「侑、治、誕生日おめでとう」

「聞いたかサム!俺の方が先やった!」

「毎年何言うてんねん。何も関係ないやろ」

双子の誕生日を一緒に迎えるようになって何年目だろう。幼い頃からともに過ごしてきた侑と治はどちらもナマエにとって一番大切な幼馴染だった。

「じゃあそろそろ帰るな、おやすみ。二人とも」

「何言うてねん!???こんな時間に帰るん!?」

「そうや、泊まって行けや」

「家隣だし・・・」

「あかん!母ちゃんもナマエならええって言うとったやろ!」

「うーん、でも、」

「朝ごはんナマエが大好きないちごヨーグルト出てくるで」

侑が勢いで引き留め、治が物で釣る。喧嘩ばっかりだけど息はぴったりでやっぱり仲良いんだよな、と苦笑する。

「リビングに布団敷くで!三人で雑魚寝や!サムはおらんくてもええけどな!」

「お前をナマエと二人きりにするとすぐ襲うやろ。」

「そんなことせんわ!」

「いいや、お前は性欲の権化やからな。こん前部屋でナマエに似た女の動画、」

「あああああ!うっさいねん!ただのナマエの写真で抜けるお前が異常やわ!」

「何をおかしなことを言うてるんや。写真だけやなくてナマエの残り香で、」

「二人とも・・・本人おるのにそういうこと言うのどうかと思うで・・・」

二人とも変態ではあるが大事な幼馴染だ。

「私別々に寝たいんだけど」

家に帰ることは早々に諦めたがこれだけは譲るわけにはいかない。毎年これで碌な目に遭っていないのだ。

「なあああああに言うてんねん!誕生日プレゼントでええから一緒に寝ようや!」

「俺らの年に一度のお願い事聞いてくれへんのか?」

「・・・昨日もお願い事されたような・・・」

「「誕生日は年に一度や!」」

「・・・わかったよ」

ふぅ、と息を吐く。毎年同じように言いくるめられている気がする。まぁ、誕生日は年に一度だしいいか、と思うあたり私も双子に甘いなと思う。

「ナマエはここな」

侑が指さした場所はもちろん二人の間だ。年頃の男女が一緒に寝るのは問題なのでは?と思うが宮母曰く三人でなら双子が牽制し合うからナマエちゃんは安全よ!多分!だそうだ。完全に安全だと言い切られていないあたり恐ろしいが確かに二人が牽制し合っている間は安全だろう。大人しく二人の間に収まると横からぎゅうぎゅうと押しつぶされる。これも一緒に眠りたくなかった理由の一つだ。

「サム離れろやナマエが狭いやろ」

「お前が離れればええんやろ」

うるさくてなかなか眠れない。私を挟んでいる分蹴り合い、殴り合いの喧嘩がないだけマシなのだがその分激しい口論が繰り広げられる。

「これ以上喋ったらもう一生口聞かない」

もちろんそんなわけないがこの言葉は何よりも双子に効果的だ。瞬時に黙り込んだ双子が視線だけで戦っているのを感じた。もう私を間に挟まなくて良いんじゃない?二人でやりなよ、とは思うがうるさくはなくなったため寝ようと思えば眠れる。

「おやすみ」

双子の返事がなかったのはおそらく私の言葉を大人しく聞いたからだろう。










翌朝いつも通りの時間に目を覚ましてみると思った通り体が動かない。侑と治の足がそれぞれ片足ずつ私の腹に乗っていた。いつものことだ。比較的目を覚ましやすい治の方の体を揺すり起こす。

「なんや・・・ナマエ?夜這いに来たんか?ナマエなら大歓迎や・・・」

少々寝ぼけているため意味のわからないことを言っているのは許してやろう。

「なぁナマエツムが起きる前に二人でええことしようや」

治の足は退けてもらえたとはいえ私の腹にはまだ侑の足が乗っている。あまり身動きの取れない体に治の手が這う。

「治、やめときな・・・」

「何してるんやサム!ナマエの腹なんか触って!羨ましいやろ!俺も、」

「ちょっと触んないで」

胸に伸びてきた侑の手をぺしりと叩く。

「贔屓や!ついにナマエはサムを選んだんか!?」

「侑の足が邪魔で動けなかっただけやから。」

「そうやぞ。恨むならお前の寝相の悪さを恨みや」

「どうせサムも足乗せてたんやろ!俺のことも起こせや!」

「お前は起こしても起きんくせにナマエセンサーは繊細やな。今度からお前起こすときはナマエに触るからな」

「朝っぱらからうるさいねん!騒いでないでさっさと準備しぃや!」

寝室から降りてきたおばさんが朝イチで双子にゲンコツを落とす。うわぁ、痛そう・・・とは思うが自業自得だ。

「ナマエちゃんいちごヨーグルト好きやんな!ちゃんと買っとるで」

「ありがとうございます」

「おかんはナマエには甘い・・・」

「当たり前やろ!あんたらが無理を言ってこうなってるんやから!優しいナマエちゃんに感謝しぃ!」

ボソリとつぶやいた侑の声はおばさんに届いていてもう一発ゲンコツをもらっていた。





「なぁ、本当にこれでええの?」

「何言うとるんや。昔からお前からの誕生日プレゼントはこれって決めとるやろなぁ、サム」

「ナマエから俺らがそれ以外を受け取るときはお前がどっちかを選んだ時や」

歳を重ねるにつれ、自分は二人からきちんと誕生日プレゼントをもらっているのに自分があげるのはこれでいいのか、と申し訳なくなるが二人はむしろそれ以外の誕生日プレゼントは受け付けていないという態度だ。

「はようプレゼント欲しいわぁ」

にっと笑った侑が私の顔の高さまで腰をかがめる。

「ツムにはせんでもええけどな」

治も同じように腰をかがめて待っている。

「・・・・誕生日おめでとう、侑、治」

自分の左右にある頬にチュッチュッと軽く口付ける。

「「俺を選ぶときはちゃんと唇にしたってな」」

いつも私をバレーと同じくらい、一番に考えてくれている侑と、いつだって私だけを見ていてくれている治。ずっと三人でいられたらいいのにと願いながら二人の手を取った。




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