温泉浴衣vol.2

バサリとシャツを脱ぐと大地の手がさっと乳首をガード。

「・・・何のつもりだ」
「みきちゃんの乳首を守る会名誉会長なんで」
「死ね」
「ぎゃああああ」

顔面に肘鉄を決めてやる。
なんだその変な会は・・・!
大地が痛さにもだえているうちにさっさと温泉に行こう。
変質者はおいていかねば。

「みきちゃん・・・」
「セリー、多分安倍ちゃん襲う人いないつか安倍ちゃんは変質者撃退できるぐらいには喧嘩強いと思うよ」
「たくさんの奴に絡まれたらわからないじゃん・・・」
「むしろセリーが変質者だよな」
「う゛っ・・・!」
「ちょ、りっちゃん!」
「律行こうぜ」
「おう。先行くわー」

律と並んで適当に座る。
眼鏡がないとよく見えないな。
大地は時生に慰められながら手を引かれて温泉に入ってきた。
髪を洗っていると横に人が座る。
誰だろうとジッと目を細めて見る。

「みきちゃん、そんな風に見たらまた目悪くなるよ?」
「ああ、大地か」
「俺等以外に人はいなかったよ」
「そうか。・・・盛るなよ」
「大丈夫、平常心保ってる!」

ジト目で睨めば大地はシャワーを頭からかぶった。
絶対保てていないだろう・・・。
大地を放置してシャンプーを洗い流す。
律がジッと俺を見ているので何かと思えばボソッと話し始めた。

「安倍って足綺麗なのな」
「自慢じゃないが我ながら美脚だと思う」
「さわっでふっ」

律をぶん殴ろうかと思ったらすでに時生に制裁をくわえられていた。
時生って静かに怒るからな。
大地も桶を手に律を睨んでいる。
隣の騒動を無視して身体を洗い終わると温泉へ向かった。
横を見れば律は時生に土下座していた。
人・・・いなくてよかったな。
しばらく温泉を独り占めしていたら大地が入ってきた。

「律と時生は?」
「まだりっちゃん土下座してる」
「律は考えてることが口に出るからな。考えが浅いんだ」
「心配なんだよ、時生。りっちゃんノンケだったじゃん」
「・・・お前もゲイではないよな」
「俺はみきちゃんじゃなきゃ駄目なの」

恥ずかしい奴だな。
大地はゲイじゃないから大地が持ってるAVとかエロ本には女が出てる。
そしてパッケージはなんとなく俺に似ている女優が占めている。
いつか捨ててやるんだ。

「大地・・・顔なんかキモいぞ」
「き、気にしないで・・・」

目を細めると若干前屈みだったので顔面を殴ってやった。
このっこのアホめ!
律と時生もようやく温泉に入ってきた。
律も顔面殴られたらしい。
そして顔も心なしか疲れていた。
俺は久々の温泉に大満足だ。

「みきちゃん、そろそろあがろ」
「後少し」
「駄目だよ、湯あたりするじゃない。またくればいいし、あがろ」
「わかったよ。律、時生、先あがる」
「俺等も後少ししたらあがるからー!」

俺が滑らないように手を引く大地にまかせて脱衣場まで戻る。
身体を拭いて着替えをすませると大地はお茶を買いに自販機へ向かった。
みんな分のお茶を頼んで休憩室へ。
律と時生が来るまでマッサージしよう。

「あ゛ー・・・超気持ちいいー・・・」
「オッサンか」
「律もやれば?マジ気持ちいいよ」
「そうするかなぁ」
「俺は足ツボしよ!」

足ツボ・・・時生なんか不健康そう。
料理できないし常に睡眠不足そうだし。
時生が機械に足を突っ込んだところで律と並んでマッサージチェアから立ち上がる。

「え゛、ちょ、何・・・」
「弱じゃきかないかもよ?」
「強にしようぜ」
「ちょ、まっあっあ゛あ゛あああ!痛い!ゴリゴリされであ゛っ!」

足を動かないように固定して強さとか刺激する場所を変えていく。

「あっあ゛あ゛っそこ、そこ何!い゛だい゛ああっ!」
「頭だって」
「頭が悪いって何?!」

時生が足ツボマッサージ機で悲鳴をあげてガクガクしている。
うわぁ・・・おもしろーい。

「痛いっあっ痛い!!!」
「ほら、時生バカだからこれを機になおしなよ」
「暴れちゃだめだろ、時生。浴衣はだけるぞ」
「あ゛あ゛っあ!セリー助けてっ!安倍ちゃんがSに目覚めてぎゃあああ!」

