ComingOut:11

山下に振られた。
鈴木が好きだから別れて言われた。
ショックすぎてショックすぎて中学時代の友人宅に行き、解決策を模索するも駄目。

「さとちん・・・」
「なんだい、はらちん」
「俺っ俺っ山下に振られちゃった・・・」
「マジで?山下と一発シケこんでくる!」
「ちょ、おまっそれはないんじゃないの?!」
「山下いいじゃん。泣かしたくなる顔してる」
「山下は俺の!やめてっ山下がなんかに目覚めたらどうしてくれんの?!」
「そうだな。とりあえずイかせてくださいと懇願させたい」

ダメだ、コイツに相談した俺が馬鹿だった。
中村に相談したほうがよかったかな。
吉田は駄目だ、山下のおっぱい狙ってるから。
吉田がふとなんかおっぱいに触りたくて(この辺よくわからない)山下の乳首つまんだら可愛い声出したとか。
ドロップキックで吉田は天に召されたけど。

「山下ね、好きな人できたんだって」
「え、俺?」
「ちげーよ、脳内ピンク」
「じゃあ誰よ」
「・・・・・鈴木だって」

それを聞いた佐藤は俺の耳にかじりついた。

「痛ァ!」
「馬鹿じゃねーの?」
「何でよ!」
「山下が鈴木好きなわけないじゃん」
「断言できるわけ?」
「うん、山下のタイプじゃない」

自信ありげな佐藤。
また痴話喧嘩かよと言いながら数独に戻った。

「でもなんでそんな事言い出したんだろ」

それがよくわからない。
最近喧嘩したのは2月頭ぐらいで原因はデートに俺が寝坊したから。
でもバレンタインには学校サボっていちゃいちゃしたし、最近山下の家に泊まりに行ったし。
セックスだってするしってか喧嘩した前日にシたし。
中出しはしてないし、ゴム付けたし。
うーん・・・理由が全然わからない。

「・・・なんで怒ってんだろ」
「・・・・・みゆきちゃんと遊んでたからだろ」
「なぜみゆきちゃんと遊んでいたのを知っている」
「山下と遊んでるときに見ちゃった」

そういやこの間遊ばないか誘われたが断ったな。
みゆきちゃんの約束が先だったから。
つか最初から理由知っていやがったな!
眼鏡割るぞ!

「お前の浮気が原因、反省しろ」
「浮気じゃありませんー。アレはみゆきちゃんの彼氏にあげるプレゼントを買いに行ったんですー」
「そう言ってくれば?つか最初から黙ってなければよかった思うけどな」
「みゆきちゃんが内緒っていうから」
「みゆきちゃん守って山下と別れんなら世話ないな」

全くその通りだ。
ぐうの音も出ない。
山下が他にしゃべるとも思えないんだから言えばよかったな。
許してくれるかな。

「じゃ山下迎えに行きますか」
「どこいるの?」
「視聴覚室。俺等以外みんないる」
「え、何してんの?」
「春休みの予定決めながらマリカー」

鞄を手に取り佐藤と視聴覚室に向かう。
実は6人でめっちゃくだらない部活動をしているのだ。
気分でしかやらないけど。
もっぱら視聴覚室はヤり部屋だ。

「あ、来た来た。佐藤早くしろよ!お前がいないと俺がビリなんだけど!」
「山下くん、いきなりそれはないんじゃなあい?」
「・・・佐藤、後ろの奴追い出して。顔も見たくない」
「う゛・・・!」

山下くん冷たい!
なんか鈴木くんの目も冷たいのは俺が浮気したと思ってるからなのかしら!
してないよ!
断じて浮気はしてないっ!
つか、つか中村の目も吉田の目も痛い!
マジ超アウェイ・・・!

「山下、一発ヤらして」
「近寄るな、嫌だ」

はっ山下が佐藤に喰われる・・・!
イかせてくださいと懇願させられる!
実はちょっと見たい!

「オイ、お前マジでっ、んぅぅっ」
「山下可愛いー」
「オイオイオイ!駄目だって!」
「浮気した奴は見とけば?」
「中村くん冷たくない?!つか浮気なんかしてないから!」

山下を佐藤から引ったくってとりあえず視聴覚室を出る。
人が少ない廊下まで来てから山下に向き直る。
ものすごい不機嫌だ・・・!
メンチ切られてる、元ヤン丸出しな目をしておられる!

「あの、みゆきちゃんと遊んでいた件なんだけども」
「潔く浮気って言えよ」
「断じて浮気じゃないから。みゆきちゃんに彼氏の誕プレ買うの手伝って言われただけだから」
「それが理由なら俺に黙ってる必要なくない?」
「みゆきちゃんに黙ってて言われたから・・・」

うまい言い訳とか説明とか馬鹿の俺には全然思いつかなくて。
情けない話めっちゃパニックです。
目の前の山下なんか青筋浮かべてマジギレ寸前。

「俺よりみゆきちゃん優先なわけ?呆れた、帰る」
「まっ待て待て!ホント悪かった!俺が悪かった!反省してます!もうしません!」
「触るな!もういいっつか俺鈴木が好きなの!」
「嘘吐くな!」

動かないように身体をホールドして、壁に押し付ける。
徐々に暴れなくなって、ようやく大人しくなった。

「ホントごめん」
「死ね」
「マジで気付きもしなかったし考えが無さ過ぎた」
「お前バカだから」
「そ。俺バカだから綾平いないと困る」
「大切にする言ったじゃん、嘘吐き」
「大切にするよ、誰よりも綾平が好きだもん」

ギリギリと肩に爪を立てられた。
めっちゃ痛い。

「俺由希也より佐藤のが好き」
「鈴木から佐藤に乗り換え?止めた方がいいよ」
「ドSだもんな」
「それ以前にあそこ最近ふわふわした感じになってんじゃん」
「え゛・・・」
「気付いてなかったの?」
「まったく」

相変わらず鈍いな。
ずっとエーって言ってる口に優しいキスをしてあげる。
レモンような甘いの味がする。
多分綾平がさっきまで飲んでたレモンティーの味。

「戻るぞ」
「駄目」
「なんでだよ」
「もう少しこのまま」
「世話の焼ける奴」

そのままずるずる床にしゃがみこんで何をするでもなくただ抱き合う。

「由希也、ちゃんと俺を幸せにして」
「当たり前じゃん。誰よりも綾平を幸せにしてあげる」
「約束だからな」

これで仲直り。

***

「毎度毎度原田はなんで学ばないかね」
「な。山下って原田大好きじゃん」
「原田バカだから。そう言ってやるなよ」
「山下も山下で素直じゃないよな」
「原田の前じゃ強がりたいんだよ、意地っ張り」
「ま、仲良くしてくれればそれでいいよ」
「「「そうだなー」」」」




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