裸エプロン

バレンタイン。
俺からしたら別に対したイベントではないのだが大地はそうでもないらしい。
毎年そわそわしてるのが丸わかりなのだ。
このバレンタインシーズンにチョコレートを買うなんて男には恥ずかしすぎるし、チョコレートなんかいつでも買えるのに。
でもバレンタインにチョコレートを貰うから嬉しいって気持ちは分からないでもない。
実際もらえば嬉しいからな。

「しかし・・・毎年来ているが嫌になるぜ」
「女の子いっぱいだね・・・」

まさか時生と2人でチョコレートを買うためにデパ地下で休日デートをする事になろうとは。
今年が初バレンタインの時生はなんだか落ち着きがなく、あたりをきょろきょろ見回している。

「あっ安倍ちゃんははじめてじゃないんだよね?」
「まあな。7年目だし・・・毎年欠かしたことないからな」
「いい奥さん!」
「時生もな」

でへっと締まりがない顔で笑う時生の頭を撫でて時生の手を握る。

「はぐれんなよ」
「うん!」

女の子だらけの中に割り込んで行き、目当てのチョコレートショップへ。
変わり種チョコレートもあればお洒落なチョコレートも揃う俺イチオシの店だ。

「ぎゃっ痛い!」
「と、時生?!うぐっ平気か?」
「鼻打ったあ・・・」

背が低い時生には辛いらしい人混み。
俺は頭一つ分飛び出ているが時生は完全に埋もれている。
ようやく目当てのショップにつくと人をかき分けてなんとかディスプレイ近くまでは来た。
俺の目当てはチョコエッグ。
中にはチョコレートでできたオブジェとビーンズが入った変わり種。
時生の目当てはチョコレートオランジェとボンボンが入ったボックス。
2人でこっそりメールして決めたのだ。
学内で2人でいるとそわそわしてる大地と律に見つかるから夜にこっそり相談。
毎年1人で悩んでいたが友人とこそこそするのも悪くはない。
女子中学生かと突っ込まれても何にも言えないな。
人に埋もれてる時生の手を引き、カウンター近くまで寄せる。

「どっちもまだある!」
「ホント?!」
「俺のが近いから、一緒に買おうか?」
「ううん!」

近いからまとめて買った方が楽だし、俺のが背が高いから買うの楽なのに。
そんな事を考えていたら少し赤い顔でニッと時生が笑った。

「自分で買いたいっ!」

おーおー、可愛いことで。
律は幸せ者だな。

「そっか。頑張れよ!」

そう言ってから俺は時生の手を離した。

***

翌日、大学で山のように貰ったチョコレートを持って自宅へ帰った。
サークルとかクラスの子とかに『大地君と食べて』とたくさん貰った。
俺も大地も甘いもの好きだからな。
ゲイだとバレてんだけどみんな優しいよね。
いい友達に囲まれてると実感する。

「当分チョコレート生活だな」
「だねー」
「手作りと市販で分けてくんねぇ?傷むのから食べなきゃ」
「はーい!」

嬉しそうな大地を見てちょっとイラッとしたのは内緒。
俺は夕飯作りに取り掛かろう。
チョコレートがたくさんあるから夕飯は軽めに。
部屋に戻り時生から貰ったバレンタインプレゼントを取り出して身につける。
安倍ちゃん料理するからとエプロンを貰ったのだ。
淡い水色と白の可愛いエプロン。
全く趣味じゃないが貰ったものは使う主義だ。
リビングに戻れば俺を見て目を見開いた大地。

「え、みきちゃん・・・そのエプロン何?」
「時生からのバレンタイン」
「ぶふっ」
「笑うなよ!確かに俺の趣味じゃないが時生がくれたんだぞ!」
「あ、いやっその違くて・・・」

いきなりしどろもどろなった大地。

「あのね、そのエプロン多分用途違う」
「・・・はあ?」
「この間ね、時生とねその・・・」
「ハッキリしろ」
「あの、その何されたら嬉しいか聞かれてね」
「なんて答えたの?バレンタインだししてやってもいいよ?」
「マジでエエエェェェェェ!」
「うるせぇ!」

前屈みで絶叫しやがった!
・・・・・え、前屈み?

「あのねっ裸エプロンをしてほしいの!」
「嫌、無理、変態、死ね、灰になれ」
「そこまで?!」

だって裸エプロンとか何のためにすんの?
エプロン何、意味ないじゃん。
裸でエプロンとかむしろエプロンを身に着ける意味が見いだせない!
普通に服着たらいかんのか!

「お願い」
「い・や・だ」
「みきちゃんの裸エプロン見たい見たい見たい」
「ちょ、まっ待て待て待て待て!」

ベルトをがっちり掴まれて、下着ごと下げようとしている。
大地が本気になれば力じゃ適わない。
身体を反転させて、ダッシュで逃げようと足に力を入れる。

「力は俺のが強いよ?」
「うわああっ」
「きゃー、お尻見えた」
「っ!見るな駄犬!」

ジーンズと下着は持っていかれてしまった・・・!
ロンTとカーディガンを引っ張って尻を隠し、前はエプロンで隠す。

「ジーンズ返せ!」
「裸エプロンしてくれたら返す!」
「ふざけんな!」

鼻息荒らして完全に盛ってるド阿呆。

「してくれるんでしょ?それともまたしてくんないの?」

節分の時のをまだ根に持ってんのか?

「ううぅぅぅ!違うの持って来い!裸エプロンは嫌だ!」
「嫌だ!裸エプロンがいいっ!」
「よし、じゃあじゃんけん!」

久々にじゃんけん、だって引けない!
裸エプロンは嫌だ!

「いいよ!」
「せぇーの、じゃんけんぽん!」
「シャアァ!やったあああ!」
「何故だド畜生がああぁぁぁ!」

目を輝かせて俺が服を脱ぐのを待ってる。
とりあえずカーディガンと靴下は脱いだ。

「ちゃんと脱ぐから、見んな」
「無理無理、眼福」
「じろじろ見すぎなんだよ!」

ゴソゴソとエプロンを脱がずにロンTを脱ぐ。
あ・・・何か失った感・・・。
駄目だ、人として何か失った、耐えらんねぇ。

「も・・・無理・・・やだ・・・」
「可愛い可愛い可愛い!新婚さんみたい!」
「どんな偏見だ」

新婚さんみんなが裸エプロンしてるわけないだろうが!
ああ・・・恥ずかしい、前が向けない。

「も、いいでしょ」
「みきちゃん泣いてるの?」
「泣いてないから。恥ずかしくて何かを失ったんだ。明日が見えない」
「ごめんね、でも可愛い。俺幸せ」

大地に痛いほど抱きしめられる。
よしよし言いながら頭を俺の撫でてる大地。
泣いてないって言ってんのにさ。
ついでに足付近に大地のが当たってる。
バッキバキじゃん。

「・・・大地、当たってる」
「う゛っ!盛ってごめん!しばらくしたら治まるからっ」
「ソファー座れ」
「え?」
「ヌいてやるから」

目を丸くして俺を見てる大地。
そんなに驚かれたらシにくいんだけど・・・。

「早くしねーと気が変わるかもよ?」
「お願いしますっ!」

サッとソファーに移動した大地のズボンのベルトを外してファスナーを下げる。
下着をずらせば俺の顔に大地のちんこが当たった。

「ううっ!」
「ご、ごめっ」
「興奮しすぎだっ!・・・ちゅ、んん」

リップ音を鳴らして大地のちんこにキスをする。
丁寧に舐めあげて、ゆっくりと大地のを口に含む。

「んっんっ・・・は、あっんぅぅ」
「あっみきちゃん、そこっ」
「気持ちいい?」
「うん、ヤバいっ」

口をすぼめて、じゅぷじゅぷ音を立てながら大地のちんこを吸いあげる。
舌を尖らせて裏筋を強めに擦りあげると大地の足がビクビク震えた。
あ、先走り出た。
ソレを零さないようにずるずる吸って、またちんこをくわえる。
フェラシてると思うんだけど・・・こんなんが俺ン中挿ってんだよなぁ。
あ、アテられて俺まで勃起しちゃった・・・。
ちんこに手を伸ばして、先っぽに指を滑らせる。
しばらくグリグリしていたら先走りが出てきて、ソレを掬って後ろに手を回す。
だって大地、もうイっちゃいそうなんだもん。

「うぅ・・、幹也俺イきそう・・・」
「らめ、ンンッ!もう少し、待って・・・あっああんっもう少しで、挿るから・・んんっ」
「幸せな拷問だ・・・!」

ぐちぐち音を立てて、アナルには3本も指がおさまった。
しばらく出し入れしていたら緩くなったので指を引き抜く。
大地のちんこにまたキスをして、最後に一舐めしてから大地に跨る。
ゆっくりと腰を落とせばずるずると俺の中に挿っていく大地のちんこ。

「あっああ・・・!」
「は、狭いっ」
「はあっあ、大地動いてぇ・・俺動けないぃっふああっ」
「可愛いっ可愛い!ホント幹也大好き!」
「んあっあああっ!やっもっと、ひん!ゆっくり、突いてぇっ!」
「無理無理!ホント限界なんだって」
「あっあっあん!あっ激しっあひっ!」

腰を掴まれてガツガツ奥を抉られ、肌と肌がぶつかる音が部屋に響く。
俺は大地にしがみついて、揺さぶられるがままに腰を振った。

「ん、幹也っごめん!俺イっちゃう」
「うんっあっいいよ!んっんああっひぃん!」
「んぅっ!」
「んあっあああっでてるぅ・・・!」

大地のちんこをぎゅうぎゅうに締め付ければ大地は呆気なくイった。
俺もイきたいとこだけど我慢して大地のを抜く。

「幹也?」
「ちょっと待ってろ」

裸エプロン恥ずかしいなんて言ってる場合ではない。
部屋に戻って素早く目当てのものを掴むとリビングに戻る。
後始末してる大地にもう一度跨って、チョコレートを渡した。

「ハッピーバレンタイン。今年もよろしく」
「うわああ!ありがとう!開けていい?」
「ダメ」

俺は大地からチョコレートを取り上げてテーブルに置くと大地のちんこを掴む。
少し扱いて、もう一度俺の中に挿れた。

「俺が、先。それからチョコレート、いいだろ?」
「もちろん!」

俺の中でズクンと脈を打った大地のちんこ。
深い深いキスをして、マジで精液枯れるまでセックスをした。
ハッピーバレンタイン、今年も大地だけを愛してる。

***

「わあ!ワニとジェリービーンズ出てきた!」
「気に入った?」
「うん!」

俺ってホント幸せ。
腰が砕けて動けない幹也の口にジェリービーンズを入れて一緒に食べる。

「ハァ・・・先に渡して正解だった」
「盛ってごめんなさい」
「いいよ、俺もそんな気分だったから」
「ホントに?珍しい」
「だから今日一緒に寝てやってもいい」
「やったー!」

がばりと幹也に抱き付いて、軽い触れるだけのキスをする。

「寝れるなんて思わないでね!」



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