「ナマエ―、あれ?」

いつもなら教室にいるはずの時間にナマエがいない。ナマエの席に集まっていた奴らが俺を見て一斉に去って行ったのを見て、何かがおかしいと感じた。

「なんだよこれ」

汚れた机に侮辱だとしか思えない机上の墓花。ナマエが彼氏がいるのに他の男と寝るビッチだという噂は上の学年まで聞こえてきたけれど彼女がそんな人ではないのはよく分かっていた。ただの嫉妬でもナマエが悪く言われるなんて珍しいなくらいに思っていた。何故彼女がいじめられているのだろう。汚れた机を掃除して周りを見回せば視線を逸らされる。

「黒尾先輩にまで手出してるんだ」
「どういうことか教えてもらってもいいかな」

殴りかかりたくなるのを抑えて声の聞こえた方に行けばスマホを見せられる。

「ナマエちゃん付き合ってる人がいるのに他の人と寝てるって・・・」

少し怯えた様子で見せられたそれは確かにナマエの裸で男のもので汚された体だった。

「は、」

眠っているナマエは何も知らないかのような穏やかな表情で、無理やり、というより知らないうちに事が済んだようだった。

「くそっ」

そしてある一つの結論に辿り着く。

手に入れたいからってここまでするなんて。

もう一人の幼馴染のすることにゾッとする。普通に考えれば止めなければならない。止めようと思えば・・・できる。けれど研磨は俺がそうしないことを分かっているのだ。
ナマエと研磨、俺の中にある二人の幸せの天秤はどちらにも傾かない。どちらも大切で、どちらにも幸せになって欲しい。真実を伝えれば研磨は居場所がなくなるし、この先ナマエは誰のことも信じられなくなる。だから知っていて俺が何も言わないことを分かっているんだ。

俺はナマエを助けるとができない。
何もかも見て見ぬふりをする以外の選択肢は残されていなかった。




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