ComingOut:48

Thanks 464646hit! TO.海san



大変だ、鈴木くんがものすごく不機嫌だ。
この暑い日に屋上で日に当たりながらもさもさ頭を抱えていることは苦痛でしかない。
暑い、暑すぎる・・・!
脱水症状になりそうなぐらい汗が出ている・・・!

「す、鈴木くん・・・俺もう限界なんだけど・・・」
「・・・」

駄目だ、まだ怒っている。
啓介にキスマーク付けたぐらいでンな怒らなくてもいいじゃないか。
たまたまバイト帰りにあって、たまたまキスマークの話になって、もう1回練習しとけノリとつけてやるよノリだっただけなんだって。
すごい剣幕で怒るから触りたい放題よなんて苦しいサービス精神で乗り切ったのがマズかった。
俺干からびそう。
日焼け止め塗ってないのに・・・!
俺日焼けじゃなくて赤くなるタイプの人間なのに・・・!
顔だけ真っ赤とか恥ずかしくて学校なんか行けねーよ!

「もうそろそろ離れてくんない?暑い、もうお前が熱いのか太陽が熱いのか全然わからない」
「・・・」
「オイオイオイ。いい加減にしろよ、天然パーマ」
「啓介にキスマーク付けたくせに」
「お前にも付けてやるって。啓介より濃くてでけーの付けてやるからマジ離れて」
「嫌」
「だあああっ!離れろ!せめて水を飲ませろ!もう嫌だ!吐きそうなほど暑い!」
「ぶふっ」

無理矢理鈴木を引きはがしてボルビックを手に取る。
ソッコーがぶ飲み。
あー・・・うまい、ただの水がうますぎる。
鈴木は未だに拗ねていて機嫌を直す様子はない。
もうめんどくさくなって原田のエロ本(勝手に借りた)を頭にのせて睡眠準備。
近々中間テストだから睡眠時間削って勉強してるのだ。
俺マジで偉い。

「俺寝るから。キスマークが嫌なら他に何かしてやるから考えとけ」

また返事がないがもう気にしない。
勝手に拗ねてろ。
浮気じゃないんだし遊びだし何も気にすることないじゃないか。
どれだけ自分に自信がないんだ。
俺ぐらいに自信を持て。
俺は自分中心に世界が回っていると本気で思っている。

「さ、佐藤・・・」

腹の上に置いていた手を突かれる。
黙って返事をしないでいると今度は袖を引っ張ってくる。
うっとおしい!
寝れない!

「佐藤」
「はー・・・なんだよ」
「キ、キスマークの代わりなんだけど」
「何?決まったわけ?」
「そ、その、あ、あそびに、その」
「え゛、お前俺とデートがしたいの?」

原田のエロ本ずらして鈴木を見ると変な顔してた。

「ぶっ、うは、ははは!お前、俺とデートしたいの?!あーはははは!デート、ぶふっ」
「そ、そんなに笑うなよ!だって原田と山下もするし、ソレに吉田も中村もしてるじゃん!」
「う゛う゛っ腹、よ、捩れぶふっ!デートってお前、はははは!」
「もういい!嘘!したくない!しねぇ!笑うな!」

腹が1回転したんじゃねぇかってぐらい笑った。
今年一番笑った。
原田のエロ本握りしめてバシバシとコンクリートの地面を叩くほど笑った。
原田のエロ本がボロッボロになった。
やべ・・・原田イチオシの素人本だったのに・・・。
でもそれよりヤバいのはさっきより拗ねた鈴木くんだ。
不細工な顔しちゃって、可愛いくない。

「教室戻るぞ」
「・・・戻れば?」
「それから鞄もって中兄に見つからないようにフケるぞ」
「えっ」
「何?デートしたくないの?」
「する!」

機嫌が直ったらしい鈴木は上機嫌で屋上から出て行った。



上手く学校を抜けたのはいいんだが・・・鈴木とどこに行けばいいんだ?
無駄にそわそわしている鈴木くんが失望するような場所しか思いつかないんだが。

「とりあえずホテルで考え」
「なんでだよ!」
「ですよねー・・・」

そもそもコイツ等と出掛ける時には基本買い物したい時であってデートしようと思ったことはないからな。
この無欲な男とどこに行くの?
電気屋?

「とりあえずヨドバシ行っとく?」
「なぜにヨドバシ」
「え、電化製品好きじゃなかったっけ?ゲームとかPCとかカメラとか」
「好きだけども」
「あ、ビック派だった?」
「ちげーよ!」

他に何が好きなんだコイツ。
あ、白米。

「じゃぁ吉牛行く?」
「だからなんでだよ!」
「あ、松屋派?うまいよなー、俺断然松屋派なんだけど」
「なんで牛丼チョイスだって話だよ!」
「白米だけより肉のってた方がいいかなって」
「俺その思考回路がわからないんだけど」

うーん・・・真昼間から男2人で映画館もキモいよな。
ブラックスワン見たい気がしないでもないがそんなに興味をそそらないしな。
あ、映画館今なら人少ないし公開プレイのチャンス!

「映画館行こう!ブラックスワン見よう!」
「嫌な予感しかしない。公開プレイとか考えてるだろ」
「やだー、鈴木くん卑猥なこと考えてるー。したいんでしょー?しようよ」
「嫌だよ!馬鹿だろ!」

チッ、これも駄目か。

「ハァ・・・じゃぁ無難に原田の誕プレ買いに行こうぜ」
「そうだな。もうすぐだもんな。何ほしい言ってた?」
「除湿機」
「そっか。パンツとかでいいかな?」
「そうだな。ブリーフでいいだろ、白の」
「原田似合いそうだな!」

俺も似合うと思う。
そして山下にドン引きされればいいんだ。
目的の下着店見つけて中に入ろうとしたら鈴木にガッチリ身体をホールドされる。

「ちょ、佐藤くん。どこ行くの?ねぇ?何しようとしてるの?」
「え、下着を買いに。ココの可愛いし」
「俺の見間違いじゃなければ女性下着が並んでるんだけど」
「そうね。そーゆーお店ですからね」
「なんでそんなところにさらりと入っちゃうわけ?もう少し気を使えよ」
「いや、メンズもあるしこーゆートコのがお洒落じゃない」
「嫌!入りたくない!入れない!」

いやいや言う鈴木を引きずりながら中へ。
恥ずかしさに顔を伏せる鈴木くんの頭にブラ乗せてやったらものすごい勢いで元の場所に戻された。
俺は顔なじみの店員に声をかけて新作パンツを数枚手に取る。
Lサイズでいいかなー。
ここの小さめだし。

「鈴木くん、どっちがいいと思う?」
「どっちでも、いいと思います・・・」
「ちゃんと選びなさいよー。歌舞伎とパイソンよ?素敵なデザイン」
「じゃぁパイソン。似合いそう」

パイソンと大漁って書いてあるやつと虎と竜が描いてあるパンツを手に取る。
鈴木くんは耐えられなくなったらしく俺に財布を渡して外に出て行った。
たかがブラとパンツが大量にあるちょっとピンク色の店なだけなのに何が恥ずかしいんだか。
壁に飾ってあった今一押しらしいサマーデザインも色違いで2つ購入。
妹にあげよう、コレ可愛い。
ついでに店を1周して可愛いブラを漁ってからレジへ。

「いつもありがとうございます」
「いーえー。サマーデザインも可愛いですね」
「今年は水着も可愛いんですよ」
「ホントですかー?お姉さんより可愛いデザインがあったら今度買いに来ますよ」

商品受け取ってお姉さんに手を振る。
いやー、下着ショップのお姉さんのクオリティ高いよな。
外で大人しく待っている鈴木くんの元へ。
げ・・・また拗ねてる・・・。

「ナンパ・・・」
「挨拶だって、挨拶。ほら、お前にプレゼント」
「えっ何?!」
「Aカップでいよな?お前は黒にしたんだけどー」
「お前・・・」
「あ、黒が嫌なら中村と山下にも買ったし好きなの選べば?青と紫があるぞ。中村のはアンダーがアレだけど」
「死ねえええぇぇ!!!」
「う゛ごぶふっ」

シャツから乳首透けてる子達に対する俺の優しさだったのに返ってきたのは本気のアッパーだった。
そして怒った鈴木くんを慰めるために松屋へ移動。
・・・結局初デート松屋じゃん。




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