おじさん

2011年、4月某日。
姉が失踪した。



俺はロリコンだ。
そしてショタコンだ。
要するに少年少女が大好きだ。
しかし俺は紳士、そんな可愛い子供にナニを突っ込みたいとか考えていない。
無理矢理良くない、痛いの良くない、子供は愛でるものだ。
そんな愛でる対象の子供たちをどれぐらい好きかっていうともう目に入れても痛くないほどに好きだ。
マンションの隣の部屋に住んでいる愁くん(11歳)を溺愛するぐらいに好きだ。
下の階に住んでいるまどかちゃん(8歳)と映画館デート(子守り)をするぐらいに好きだ。
でもこんな感じだから現在恋人はいない。
恋人よりも愁くんやまどかちゃんが可愛くて可愛くて仕方ないのだ。
恋人との約束より愁くんやまどかちゃんの約束を優先していたら付き合い始めて4ヶ月で振られてしまった。
でも別に悲しくなんかない。
だって愁くんやまどかちゃんがいるし恋人なんて子供を産むための製造機(少しいい過ぎたと思っている)なのだ。
大人、可愛くない。
そんな俺は割と真面目に働いていて、人事部のチームリーダーまで昇格。
晴れて管理職だ。
滝沢廉次、28歳、独身。
この春から実に幸せな生活を予定していた。
それがまさか一気に崩れさることになろうとは全然、微塵も考えていなかった。

目の前に座る小さな男の子。
この子が今回の事件を運んできた。

「お、お母さんは?」
「知らない」

そっけない答え、ですよねー・・・。
小さな男の子は俺の甥っ子で滝沢仁、確か今年中学校に入学するはずだ。
久しぶりに会ったが小学校を卒業したばかり、やたらに可愛い。
中学生は守備範囲外(中2ぐらいで一気に可愛くなくなるから)だがこの可愛い感じはたまらない。
でも大丈夫、俺紳士。
目の前にいたからって手は出さない。
そして仁くんのお母さん、まぁ俺の姉なんだがこれがまぁいい加減な姉なのだ。
学生時代にできちゃった結婚。
反対された事にキレて家出、3年で出戻り。
その時俺は大学進学のため実家にはいなかったのだがしばらく実家で暮らしていたはずだ。
そしてそれから2年後、姉は再び家を出た。
理由は『仁を名門校にいかせて宇宙飛行士にすっとよ!』だそうだ。
この突拍子もない姉を放置する親、諦めているんだと思う。
そんな姉はその愛息子に『廉次へ。旅に出ます。探さないでください。仁をよろしく。』と書いた手紙を持たせ宅急便よろしく俺の家に送ってきたのだ。
いや、送ってきたのは宅配便でもなく姉でもなくタクシーなんだけど。
すでに姉はいなかったんだけど。
我が姉ながら大変恥ずかしい大人だと思う。
正直仁くんに会うのはもう何年振りかって話で、何を話したらいいのか以前にどう接したらいいのかわからない。
仁くんもさっきからむくれたままで特に何か喋るわけでもない。
姉の消息を母と父に確認したら『ハァ?知たんが』で電話を切られてしまってもう打つ手がないのに・・・!
子供が適当なら親も随分適当だな!
弟だけは真面目に生きてやるわボケェ!

「と、とりあえず、何か食べる?」
「うん」
「えーと・・・な、何が食べたいかな?好きなものあれば作るか買ってくるかするけど・・・」
「・・・チータラ」

あの飲兵衛があああ!!!
子供に何食わせて育ててんだ?!
実家で飼ってた犬じゃないんだぞ!!!
いや、犬にチータラも駄目なんだけど!

「も、もっと何か栄養のあるものがいいと思うんだ」
「・・・卵焼き」

卵焼きね・・・。
姉が唯一まともに作れるものだ。
昔彼氏のお弁当に入れるんだってめちゃくちゃ練習してた。
おかげで夕飯に卵焼きっぽいものが2週間続いたけど。
でもやっぱりお母さんが恋しいんだなぁって。
そらそうだよね、中学生になったとはいえついこの間まで小学生してたんだもん。
卵焼き・・・俺、お母さんよりよっぽど上手く作れるけどそれでいいのかな。

「少し待っててね。甘いのとしょっぱいの、どっちがいい?」
「・・・しょっぱいの」

そうだね、お母さんは甘いの作ると焦がすからね。
正座をしたまま動かない仁くんの頭を撫でて、それからキッチンへ向かった。
とりあえず、細かいことは夕飯の後にしよう。

この春、俺の約束されていた幸せな生活は姉の失踪事件のせいで大きく歪んだ。
とりあえず明日は仁くんと遊ぼうと思う。
大丈夫、俺は紳士。
ちょっとネズミとかアヒルとかいるテーマパークに行ってカラスが鳴いてるレストランでハンバーグとか食べるだけだから。




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