R18とまではいきませんが下ネタを含みます。閲覧の際はご注意ください。









「なぁ、ミョウジええか?」

北は責任感あるし、真面目だし、ちゃんとしてる男だし。そういうことは結婚するまでしないと高を括っていた。だってそう思ってそうじゃないか。なんなら口付けすら責任が取れるようになるまではしないのではとすら思っていた。しかしそれはただの想像に過ぎず、蓋を開けてみれば二人きりになれば口が腫れるほど吸い付いてくるしビリビリと感覚がおかしくなるほど舌を突いてくるし。もちろん軽いというわけではなくて一年は待ってくれたし、人前でそういうことはしない。だから油断していたのだ。

「今日うちには誰もおらん言うたよな。着いてきたのはミョウジやで」

「ま、待って北!そ、そういうこと考えてなくて・・・。ほ、ほら私初めてやし緊張すんねん!」

「俺も初めてや」

「し、知っとる!知っとるけど!北みたいに鋼のような心臓はしとらん!」

「俺も緊張しとる」

「嘘や!!!」

「ほんまやで」

確かに今日の北はいつもよりほんの少し返事が遅れていたような気がするし、いつもと違って私を家に入れるときの表情も硬っていた、ような気がする。いや、だって分からんもん。北はポーカーフェイスすぎる!

「こればっかりは練習できんしな。でもたくさん勉強したんやで」

「べ、べべべ勉強!?」

待って。北が言ってることと私が考えていることは本当に合っているのだろうか。合っているのだとしたら北は男女のその・・・そういうことについて勉強をしたと!?え、今の北のスマホの履歴どないなっとるん!?見てみたい!

「後輩に少しな」

「後輩!?待って北。あんた後輩って言った!?」

「双子に教えてもらったんや」

「よりにもよってあいつらか!?」

そんな恥ずかしいことを・・・・!後で揶揄われるのは私なんやで!?双子もどういう感情で北にそういうことを教えたん!?嬉々として・・・というよりは戦々恐々として教えてそうやな。北を揶揄うなんてあいつらにできるわけないよな。教えている立場にも関わらず正座をして北の前に座る双子が想像できる。

「侑は余計なこと言うから間違ったことを教えてるかもしれへんよ!」

「大丈夫や。俺が聞いたのは治やから」

なん、やと・・・。もちろん治もモテるのは分かっている。しかし女をよく泣かしているのは侑で、治は食いもんばっかでそう言うイメージと結びつきにくいから・・・。

「なんや、お前ら知り合いなんか?」

「知り合いも何もあいつら中学同じで会うたびに私のことおちょくってくんねん!」

「・・・それは大変やな。あいつらにちゃんと言い聞かせる」

一瞬北の背後にブリザードが吹き荒れた気がするが・・・気のせいだと思うことにしよう。お疲れ様、双子・・・。

「そ、それにしても治かー。あいつにどう聞いたんや?」

「どう、て。普通に。セ」

「あああああ!北の口からそんな言葉聞きたくない!」

「お前が聞いたんやん」










「なぁ、お前ら体を繋げたことあるんよな」

「は?」

「体を・・・つなげる?」

部活も終わってさぁ、帰って飯だという時に北さんに声をかけられたのだが、我らが主将の口から出たとは思えない言葉に思考が止まる。

「体を繋げるってセッ」

「ツム!北さんやで!」

「それもそうか。合、体?戦隊モノとかのあれか?」

「やめろ!卑猥にしか聞こえん!」

「だって体を繋げるの意味がわからん!セックスくらいしか思いつかん!」

「北さんの前でなんてことを言うんや!」

「純情ぶんな!お前もこの前!」

「侑、治。お前らが考えたことで正解や。セックスのことや。」

今にも始まりそうだった喧嘩が収まった、というよりは二人して呆けた。

「北さんの口からそんな言葉が出るなんて・・・」

「そういうことならお前が得意やろ。じゃ、」

いつもと少し様子の違う北を恐れ治は帰ろうとするがもちろん侑はそんなことを許さない。

「北さん、ラブラブえっちなら治の方が詳しいと思うで。俺は女泣かせてばっかりやからな」

「侑、それはええことやないで。自慢げに言うな」

「ハイ」

怒られる侑を他所に治はなんてことを言うのだと片割れに腹を立てる。北さんの相手ってナマエちゃんやん!何が楽しくて仮にも初恋の相手と部活動の先輩のあんなことやそんなことを指導しないといけないんや!

