ComingOut:74

「富士急チケゲットした」

ぴらりと目の前に広げられるチケット。
でかした山下!

「パパに頼んだらやってくれた。コテージ借りれたぜ」
「ひゃっほー!さすが山下パパ!早いな!」
「金の都合も考えて帰りは夜行バスだけどいいだろ?」
「いい!金そんなにないから!」
「予算も伝えてたからさ。真壁さんがいろいろしてくれた」

目の前に出されたのは旅のしおり。
ま、真壁さんって真面目なんだな・・・会ったことないけど。
鈴木と原田ははしゃぎまくっているが佐藤と吉田の顔は真っ青だ。

「バス・・・富士急・・・」
「やだ、俺超行きたくない・・・」

そもそも遊園地とか乗り物が嫌いな佐藤、絶叫マシーンが嫌いな吉田。
そーゆーの大好きな鈴木と原田と山下と俺。
行くなら皆でっていう考えのもとでの多数決。
っていうか鈴木って意外と怖いもの知らずだよな。

「佐藤っ一緒にFUJIYAMA乗ろうな!」
「ふざけんな!俺は絶対乗らないからな!」
「吉田は俺と一緒なら高飛車乗ってくれるよな」
「やだやだやだ!絶対やだ!」

よし、絶対乗せてやろう。
あぁっ楽しみでたまらないっ!
しおりを開けば集合時間とか地図が入っていた。
そして忘れないようにとビニールの袋に入ったチケットがしおりにホチキスで止めてあった。
ホント真壁さんマメだな・・・。

「はい、じゃぁ金徴収しまーす」
「いくら?」
「3万。あ、お土産とかその辺は後で自分で出せよ」

それぞれ財布から3万を出して山下へ渡していく。
1泊2日で朝食や夕飯代、深夜バスも含まれてこれなら素晴らしいな。

「夜BBQって書いてあるけどこれ用意されてんの?」
「あぁ。コテージの管理人に渡しておいてくれるって」
「朝は?」
「コテージにレストランがデリ」
「へぇ。楽だな」
「2日目はほうとう食いたいなー思ったから店予約してある」
「深夜バス間に合うのか?」
「コテージの管理人さんが送ってくれるってさ」

さすが山下パパ、有名なだけはあるな。
1日目は観光も兼ねてツアー参加するらしい。
ンで夕方にツアー抜けて管理人さんの迎えでコテージへ。
それからチェックインのBBQ準備か。
あ、花火やっていいのか。
っていうかコレ予定に書いてあるってことは準備してくれてんのか。
2日目が朝から富士急ねー。
最高じゃねぇか。
閉園するころに管理人さんが迎えに来てくれて、それから夕飯食って帰宅。
こっちつくのは朝か。
・・・山下ン家お泊りコースだな。
近いのは俺の家だが俺の家は朝は親がいるから泊りはだいたい山下ン家だ。
でかいし親大体いないし。
駅から遠いのがアレだがまぁどうせタクシーつかまえて帰るしな。
疲れた状態で佐藤とか山下が荷物を持って歩くとは思えない。

「2泊3日分の荷物もって行けばいいのかー」
「待て、1泊2日分だろうが」
「朝帰りを山下ン家にするつもりなんで」
「帰れ。俺は1人で優雅に寝たい」
「待って。俺そもそも行きたくない」
「俺もだ」
「それは諦めろ」
「佐藤、俺お前迎えに行ってやるよ」
「来んな、鳥頭!」

心底嫌そうな2人を無視して細かい予定の確認。
俺がしてないと他がしないからな!
注意事項やら持ち物も確認。
特に荷物は無いらしいけどコテージにないものはチェックしておかねば。
絶対原田とか山下あたりは忘れるんだ。
原田は馬鹿だから文字が読めないに違いないし山下なんてアメニティが不足しているところに行ったことがないような奴だ。
ホント、ホントコイツ等なんでも忘れるんだ・・・!
佐藤はそーゆーことないんだけどな。
でも今回は期待ができない。
っていうか原田が迎えに行かなかったら本当に来ないかもしれない。

「お菓子・・・チョコレート持っていったら溶けるかな?」
「バスだし溶けはしないだろうがお前また太るぞ」
「黙れ粗チン。すこし太っていた方がタチの太股擦れなくて痛くないんだ」
「うるせぇ!太らないんだから仕方ないだろ!」
「気にするな鈴木。デブがひがんでるだけだ」
「お漏らし野郎は黙ってろ」
「ポニョちゃんごめんねー?気にしてたー?俺のスリムボディが羨ましいだろー?」

こっ・・・この野郎!
羨ましいものか!

「気にしないで、中村くん。俺ぽちゃぽちゃしててもお腹に指が埋まっても中村くんが好きよ」
「言っておくがお前が一番失礼だからな」

っていうかそんなにまだ太っていない!
ちょーっと太っただけなのに!

「ちょっと、3kgぐらい増えただけなのにっこの扱い!」
「3kgはちょっとじゃないぞ」
「腹割れば?俺みたいに」
「原田みたいなのはやだ!おっぱいなくなるでしょ?!」
「お前がそうやって甘やかすからポニョったんだろ」
「ポニョった言うな」
「中村少し運動すれば?」
「ちゃんとしてるしー。でもお前と違って激しいセックスじゃないからさー」
「そんな話してないだろうが!」

ぷんぷん怒ってる(可愛くない)鈴木を足で蹴り飛ばす。
あ、これいい運動じゃん。
もっと激しくしたら痩せる気がする。

「ちょっと、中村くん。鈴木くんいじめないでよ」
「やだー。佐藤くんが鈴木くん溺愛しちゃってるー」
「ちげーよ。そんな蹴ったら鈴木が勃起する言ってんだよ」
「あ、ごめん」
「しねぇよ!蹴られたぐらいじゃ勃起しねぇよ!」
「あ、蹴られるだけじゃ足りないのか」
「この間踏んだら射精したぜ」

本格的に気持ち悪いな。
なんだこのドM。
いつか叩いただけでもあんあん言い出しそうだな。

「・・・なぁ、皆で鈴木蹴ってみないか?」
「やっ山下くうううぅぅん?!それなんの提案?!」
「いいな、ソレ。いいダイエットになりそう」
「ちんこ外そうぜ、ちんこ。鈴木我慢できないからそのうち自分で弄ると思うよ」
「俺レイプ趣味はないけどソレなら同意だよな?イケる気がする」
「原田くんよく考えて!俺同意してない!」
「俺暴力振るう趣味ないんだけど・・・」
「吉田助けて!」
「でも俺が標的になるぐらいなら鈴木蹴るよ!」
「「「「よく言った、吉田!」」」」
「裏切り者オオオォォォォォ!!!」

旅行までに少しでも痩せる為に俺は鈴木を思いっきり蹴るダイエットをすることにした。
そして偶然を装ってお漏らしビッチ野郎の足を蹴ってやるんだ。




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