ComingOut:14
現在朝10時。
休日は昼まで寝るのが俺の休日スタイル。
それなのに朝っぱらから元気な原田くんは俺の事なんかお構いなしに訪ねてきやがった。
「さーとーくーん、あーそびましょー!」
「・・・オイ、テメェ・・・俺の血圧をいくつだと思ってんだ、コラ」
「てっ低血圧だということだけしか、知りません・・・」
「だったら朝から俺ンとこ来てんじゃねぇよ、ボケェ」
「割れるっ頭割れる!」
原田のこめかみをギリギリ締め上げれば原田が悲鳴をあげた。
「オイオイオイマジでなんだよ。ねみーんだよ。昨日フルタイムで働いたんだよ」
「ドンマイドンマイ!ちゅーしてあげっぎゃああああ」
「死にたいの?何なのお前?あん?」
近付いて来た原田に頭突きを一発くれてやって玄関に寝そべる。
立って話すのすらダルい。
マジで帰ってくれ。
「清春!お友達に失礼でしょ!」
「うるせぇババァ!!いいんだよ!眠いんだよ!俺は寝たいんだよ!」
「部屋で寝なさい!」
「お母さんソコなんですか?!」
うちのババァ天然なんです。
とりあえず原田を引っ張って部屋に行く。
原田を部屋に入れたらソッコーでベッドに入った。
勝手に何かして遊んでいればいいんだ。
「さとーくーん。冷たいじゃないのー」
「テメェふざけるのも大概にしろよ・・・」
「ベッドインとか誘ったの佐藤くんじゃなオェェ」
ベッドに入ってきた原田の首を絞めてマウントポジション。
よし、掘ってやる。
ローションなしで掘ってやる。
山下に突っ込んでって言うぐらいに仕込んでやる。
「ずびまぜんでずだ!」
「掘ってやる。脱腸させてやる。山下に幻滅されろ」
「お゛お゛おぢづいで!ぐる゛びい゛い゛!」
「あ゛ん?まかせろ、処女には多少やさしくしてやるからよ。失血死しない程度にしてやる」
「やざじぐない!やざじざがみえなっあ゛っじぬ!マジで!!」
とりあえず手をどけて原田をベッドから蹴り落とす。
今にも吐きそうな原田は無視だ。
「手短に済ませろ。俺が寝るまでに話せ」
「明日ホワイトデーじゃないですか」
「・・・で?」
「お菓子を作りたいんですよ」
「あっそ。頑張れ」
「俺が作れるわけがないじゃないの。佐藤料理得意じゃない。教えてよ!」
「なんでだよ!本見ろよ!」
お菓子作りの本見たらできるじゃねぇかよ!
それに料理得意ってほどでもねぇんだよ!
バイトがキッチンなのと妹達の為に作ってた程度でしかねぇんだよ!
眠いんだよ!
「それに佐藤もお返ししなきゃいけないでしょー」
「コンビニで飴買って配るからいいんだよ」
「適当だな!」
友チョコや義理チョコに本気で返すバカがいるかよ。
俺に見返りを求める奴がバカなんだ。
ちなみに本気の子からはもらってない。
泣かれるのとかしつこいのとか面倒事とか嫌いなんだ。
「鈴木にはやんないの?」
「は?なんで?」
「貰ったんだろ?チョコ」
「ハァ?」
「板チョコだっけ?」
「アレは俺があげたんだよ」
正確には鈴木からもらった板チョコを俺が鈴木にあげたんだけど。
「鈴木からもらったのをあげたんだろ」
「・・・まぁ」
知ってたのか。
誰だコイツに話した奴。
「お願いだよー、山下手作りしてくれたんだよー」
「え゛、キモっ」
「キモいとはなんだ!買いに行くの恥ずかしいからって、それでもあげたいからわざわざ手作りをした綾平の可愛い優しさだろうが!」
「作る方が恥ずかしいだろ!山下バカだろ!」
ホント恥ずかしい奴等だな!
寒気がするっ何コイツ等!
つか惚気話しにきたの?
帰れエエエェェェェェ!!!
マジで何なの?!