大地が帰ってきたらしい。
お茶のペットボトルを抱えて立ち尽くしている。
時生に呼ばれてハッとするとこちらに走ってきた。

「みきちゃん!りっちゃん!あんまりやり過ぎたら余計にバカになるよ!」
「あ゛れっセリーそれなんか違ううぅ!」

大地に律共々時生から引きはがされる。
大地は俺達が強にした刺激を弱にして俺達にお茶をくれた。
つか大地には温泉浴衣サイズ小さかったかな。
裾が全然足りてない。
ヘトヘトになった時生もこっちに来て大地からお茶もらうと4人揃ってソファーでダラダラする。

「この後どうする?」
「この辺散策してみる?」
「浴衣で行けんの?」
「近場なら行けんじゃねぇ?」
「つか寒いだろ」
「じゃあお土産見に行こうよ」
「母さん達にも買わなきゃね」

たくさん旅行してるけど買っていかなきゃ拗ねるしな。
ハワイ土産はマカダミアチョコレートだったな。
いつも王道なものを買ってくるんだよな。
足が痛い時生にあわせて店に移動する。
足が痛いとか言ってたのにソフトクリームを見つけるやいなや走って行った。
アイス好きだからな・・・。

「みきちゃんも食べる?」
「うーん・・・大地は?」
「はんぶんこする?」
「じゃあいちご」

1個は食べきれないのをわかってる大地からの質問返し。

「いつ見ても安倍とセリーの意思疎通は素晴らしいな」
「伊達に7年付き合ってないからね!」

大地は店員さんにいちごソフトを注文して俺のところに戻ってきた。
差し出されたいちごソフトにそのままかじりつくと大地がそれを凝視している。

「うへへ・・・」
「セリーキモッ!」
「みきちゃんが可愛くて・・・みきちゃん猫飼おうよ」
「ダメ」
「世話するよ?猫好きでしょ?」
「それでもダメ!」
「ぶーぶー」

絶対俺の相手しなくなるからとは言ってやらないけど。
大地は何か飼うと絶対溺愛するんだ。
小学校の時なんて飼育委員会ばっかしてたし。
なんだか余程デレデレしているから脛を蹴る。

「う゛っ!いっ痛いよ、みきちゃん」
「そんなに猫ほしいの?」
「えっミルクちゃん飼っていいの!?」

そんな名前なのか・・・。

「そんなにほしいなら・・・飼ってもいいけど・・・」
「色は黒いで目は黄色か青の猫がいいなぁ」
「やっぱダメ」
「え゛ー・・・」

許してやろうと思ったがやめた。
へこみながらコーンをガジガジかじってる大地。
そんな飼いたいのかな・・・。
動物好きだもんな。

「でも猫飼ったら大地猫しか可愛がらないしな・・・」

ハッ・・・!
声に出てしまった!
大地を見ればなんか頭に花が咲いた気がする。
3本ぐらい。

「猫いらないっみきちゃんいるから!俺っみきちゃんだけ可愛がるから!」
「あ゛っばか!ソフトクリームこぼれるっ!」
「場所を考えろ!」

頬擦りしてくる大地を押さえていたら律に大地共々殴られた。



ご飯は色とりどりで先付けから甘味まで全部おいしかった。
特に卵豆腐がおいしかった。
売店で売ってるらしいから買って帰ろう。
大地もおいしかった言ってたしな。
律は赤魚の煮付けに感動してた。
確かにおいしかったけど・・・時生に作っては酷だと思う。
だって時生料理できないし・・・家に調味料しかないし・・・。

「あっ安倍ちゃん・・・」
「ん?」
「あの煮付けって魚を醤油で煮たらあんなになるの?」
「そうだな、塩分取りすぎで律が死ぬだろうな」
「・・・りっちゃん少し考えて時生にいいなよ」
「そうだな。気をつける、マジで」

帰ったら時生と本屋に行こう。
簡単な和食を教えてやろうかな。

「部屋帰ったら飲もうぜ!」
「あっ売店で日光限定お菓子買ったの!食べようよ!」
「UNOしようぜ!」

久しぶりの旅行、楽しまなきゃ損だ。
部屋飲みだからたくさん飲めるしな!



※無断転載、二次配布厳禁
この小説の著作権は高橋にあり、著作権放棄をしておりません。
キリリク作品のみ、キリリク獲得者様の持ち帰りを許可しております。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -