人に嫌われるのが怖かった。捨てられるのが怖かった。
みんなに平等に、嫌われないように。ミョウジナマエの人物像は完璧に作られたものだった。

「ミョウジさんって意外とドジなんだね。可愛い」

だから彼がちらりと見えてしまった本当の私に可愛いと言ってくれた時はとくんと心臓が脈打った。嬉しかった。私には価値があるんだと言ってもらえたような気がして。だから初めて告白を受けた。

「研磨、クロ!私彼氏できた!」
「ナマエに彼氏!?碌でもない奴だったら許さないからな!」

そんなことを言うクロにもう!と頬を膨らませた。研磨は興味なさげに携帯ゲームをしている。少しくらいお祝いしてくれたっていいじゃない。まぁ、研磨に期待したって仕方ないか。






「そろそろ研磨家に帰ってきたかな」

今日の宿題は難しくて、研磨の家に向かった。研磨はクロと違って写させてくれるからいいんだよね。いつも通り宿題を写して、研磨のベットに横になる。研磨の匂いって安心できてすぐに眠れるん、だ。


「ん、この部屋寒くない?」

研磨が毛布を被せてくれていたのに体が冷え切っていて、小さく縮こまる。

「送っていくからもう帰りなよ」
「そうする」

研磨も寒がりなのに全然寒がっている様子はない。寝てたから寒くなっただけだったのかな。



「おばああちゃん、おはよう」
「おはようナマエちゃん」

おばあちゃんの美味しいご飯を食べて、いつも通りの時間に学校に向かう。普段なら学校に着く前に何人か声をかけてくれるのに今日は誰にも声をかけられなかった。少し寂しく思いながら席に着く。自分の周りにぽっかり穴が空いているような気がして、なんだか居心地が悪かった。

「ミョウジさん、おはよう」
「おはよう!」

朝一番に声をかけてくれた彼ににっこり笑って返すけど、彼の表情は暗くて、少し怒っているように見えた。

「聞きたいことあるんだけど」
「何ー?」
「これ、何?」

携帯の画面を見せられる。最初に目に入ったのは女の裸体で、付き合ったばかりで何を見せるのだと顔を赤くする。

「これミョウジさん・・・だよね?」
「え!?」

よく見てみればその女の人は私で、黒子の位置まで一致している。眠っている様子だけど背景は黒く塗りつぶされていてわからなかった。

「何これ!?」
「ミョウジさんが知らない写真ってこと・・・?」
「知らないよ!ほんとにどういうこと!?」
「そっか、よかった・・・」
「そ、そうだよね。ミョウジちゃんが浮気なんてするはずないじゃん。合成だよ」

硬い空気の私たちの周りにワッとクラスメイトが集まってくる。誰がこんな嫌がらせを、ナマエちゃん可哀想という声が聞こえてくる。私も合成だと思いたかった。だけどあれは確実にいつも見ている私自身の体だった。




「ナマエどうしたの?元気ないね」
「実は・・・嫌がらせ・・・なのかな。私の裸の写真がクラスにばら撒かれてて」

研磨の布団の中に入ってうずくまる。一人でいたら気が滅入るから研磨の家に入れてもらった。

「でも私裸で寝たことなんてないし・・・。みんなは合成だって思ってるけど、あれ・・・私の体だし」
「・・・裸の写真なんて例えそれが合成だと思っていたとしてもおかずにされちゃうだろうね」
「そういうこと言わないでよ!ねぇ、どうしよう研磨!怖いよ!寝てる間に撮られてんだよ」
布団の端をぎゅっと掴んで震える。自分の宿題に目を落としていた研磨がこっちを見て私のゆっくりと手を伸ばしてくる。研磨が触れてくることなんて珍しいなと思いながら身を任せる。

「一緒に寝ようか?」

彼氏もいるし、もう高校生だし、本当はそんなことしたらいけないって分かってる。だけど怖かった。一人になりたくなかった。

「一緒にいてよ研磨」

研磨の宿題が終わるまで待って、一緒に布団の中に入った。二人で温もりを求める猫のように絡み合って眠った。




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