「鈴木くん超喜ぶと思うよ?」
「ンなわけあるか。鈴木はそんな女々しい奴じゃない」
「やろーよー!鈴木くん喜ぶってばー!」
「だあああ!うるせぇ!」
顔面に一発いれてとりあえず黙らせた。
俺のお気に入りエプロン集(妹達の家庭科の作品)から原田に1枚貸し出してキッチンへ。
「はい、大変面倒ですがマドレーヌを作ります」
「はいっ先生!質問があります!」
「なんですか、原田くん」
「なんでマドレーヌなんですか!もっと簡単なののがよくないですか!」
「妹達が食べたい言ったからです」
「ホワイトデーまで妹優先かよ!」
「当たり前じゃボケェ!!!」
文句を言う原田を放置してマドレーヌ型を探す。
確か可愛いやつがあったんだけどな、なんか薔薇とか豚とか。
「ババァ!マドレーヌ型どこやりやがった!」
「棚にあるでしょ!」
「兄ちゃん探すの下手だからみつかんないんじゃん?」
「兄ちゃんここにあった!」
「お前等はホント可愛いなぁ」
「「兄ちゃんの妹だからね!」」
ドン引きしてる原田に腿パンを一発入れてキッチンから妹を出す。
可愛い妹達を原田なんかに見せてやらん。
取りあえず卵割ってバター溶かすか。
原田に電子レンジ使えるとは思えないから卵を割らせよう。
「卵割って、5つな」
「わかった!」
グシャッ
「・・・オイ、パカッと綺麗な感じで割れ」
「パカッと、パカッと綺麗な感じで・・・」
ベショッ
「怒っちゃやーよ」
「テメェ・・・ぶん殴るぞ」
「がはっあ゛があ゛あ゛!殴ってるっ!殴ってるよ、さとぐふっ」
原田から卵とボールを取り上げてザルで殻を除く。
原田に計量を任せてる間に前半は終了、我ながら綺麗に混ざった。
後は小麦粉とベーキングパウダーを入れて、綺麗に混ざればふっくら美味しくなるはずだ。
「原田、小麦粉入れて。ちゃんとふる」
「わかった!」
バフッ
「・・・」
「あっベーキングパウダーも入れるんだよな!つか佐藤顔真っ白だぜ!あはっあははははお゛え゛え゛」
「テメェお菓子作り舐めてんのか?なんなの、お前なんなの?邪魔したいの?」
とりあえず真っ白になった眼鏡を洗ってもう一度原田を蹴る。
腹を押さえて沈んだ原田に座ってマドレーヌの生地を丁寧に混ぜた。
くそー・・・ダマになりまくってやがる。
見た目はいい感じに焼けたマドレーヌを口に放り込む。
ふるいにかけなかったからなんかもさもさする。
「なんかざらざらすんね」
「おーおー、文句いえんの?」
「マジでうめぇな!」
なんとか形になったマドレーヌを丁寧にラッピングしていく。
妹達にもらったバレンタインラッピングの残り。
妹達が明日学校に持って行く分と山下の分、それに鈴木の分。
男2人で何やってんだか・・・。
「山下喜ぶかなぁ!」
「さぁなー」
「鈴木は喜ぶぞ」
「・・・キモいって言われる気がする」
絶対イジられるに違いない。
「なんで鈴木にあげなきゃいけないわけ」
「お返しはちゃんとしろ」
「女の子にあげたいわ。久々に女の子とヤりたい」
「ヤり目かよ。最低だな!」
いやぁ・・・なんつーかたまにはおっぱい堪能したいわけよ。
最近仲間内でしかシてないしな。
鈴木をいじめるのも好きなんだけどね、可愛いしやりたい放題できるし。
あとは鈴木が乳首モロ感だったら言うことないんだけどな。
「ハァ・・・自分が気持ち悪いんだけど」
「それ俺も思っていたりする」
「明日学校サボんの?」
「明日は行くよ。春休みの連絡あるだろうしな」
「課題たくさん出るだろうなぁ」
「よし!ラッピング完成!綾平っ俺頑張ったよ!」
いや、頑張ったの俺だから。
***
朝コンビニで飴を6袋購入。
会う人会う人に飴を配っていたらすぐに3袋なくなった。
・・・足りるかな。
「節操なしは大変だな」
「うるせぇ」
茶々いれてくる原田に頭突きをして、からあげクンを強奪。
朝からチーズかよ。
俺レッドが一番好きなんだけどな。
「俺の朝飯・・・」
「ごちそうさま」
おにぎりくわえてる原田からおにぎりも強奪して上履きに履き替える。
シーマヨか・・・俺はシーマヨより焼きたらこがいい。
山下を見つけた原田はおにぎりを取り返すのを諦めて山下のとこに走って行った。
キモいな、アイツ。
山下も同じこと思ったらしく走って逃げている。
原田と山下を無視して教室へ向かうことに。
教室を見渡せば鈴木は机に突っ伏していた。
頭を叩けばぶすっとした顔をして俺を見る鈴木。
「機嫌悪そうだな」
「うるせー」
「ハッピーホワイトデー。ほれ、お返し」
「え・・・あ・・は?お、俺に?」
「おう」
半開きだった目を全開にして俺とマドレーヌを交互に見てる。
「佐藤くん、俺には?」
「俺には?」
「はい、吉田くんと中村くんにはあめちゃんあげるよ」
「マドレーヌがいいなぁ」
「マドレーヌは鈴木くんだけなのー」
「俺の妹には?」
「ミルキーを1袋やろう」
「オイオイ、なんの冗談だ?」
「大真面目だ」
ぎゃーぎゃーうるさい吉田を中村と押さえつける。
下を向いて動かない鈴木を見てみればなんか気持ち悪い顔をしている。
「ふは、ふへ、へへへっ・・・」
あ、喜んでら。
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