温泉浴衣vol.1

「安倍日光と箱根どっちがいい?」
「日光」
「じゃあ日光でいいよなー」

俺提案、温泉旅行。
安倍とセリーの家に遊びに来たついでに決める。
時生とセリーはバイトだから今安倍と2人しかいない。
時生はカラオケボックス、セリーは居酒屋でバイト。
メインは夜だもんな。
安倍はコンビニだし俺ファミレスだから基本的に時間あわないんだよなぁ。
まぁこうやって休み合わせればオールできるからいいんだけど。

「旅行かー、久しぶりだな」
「旅行行かねぇの?そういや合宿も来なかったなよな」
「いやさぁ・・・こう、うるせえ奴がいるからさ」
「セリー?」
「そ」

そんなに厳しいのか?
つか7年目聞いたがそんなになるものだろうか。
逆に落ち着きそうな気がするんだけど。

「みきちゃんただいまー!!!」

噂をすればなんとやら。

「まぁ見てろ」
「うおっ」

安倍に襟を掴まれて引き倒される。
ちょ、え、この体勢はマズくない?
俺が安倍押し倒したみたいになってない?
フッと笑った安倍の顔、コレこの間の仕返しだ・・・!

「ちょ、まっ」
「オイオイオイ、テメェケツから手ェ突っ込んで内臓引きずり出してやろうか?あん?脱腸じゃすまさねぇぞ」
「怖っ!怖いよ、セリー!キャラが崩壊してるよ?!」
「ハァ?言い訳のひとつでもしてみろボケェ。いつまで俺の幹也にマウントポジションキメてんだコラァ」

目、目がイってるよおおおい!
俺腰抜けちゃうよ?!
ガシッと頭鷲掴まれて安倍の上から退けられた。
そのままベルト掴まれて俺内臓引きずり出される危機。

「うおおおい!待て待て待て!マジで違うんだって!オイ安倍!」
「大地、冗談だ」
「何が?」
「俺が律にされた事に対する仕返しだ。落ち着け」
「何されたの?事によると許さないけど」
「女性下着」
「あっその節はどうも。めっちゃ楽しみま」
「大地シャラアアアアップ」
「えっ使ったの?!」

あ、安倍がブラジャーつけたの?
腹が痛い苦しい!
安倍がっ安倍がブラジャー!!!
男前とかいわれてる安倍がブラジャー?!

「はっ・・・・・はぁぁ!笑い死ぬっ」
「ごっごめんみきちゃん!」
「マジお前等死ねよ。・・・大地、しばらく禁欲な」
「そんな・・・!」

悶えてたらインターホンが鳴って、時生も来た。
ついでにことの成り行きを聞いた時生も悶えた。
時生が差し入れに買ってきた飯と安倍が作った飯を食いながら安倍と決めた旅行案を詰めることにする。
とりあえず場所は俺と安倍の意見により日光に決まりで。

「日光に旅行することにしたんだけどさ」
「へー。時生と行くの?」
「いや、4人で」
「俺とみきちゃんは行かないよ?ね?」
「俺行きたい」
「駄目です」

セリーの目がマジだ。
え、たかが旅行に何この目力・・・。

「セリー、何で駄目なの?」
「幹也の裸は俺のものです。見せません」
「オイオイ、別に裸見たとこで俺安倍じゃ勃たないって」
「さっき襲ってたじゃない!」
「ちょ、それだから、違うって」
「・・・ちょっとりっちゃん、何の話?」

時生怒るとめんどくせぇんだぞこの野郎!
ほらもう顔が怖いんだもの・・・!

「違うんだって!ちょ、怒るなよ!痛ァ!手にフォークがっ痛ァ!」
「りっちゃん、浮気駄目って言ったよね?しかも相手が安倍ちゃん?勝てる気がしない・・・!」
「なんだその勝ち負けの基準!」
「幹也浮気したらマジで許さないからね!」
「しねぇって!時生も落ち着け!なんもないってば!」

フォークの痕をさすりながらとりあえず時生のDVから逃れる。
ちくしょー・・・俺元々ノンケだから信頼度がまだ低いんだぞ。
時生ちょー嫉妬激しいんだぞ。
そこがまた可愛いくてしかたないんだけどな!
絶対亭主関白にしようと思ってたのに最近尻に敷かれてる感がマジで否めない。
付き合い始めなんて初々しい中学生みたいだったのに・・・!

「はぁ・・・」
「律、なんか老けたな」
「ウチもお宅と一緒で嫁さんが強いんですー」
「大丈夫だよ、りっちゃん!その方が甘えたお嫁さん見るときの感動がパないから!」

セリーって安倍が相手ならなんでもいいんだな!
あ、でも時生もツンツンした後とかめっちゃにゃんにゃんしてくれるしな。
マジたまんないものな。
あれ、コレ意外に幸せかも知んないよ?

「なぁ、温泉行こうよ」
「駄目」
「大地と温泉行きたいなあ」
「2人で温泉付きの部屋に泊まろう」
「部屋別なら隣に律と時生いてもいいでしょ?それなら修学旅行と変わんないじゃん?」
「う゛ー・・・じゃあそれならいい」
「律、いいって!いやっほー!温泉久しぶりだぜ!!!」

マジ喜びしている安倍を嬉しそうな悲しそうななんか変な顔して見てるセリー。
時生とUNOする約束とかしてる安倍ははしゃぎすぎだと思う。
とりあえず旅行には行けそうだ。

***

そして現在日光です。
加えるなら俺もうすぐ死にます。

「温泉はどこだコラァ。部屋すら1部屋だろうがコルァァァ!!!」
「よっ予算と予約の関係が!」
「幹也が温泉で知らんジジィ共に襲われたらどうしてくれんだ!あん?!移動中に言えば引き返せたろうがボケェ!!!」

予約もギリギリだったし予算なんか全然足りなかったので4人1部屋の旅館。
和室雑魚寝でいいんじゃね?なーんて思ったが運の尽き、俺セリーに襟首持たれてチビりそう。
この人なんなの、なんか安倍の事になるとキャラがもう崩壊してるよ。
助けて時生くん、りっちゃん死んじゃう。

「安倍ちゃんUNOやろう!」
「大地と律忙しいみたいだからトランプしようよ!スピード!」
「俺黒が良いな!」
「俺赤でいいぞー!」

ちょ、アレエエェェェ?!
そこ2人何仲良くトランプやり始めてんの?!
この状況になんか疑問とかないの?!
助けてくんないの?!

「いいじゃん、大地。ちゃんと隠して風呂入るから」
「幹也!知らないジジィにマワされたりとかサウナで変な目で見られたりとか悪ガキに乳首吸われたらどうするの?!」
「もうお前の頭がどうするのだよ!ねぇよ!」
「駄目!俺が嫌!」
「チッ・・・・・じゃぁ大地が守ってね?」
「よ、喜んでえええ!」
「じゃあセリーもトランプしよ!」
「うん!」

もうセリーを理解できそうにない。
なんで何事もなかったかのようにトランプできるの?

「りっちゃんもトランプしよ!」
「ババ抜きしようぜ!」

時生の笑顔にやられた俺も何事もなかったかのようにトランプを始めた。
時生テンション上がっちゃってホント可愛いなぁ!

「トランプ終わったら早々温泉行こうよ、早い時間なら人もいないし」
「そうだね!ジジィがいない時間のが俺も安心!」
「ご飯食べたら飲もうぜ!酒持ってきた!」
「おやつもめっちゃ買ったしな!俺イチ抜けー」

さすが安倍、ポーカーフェイスにやられて俺ババ引かされちゃった。

「俺用意しよー!」
「俺も!ニ抜けー」

顔に出る時生とセリー相手じゃ負ける気しないな。
安倍と2人でオレオ食べながら荷物を片づける。

「ジャージでいいかな?」
「むしろ今の格好でもいいんじゃないの?」
「俺風呂上がりは着替えたいんだよなー」
「あっ浴衣あるよ、浴衣。俺浴衣にしよー!」

俺温泉の浴衣好きなんだよね。
楽だし涼しいし。

「じゃあ俺も温泉浴衣にしよ!Mサイズある?」
「あるよー。SとLもあるから時生もセリーも浴衣着ようよ」
「うんっ!置いといて!」
「あー!!!またババ引いた!」

まだ決着ついてなかったんだ・・・。
よく選択肢2つしかなくなった状態でこれだけ続くもんだな。
逆に感心するぜ。

「俺ババ抜き負ける気がしない」
「俺もさっき思った、ソレ」

安倍とオレオを2袋片付けるまで勝負が続いた。
ちなみに時生の勝ちだった。



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