ティンカーベル#

「よ、予想より斜め上だ・・・!」
「へへー」

悩みに悩んでの衣装、ティンカーベル。
だって考えてみて!
みきちゃんがこんな限りなく全身タイツに近い服とか際どいラインの服をきるわけがないじゃない!
プ●キュアとセーラー●ーンはNGだったもの!
本当はショーパンでもベビードールでもいいと思ったけどここはあえて!
だってショーパンとベビードールはいつか着てくれる気がする!
ティンカーベルより可能性は高いって言うかティンカーベルが低過ぎるもの!
みきちゃんがティンカーベルみきちゃんがティンカーベルミキカーベル!!!
俺は夢見るピーターパンだああい!

「ま、まぁいい。着てやる。だがその前に質問がある」
「何?」
「パンツは?」
「ないよ?」
「ボクサーじゃ出るだろ?」
「穿かなきゃいいんじゃないかな?」

あ、どうしよう。
青筋ビキビキだ。
殴らないでいてくれてるのは俺が誕生日だから?
やったー!
俺幸せだああい!



ミキカーベルが俺のために夕飯を用意してくれる。
俺がリクエストしたものを少しずつ皿へ並べて完成したオードブル。
色合いを考えるのがみきちゃんならではだよね!
20歳のお祝いに買った白ワインをグラスに注いで、小さな音を鳴らして乾杯。

「おめでとう、大地」
「ありがとう、幹也」

キスをしようとしたら羽根に邪魔された。
羽根・・・!

「ミキカーベル・・・羽根千切っていいかな・・・」
「お空が飛べなくなるわ」
「鳥を逃がさないために羽根を切るのと同じ感じで幹也を逃がさないために羽根を千切ってしまおうかなって」
「ンなことしなくても逃げないしキスぐらい俺がいくらでもしてやる」

ちゅって音を立てて幹也の唇が俺の唇から離れる。
あぁ、なんて男前な妖精さん。
それからオードブルのものを食べさせてくれる。
枝豆とかコーン、パプリカでわざわざきれいに飾って。
まるでお子様ランチみたいだ。
リクエストした揚げ餃子は小さく可愛いサイズ。
ちゃんとこれだって手作り。

「揚げ餃子可愛い」
「包むの大変だったんだぞ」
「みきちゃんは指先器用だね」
「大地だって器用じゃん」

小さな揚げ餃子をぽいぽい口に放り込んで、お洒落な生春巻きも食べて。
コーンスープは少し甘め。
カルパッチョもすごくおいしくて、白ワインもおいしくて。
ホント大満足。
バースデーケーキはみきちゃん特製のロールケーキ。
出来上がりまで部屋にこもってろ言われたから出来上がりを見るのは今が初めて。

「わぁ!すごいすごい!」
「プレーンだけどな。コレのが好きだろ?」
「うん!果物いっぱい乗せたね!」
「シロップに漬けてある」

ホントすごい手の込みよう。
上にミントをのせているのが流石みきちゃん。
巻くの難しいのにみきちゃんはいつも綺麗に巻くんだ。
白ワインからデザートワインに切り替えてまた乾杯。
少し太いバースデーロウソクを立てて、それを吹き消して。
そっと切り分けたら切り口も綺麗で、中にもたくさんの果物が詰まっていた。
お皿に取り分けて、それからみきちゃんがケーキをフォークに乗せて俺の口元へ。

「どう?」
「おいしい」
「だろ?」
「うん!ありがとー!」

みきちゃんも一口食べて満足そう。
今度はちゃんと羽根をよけてキスをする。
生クリーム味。

「あ、そうだ。ちょっと待ってろ」
「うん?」

みきちゃんは部屋に戻ると大きな紙袋を持ってきた。
みきちゃんが好きなブランドのショップバック。
でも中身は俺へのプレゼントだった。
開けて見ればお洒落な白と黒の靴。

「わああ!靴だ!革なんて、高かったでしょ?」
「でも格好いいだろ?絶対似合う」
「そうかな!」

それからストールまでもらった。
黄色と水色のストール、これは俺が好きなブランド。
ショップまで買いに行ってくれたんだ。
もう俺それだけで涙が出るほど嬉しい。

「写真撮ろうぜ」
「えっでもみきちゃん服が」
「これも思い出だろ?」
「わぁい!宝物にする!」
「それはやめてくれ!」

デジカメを手に四苦八苦しているみきちゃんからデジカメを取って俺がタイマーセット。
機械は俺の方が詳しい。
伊達にみきちゃんを撮影してないからねっ!

「10秒だよ」
「俺髪大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!俺は?」
「顔が赤い」
「ソレはみきちゃんもだよ」
「誕生日おめでとう」
「また来年も祝ってね」
「もちろん」

みきちゃんの腰に腕を回して優しくキスをした。
ピロリーンなんてムード感ゼロの音が鳴る。
そのままみきちゃんを床に押し倒して我慢していた分みきちゃんの身体を撫で回す。
あぁ、お尻が足が胸が腕が幹也が全てたまらない。

「ん、あぁっ」
「はっ!駄目駄目!」
「ん?なんで?俺別にいいよ?」
「だって折角のロールケーキが溶けちゃう」

そう言ったら幹也が声を上げて笑った。
ちょっと酔っぱらってるみたい。

「ベッドで待ってる」

ぢゅうっって俺の首筋に幹也が吸いついて、それから俺の腕を抜けて行った。
流石ティンカーベル、流し眼が綺麗。

「早くしないと逃げるかもよ」
「すぐ行きます!」
「そうして」

幹也が作ったロールケーキとデザートワインはまた後で。
崩れないように丁寧に冷蔵庫へ入れる。
それから俺はティンカーベルが待ってる部屋へ急ぐ。
ピーターパンは少し大人の階段を上ってもいいかもね。
だってこんなに可愛いティンカーベルが待っている。

「早くー」
「あれ、羽根は?」
「飛べないように千切っちゃった」

あぁ、なんて綺麗で可愛い俺のティンカーベル。



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