「いいのか?黒尾」

ずしりと肩にのしかかる重みを軽く振り払う。昨日のやりとりを見た木兎が本気で俺のことを心配してくれているのは分かっている。

「俺は研磨ほどナマエに惚れ込んでないからなぁ」

なんともねぇよ、と軽口を叩くがそんな俺の心情を見透かした顔でこちらを見てくる。馬鹿そうにも見える、というか実際馬鹿な木兎だが、こういう時察してくるのは少し面倒だ。

「俺は別にあそこまでしてやる必要はねえと思うけど。黒尾だってナマエちゃんに告れねぇじゃん」

納得いかないところがあるのか唇を尖らせる木兎。ナマエもよくその仕草はするけど全然可愛さが違うな。

「俺はナマエと研磨が幸せだったらいーの」

グッと自分の気持ちを抑えて笑う。研磨ほどナマエに惚れ込んでいないというのは本当だ。あいつに人生を捧げるとも言えないし、あいつの人生を縛る覚悟もない。ナマエと研磨が番になればもう3人でいることも少なくなるだろう。それだけは・・・

「やっぱりつれぇな」

せめて幼馴染として、二人のそばにいさせて欲しいと思った。















「てつろう!」

病院から出てきたナマエは日傘をさしていなかった。明るい日の光を浴びて、病的なほどに真っ白な肌はキラキラと輝いて見えた。ニコニコと笑うナマエを眩しそうに目を細めてみている研磨もナマエが俺に話しかけることを許しているようで、駆け寄ってくる彼女に苦言を呈することはなかった。

「完治したみたい!やっぱり研磨以外の男の人に触れるのは無理になっちゃったけど」

「お前元から研磨以外に抱きついたりしてないから問題ないだろ」

そうだけどさー、と唇を尖らせるナマエに俺はもう触れることができない。

「それ言ったら俺も元々ナマエ以外の女子に触ったことなんてないんだけど」

「あー。ハイハイ。ソウデスネ元々分かりやすかったからねー」

番になる前からお互いを特別扱いしていたくせにホントなんで気付かないんだろうな。
笑い合う二人をみれば随分と長い時間をかけた失恋だったにも関わらずホッとした気持ちの方が大きかった。
俺の大好きな幼馴染達。どうか幸せになってください。
やっぱり二人が遠くに行ってしまったような気がして視線を落とした。

「てつろう」「クロ」

同時にかけられた声に顔をあげるとナマエは満面の笑みを浮かべて、研磨もふっと口角をあげてこちらを見ていた。

「ありがとう。これからも一緒にいてね」

「別に気を使って離れたりする必要はないから」

恥ずかしがって視線を逸らす研磨と柔らかく笑うナマエに涙腺が緩んでしまう。

「結婚式かよおおおお」

「・・・言う必要あった?これ」

「言わないとてつろういなくなっちゃいそうなんだもん」

「それ、俺達の前から消えようとしてた張本人が言う?」

「は!?ナマエ!??俺それ初耳なんだけど!?」

ナマエの肩を掴もうと一瞬手を挙げて下す。今までと同じようにはいかない。それでも3人で同じ時を過ごすことができる喜びを今はただ噛み締めたい。




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