「治。教えてくれるか」

「ハイ」

あくまで尋ねている形なのに拒否権がないように感じたのは何故だろう。

「まずは雰囲気を作るんです。相手がそういうことを許可してくれるような」

「それは流されてるんとちゃうか。ちゃんと合意の上でせんとあかんで」

「・・・ハイ」

一言目から怒られた治に侑が腹を抱える。俺・・・教えてるんよな?北さんに・・・。

「前戯の時はちゅうをたくさんした方がええと思います」

ナマエちゃんそういうの好きそうやしな・・・。

「あぁ、それなら大丈夫や」

大丈夫や・・・!?いつもチュッチュチュッチュしとるいうことか!?北さんが!???責任取れるようになるまでそういうことをしなそうな北さんが!?あ、今そういうことのヤリ方を尋ねられているんやった・・・。早くもぐるぐると頭が混乱してきた。

「あの・・・やり方は知っとるんですよね?」

「たくさん調べたからな。何か注意した方がええこととか教えて欲しい」

「・・・相手も初めてなら前戯長めにした方がええと思います。濡れてても痛いと思うんで、ほぐす感じで。指でええとこ見つけたりしながら」

「なるほどな」

「あとは、相手の表情をよく見る・・・とか。いやいや言うててもやめない方がええ時があるんです」

「嫌がってたらやめた方がええんちゃうか?」

「だから相手の顔をよく見るんです。本当に嫌か、恥ずかしからいやいや言うてんのか見極めるんです」

「ほぉん、そういうこともあるんやな」

「ハイ」

「他何かあるか?」

「他・・・もう勘弁してください」

「はは。すまんなぁ。色々聞いて。助かったわ」

自分で調べるだけでなく後輩にまで聞いて。北さんは本当にナマエちゃんのことを大事にしとるんやな、と思う。俺らみたいに適当に食ったりせず、ちゃんと好きな子だけを一途に。


「北さん!結局一番大事なのは好きって気持ちや!好きってたくさん伝えることや!」

カバンを持って更衣室から出ようとしていた北を呼び止めた治に侑はギョッとする。北もキョトンと瞳を丸くするがふっと目を細める。

「そうやな。愛してるって伝えるための行為やからな」

当たり前のように言ってのけた北に治はああ、これは一生叶わないなと笑った。









「そういうことやから安心して身を任せたらええよ」

何がそういうこと、や。余計不安やわ!隣にいるだけでも、みているだけでも心臓がバクバクと忙しく働いているのに。北にそんな深いところまで触られたら、いっぱいちゅうなんかされたらおかしくなってしまうやん。

「嫌やったらやめる」

北はいつだって私の意思を尊重してくれる。あと十年待って、と本気で言ったら待ってくれるだろうし、そういうことをしたくないと言っても、恐らく私を捨てたりはしない。そんなの断れるわけないやん。

「いややない・・・」

俯いたナマエの小さな声すら北は聞き取っていて、嬉しそうに笑う。

「俺な、最近このままでええんかなって思うてきたんや」

「どういうことや?」

「ミョウジはいっぱい俺に愛をくれる。やから俺もいっぱい返したいしもっと欲しい」

するりと自分の頬を撫でた男の瞳はいっそ苦しくなるほどの熱が籠っている。

「ミョウジ愛しとる」

柔らかい布団の上に押し倒されたナマエに不安の気持ちは無かった。ただこの溢れんばかりの愛をどうしたら溢さずに全て受け取れるのかと考えながら目の前の熱い体を抱きしめるのだった。


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