらすればいいよな」

風流を楽しむなんて誰も考えてはいない。
山下は置き花火に着火。
それを手に持って原田へ向けた。

「熱っ!ちょっ山下熱い!」
「浮気への仕返しだ」
「最近はしてない!出会いがないからしてない!」
「出会いがあったらするつもりだろうが!」

シャレにならない制裁だな・・・火傷したらどうするんだろ。
隣では中村が手持ち花火に5本まとめてBBQの炭で火を付けた。

「なっ中村!危なっちょっ肉に飛ぶでしょ!」
「見てみろ、これナトリウムの反応」
「やだこの人花火を一番冷める見方してる!」
「振り返ってみろ、もっと冷めるぞ」

言われてくるりと振り返れば下半身裸の鈴木とロケット花火を持った佐藤。
・・・まだ許してなかったのね。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
「動くとちんこ怪我するからなー」
「ちょっまっひぃっ!!!」
「やめてっ!一気に食欲不振!」

佐藤からロケット花火と鈴木を回収。
鈴木はいつもよりキツめにベルトを締めた。

「吉田デカチンだから深く入りそうだな・・・」
「助けて中村!俺のちんこインポの危機!」
「お前少し前までインポだったじゃん。また治るよ、きっと!」
「嫌だー!俺スカトロは良くても尿道プレイは嫌だー!」
「嫌がられると俺燃えちゃう」
「ギャアアアァァァ!!!」

次は俺が下半身裸にされる番だった。
誰か助けろよ!



リアルに失禁するかと思った。
佐藤に顔面に小便ぶちまけるぞ言ったら解放してくれた。
それぞれ風呂に入って今はトランプしながらグダグダしている。

「原田・・・いい加減服着ろよ」
「俺夏は裸族言ったじゃん」
「むしろ佐藤が不自然だぞ。1人だけパジャマって・・・」
「妹達からのプレゼントだ。可愛いだろ」

パジャマの佐藤に全裸の原田、他の奴はTシャツにパンツだ。
原田は風呂から出てきた瞬間から全裸だった。

「はい、俺大富豪」
「次いで俺富豪」
「げー・・・また佐藤と中村かよ」
「もう勝てる気がしない。はい、俺平民」
「うわっ吉田ちゃっかり」

伸びをしてから鞄から歯ブラシを取り出す。
明日も朝早いし早めに準備もしとかないとな。
寝起き悪い奴と朝に弱い奴が大変ネックだ。

「シャアァァ!俺平民!」
「よし、貧民!」
「げっ俺また大貧民かよ!」

大富豪も勝負がついたらしい。
鈴木大富豪弱いんだよな・・・。
明日の準備をしながら各々歯磨きを始める。
なのに原田だけ携帯ピコピコ。

「何してんの?」
「メール。愛を囁いてんの」
「ふーん?女の子?メールの内容恥ずかしいよ?」
「喜ぶんだー」

原田がメールを送信。
鳴ったのは山下の携帯。

「・・・は?」
「ん?なんだよ」
「お前、山下に送ったの?」
「言ったろ?愛を囁いてるって」

山下は携帯を開いてその文面を見た後携帯を鞄へしまった。
ちょっと嬉しそうな顔して。
あの山下が!

「山下の睫毛がいつ揺れていつ涙で濡れていつ天使みたいに笑うのか俺聞いてもいい?!」
「仕方ないなぁ」
「黙れ馬鹿共がアアアァァァァァ!!!」
「「ギャアアアァァァァ!」」

山下の回し蹴りがふっ飛んできた。
だって・・・だって・・・あまりに気持ち悪いメールだったから・・・。

「何してんだ?」
「原田の日課。いつもロマンチックなメールを山下に送ってんの」
「おお・・・気持ち悪いな・・・」
「吐きそう」
「山下ロマンチストだから」
「鈴木・・・歯を食いしばれ。前歯折ってやる」
「ごめんなさい!」

殴り蹴られた腹をさすりながら口を濯ぐ。
準備も出来たしもう寝たい。
明日の疲れを考えたら寝たい。
むしろ起きたくない。
敷いてある布団にダイブして中に潜り込む。
すでに端っこは佐藤と山下に取られていたから真ん中に。
鈴木がいそいそと佐藤の横の布団に寝そべる。
一緒に寝たいなら言えばいいのに。

「中村くん、一緒に寝ようよ」
「布団小さくない?」
「じゃあ枕寄せて寝ようよ」
「いいぞー」

空気を読んだ中村、さすが。
せっかく甘い空気にしてやったのに欲に勝てなかった原田は山下の布団に入ってソッコー蹴り出された。
そして鈴木は勇気が出なかった。
お前等・・・俺等の行為を無駄にしやがって。
もうどうしようもないので俺はむーちゃんとねねちゃんに触りながら寝るとする。

「揉むな」
「冷たいこと言わないで」

おやすみなさい。



「鈴木くん、起きてる?」
「うん」
「俺バスで寝たし夕方も寝たから寝れないんだけど」
「とりあえず目を閉じろ。怖ぇよ」
「ねぇねぇ、ヤろうよ」
「ハアァ?!ふざけんな!嫌だ!嫌って、あっ」
「2回しかしないから」
「おかしい!おかし、んっうぅっ」
「お前等うるせぇ!」
「ココで盛ンな!」
「寝れねぇだろうが!」
「何考えてんの?!迷惑なんだけど!」
「あ、みんな起きてるなら6Pでも」
「「「「ぐー・・・」」」」
「寝付きがよすぎるだろ!お前等っあっ助けて!」
「静かにヤろーねー?みんな起きちゃう」
「嫌だアアァァァ!!!」




※無断転載、二次配布厳禁
この小説の著作権は高橋にあり、著作権放棄をしておりません。
キリリク作品のみ、キリリク獲得者様の持ち帰りを許可しております。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -