白い首筋が見えた。吸血症を患っている間日焼け対策が万全だったナマエの肌は未だに病的なほどに白い。ゲームに夢中になっている彼女は少し力を入れればぽきりと折れてしまいそうな細首を狙われていることに気付いていない。

「これどうやってクリアするの?」

俺がやっているところを横から見て、自分もやる!なんて言い出したナマエは思ったより複雑なゲームに苛立って眉を顰めた。

「ねぇ、研磨」

結局ゲーム機を放り出して自分の携帯を取り出す。最近ハマっていると言う育成ゲームを開いて、やっぱり私にはバトルとかより平和なのがあってる!と膝を抱えた。
チラリとシャツの隙間から覗く白い首筋。ただの好奇心だった。

「ひゃぁっ」
「しょっぱい」

うっすらかいた汗を拭うように舐め上げた。ナマエは携帯を落として固まる。

「け、けけけ、研磨!?い、一体何を・・・・?」
「・・・・ちょっと前まで俺の首を舐めてたのはナマエだったのにね」
「舐めっ!ち、ちがっ!あれは血を飲むために・・・」
「・・・・噛んでみてもいい?」
「へ!?」

ナマエの顎を伝う自分の血を舐めたことはある。だけどどうしてもソレが美味しいとは思えなかった。今ナマエが俺の血を飲んだら美味しいと感じるのだろうか。それとも吸血症が治れば、美味しくないのだろうか。そもそも完治したら他人の血液を欲することはなくなるのだから、普通なら飲もうとすら思わないのだろう。綺麗になった俺の首筋からナマエの痕跡は消えた。それが物足りなくて、噛んで欲しいとそれとなく言ったことはあるが、もう自分の唾液には傷を治す力がないからと断られてしまった。傷口からじわりと広がる熱は、自分がナマエから必要とされている証。俺はいつだってソレが欲しいのに。

少し震えるナマエの首筋に軽く歯を突き立てる。ナマエは拒否することなくされるがままだった。唇を滑らせればどくどくと太い血管が通っている場所を見つける。そんなところを噛み切られれば命だって危ないかもしれないのにナマエは何も言わずに研磨に身を任せた。愛しい子のひとを殺そうと思っているわけではない。だけど、自分の手の中にナマエの命が握られている状況はゾクゾクする。

「い゛っ」

太い血管を避けて、欲望に任せて噛み切らないようにしかし強めに歯を突き立てればじわりと滲んだ血液が研磨の舌に乗る。
美味しいとは思えなかったけれど、ナマエの血液には中毒性がありそうだと思った。

唇を離せば痛々しい赤い跡。ソレが所有印に見えて自分の中の何かが満たされた。

「ナマエ、頂戴」

目を細めて自分の首筋を突き出す。ツゥ、と傷口を指先でなぞれば痛んだのか涙目になりながらナマエは研磨の首筋に唇を寄せた。




俺たちのこの関係は歪で、他の人たちからしたらおかしいと思われるものかもしれない。他の異性に、例えそれが家族だとしても触れることはできないし、そう考えると多分、ナマエとの子どもは望めないのだろう。でも別にそれでもいい。ナマエが俺の隣にいて、俺のものでいてくれるのなら、それ以上の幸せはないのだから。




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