01:first contact
中高一貫の男子校、そこに高校から入学したのはほんのわずかで。正直不安だった。
昔から小さくて女の子にまでからかわれて挙げ句女性恐怖症。笑えない。だけど中学になれば可愛い彼女とかできるかもしれない!
勿論淡い妄想だ。何一つ変わらなかった。中学になり更に傲慢となる女の子と過ごした中学生活は振り返りたくもない!
さすがに成長期、背は少し伸びで女の子より小さいなんてことは少なくなったけど女性恐怖症は治らない。
そんなこんなで念願の男子校!しかも全寮制、近所の女の子に会わなくていい!俺はここでたくさんの友達に囲まれ素敵な生活を送るんだ!女の子から陰口を言われなくてイイ!
そう意気込んだ入学式。僕は腹痛で欠席した。大切な入学式になんたる様か・・・!
幸い同室の人は入学式の日から入寮してくるらしく(僕は早々に入寮した)、荷物だけが部屋に届いていた。悪いとは思ったが勝手に左側を自分のスペースとして使わせてもらっている。
「お腹痛い・・・キリキリするっ」
情けない話極度の緊張からきたものに違いない。僕ダサッ!
「僕の・・・煌びやかな入学式がっ!」
只でさえ中高一貫に高校からと言う不利なスタート。苦手な女の子もいないなら存分にみんなと話が出来ると・・・!
ちなみに中学は黒歴史だ。女の子にビビりすぎて友達と満足に話した経験もない。・・・隣の席の子が怖かったんだっ!
しかし悔やんでも仕方ない。明日は午前に身体測定、午後はオリエンテーションだ。まだ挽回できる。だから今日中に気持ちを落ち着けるんだ、自分!
なんだか蒸し暑い・・・そう思ってたら頬がひんやりして気持ちよい。
「んー・・・」
頬を擦り寄せたときにうっすら目を開けると人がいた。モテそうだなあ。中学で目立ってた柏木君みたいだなあ。柏木君優しいし格好いいし良い人だったなあ高校どこだったのかなとか考えてる場合じゃなくね?!
一気に頭が覚醒して硬直。おそらくは同室の高岡良樹君だ。
「あっあっあの、ご、ごめんなさい・・・」
僕の悪い癖、とりあえず謝る。
第一印象最悪だ!明るく元気に『間々原充です★好きな食べ物はポテチです★』と言う予定がっ!
「いや、なんか暑そうにしてたから熱あんのかって思っただけだから」
わお、高岡君クール。緊張して声がでない僕とは違う。
「俺、高岡良樹。よろしく」
「ま、ままま間々原充です!好きな食べ物はポテチです!」
僕撃沈。高岡君が目を点にしてこちらを見てた。
「あ、ああ。そうなんだ。俺は好きな食べ物ピザだよ」
顔がドン引きじゃあああああん!!!
恥ずかしくて泣けてきたので布団に潜り込む。早速部屋替え申請フラグが立ってしまった。
「うわ、もしかして泣いた?」
「な、泣いてないので気にしないでください」
心の汗だ、気にしないでほしい。
「泣くなよ、ちょっと引いただけじゃん」
引いたんだ・・・!
「泣いてなんかないです」
「じゃあ顔出してよ」
「嫌です」
すると布団をぐいぐい引っ張られて僕は意地になって布団にくるまる。え、ちょ高岡君本気じゃない?!
布団をはぎ取られてしまった。それでも枕に顔を埋めて丸まってたらスウェットに手が入ってきた。しかも下半身。
「ひぃ・・うわあああ!」
余りにびっくりして悲鳴をあげながら高岡君の手を押さえたらバッチリ目があった。
「ほらー泣いてるじゃん」
「泣いてないっ!そんなんじゃなくてて、手っ」
「嘘つき間々原」
「え、なっ!んっんんー!!!!!」
何が起こったかわかったのは唇が離れてから。僕はこの日ファーストキスを失った。びっくりして息が止まるかと思った。
目の前の高岡君はにっこりと笑っていた。僕はぼーっとしながらこんな顔で笑われたら女の子なんてすぐ落ちるんだろうなあなんて考えてた。なんとまあ好青年。
「間々原、勃ってる」
「え?」
もぞもぞと下半身に違和感。
下を見たら高岡君の手が僕のモノに触ってた。
「さっさっ触るなあああ!」
前言撤回、好青年なんかどこにもいない。
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