ComingOut:28

新学期が始まって、クラスに佐藤がいる。
実際ちょっと嬉しかったりする自分、死んでしまえ。
でも嬉しいことの次には嫌なこともあるわけで。
担任が中兄っていうなんなのこの苦行、面談とか進路相談とかも中兄としなきゃいけないの?
マジで最悪なんだけど・・・!
でもまぁどうにもならないので諦めて視聴覚室へ。
くだらない部活動の初日だ。

「今年の顧問誰?」
「え、シモ顧問やめたの?!」
「いやさー、たまたまシモにあったから今年もよろしく言ったら今年は違うって言いやがった」
「げー・・・シモだから自由にやってこれたんだぜ?どうすんの?」
「そもそもうちの部に顧問いらねぇよな」
「っていうか部じゃねぇよ。同好会」
「あーあ、シモじゃないのかー・・・」

ダラダラと視聴覚室へ向かってガラガラ扉を開けて速攻で閉めた。
見てはいけないものを見た気がする。

「何してんだ、鈴木。早く開けろよ」
「今日帰ろう、そうしよう」
「そういうわけにもいかないでしょ」

今度は吉田が扉を開ける。
そして扉を閉めた。

「アレ、俺疲れてんのかな・・・幻覚が・・・」
「しつれーしまーす!」
「やめろ山下!踏みこんだらいけない!」

・・・ほーら、みんな固まっちゃった。
そんなのお構いなしにふんぞり返るように座っている中兄。
もしかしなくても、もしかしなくても顧問この人?

「嫌だあああああ!!!」
「なんだ、鈴木。お前のためじゃないか」
「強姦じゃないって言ったじゃないですか!ノリノリで犯してもらった言ったじゃないですか!だからホントすみませんほっといてください!」
「やだー鈴木君が誘ってるー。一発シケ込むんで中兄どっかいってくださーい」
「佐藤また停学にされたいか」
「ホントすみませんでした。全然勃起する様子がないんでシケ込むのやめます」

中兄に首を絞められて佐藤が視聴覚室の中に引き込まれる。
そのまま佐藤と中兄について中に入るととりあえず正座をした。

「こうも問題児が集まるとほっとけないだろー?」

そう言って中兄は俺等にプリントを配る。
そこにはずらりと書かれた学校行事。
俺等のくだらない部活動は学校行事を補佐するという名目で発足したイベントプロデュース同好会。
発足理由は何か部活してたほうが進学有利なんじゃねー?っていうのと活動しない部活がほしかったってだけだ。
今まで文化祭とか体育祭とか祭っぽいイベント以外に何かした覚えはない。
めんどくさいから。

「お前等入学式も手伝わなかったらしいな?」
「いや、俺等みたいなのが入学式にいたらかわゆい後輩がビビっちゃうじゃーん?」
「全員強面なんでー」
「元ヤンそろってるんでー」
「俺停学中だったんでー」
「めんどくさいだけだろうが!」

なぜバレた。

「とにかく、俺は顧問兼部だからあまりこっちには来れないが定期報告はするように」
「来ないの?!よかっ」
「シッ!山下っ」
「・・・毎日来てやろうか?山下のために来てやろうか?」
「いえ、先生もお忙しいと思うんで結構です」
「とりあえず部長と副部長決まったら連絡しにこいよー」

それだけ言って中兄は教室を出て行った。
こ、これは本格的に監視されている・・・!

「ホント最悪・・・」
「とりあえず犠牲者決めようぜ」
「佐藤と鈴木のせいだから佐藤と鈴木でいいんじゃね?」
「ははっ冗談キツいぜ」
「ホント勘弁してください」

ソッコーで土下座、プライドとか関係ない。
中兄嫌いだからどうしても部長副部長は避けたい・・・!

「どう考えてもお前等のせいだろうが!」
「鈴木君が強姦言わなければここまで監視されることはなかった!」
「いやっそもそも佐藤が盛らなければ!」
「じゃぁ佐藤はガチなー」
「待って!ケーキおごるから!早まるんじゃない!」

佐藤と必死になって食い下がる。
前まで平等にくじ引きで決めていたじゃない!
俺去年副部長やったじゃない!
何もしてないけど!
全員俺等を完全無視で自分たちのもの(ローションとかゴムとかそーゆーの)を入れていた棚の片付けを始める。
中兄に場所がバレたらいけないから隠し場所を移動するのだ。

「あぁ・・・ホント担任に加えて顧問まで中兄とか最悪なんだけど・・・」
「ホントだよ。エス春とエム彦のせいで・・・」
「て、手伝います。すみません」
「エス春、お前もゴムの場所変えろよ」
「どこに隠すの?」
「とりあえず書籍棚の後ろに隠そうぜ。ほとんど使ってないから」

DVDとか置いてある方は割と使うからあまり使ってない書籍棚の本の後ろに隠す。
ちなみに持って帰る気はゼロだ。
だって必要じゃないか。
毎回ホテルだと高校生にはキツいんだよね・・・。
割とホテル代ってかかるじゃない。
佐藤も真面目に片付けしてるのかと思ったら携帯なんか弄ってやがった。
ま、真面目にしろよ!
部長副部長押しつけられたらどうすんだ!

「ごめん。俺帰るわー」
「ふざけんなよ、佐藤!お前、部長やりたいのか!」
「見逃して。これからデートなのー」
「もっとふざけんなよ!」
「そんなことのために片付け放棄か!」
「じゃーねー」
「待てコラァ!!!」

佐藤は開いていた携帯を閉じると鞄を手に視聴覚室を出ていく。
デート・・・デートね・・・。

「逃げやがった」
「・・・佐藤誰とデートなんだろ」
「鈴木くん気になるのー?」
「窓から見てればわかるんじゃね?校内だったらの話だけど」
「妹とじゃねーの?」
「そういや今度一緒にケーキバイキング行くって自慢してたな」

みんなで窓際に並んで校門付近を見つめる。
あ、佐藤出てきた。
1人で出てきたってことは妹ちゃんとデートか。

「あ、じゅりちゃん」
「おお、好奇心旺盛。佐藤に話しかけてら」
「じゅーりちゃーん!佐藤に近づくと妊娠するよー!」

吉田の言葉に佐藤からしねぇよ!って帰ってきた。
みんなゲラゲラ笑っていると思ったら原田だけなんかセンチな顔してる。

「原田?」
「ん?」
「顔がなんかセンチだけど」
「いや・・・じゅりちゃんおっぱい大きいなって・・・」
「何考えてんだテメェ!」
「頭ン中そればっかか!」
「おごっ!違っ俺は山下のおっぱいのが好きだから!」
「知るかボケェ!!!」

山下がお得意のドロップキックをキメてフィニッシュ。
とりあえずどうにかして部長副部長の件についてはなんとしても回避しなければ・・・!




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