小説(雷霆/番外編) | ナノ

とある野営時のヒトコマ


「性懲りも無く、まだ生きていたのか!」

「はっ、ホントに命根性が汚ぇ野郎だな」

 野営中。それを守るライとニノの前へ現れた覆面ビキニパンツ男は、怯え後退りをするものの時既に遅し。この二人、普段は言い合いが堪えないが、戦いに於いてのコンビネーションだけは、なかなかである。

「いくよ、ニノ!」

「了解。それじゃま、手始めにっと!」

 グルッと杖を一回転。その動きを合図として、地面上を放射線状の閃光が走った。

 一瞬にして逃げ場を失った覆面がたじろいだそこへ、ライの剣が背中を突く。ふらつき地面へ突っ伏したと同時、張られた閃光は灼熱の業火を燃え盛らせたのだった。

「全く……カンダタの奴、僕らを追ってきたのか?」

「さ〜ぁねぇ。でもこれで奴も漸くくたばったんじゃね?」

 いまや炭の塊となったビキニパンツへ目を向けて、二人は呑気に喜び合っている。

 勇者一行と雖も一人は子供、一人はチンピラ。手加減なんてあったものじゃない。
 それぞれに、最大のトラウマを植え付けたカンダタが、よほど許せないと見える。

 息の根を止めたのを確認すると、幾何の憐憫も無しにテントへと戻ってしまった。

 実のところ、先程のビキニパンツはカンダタでは無く、殺人鬼と言う名の人型魔物であったが、二人がそれを知る筈は無い。
 ……というより、奴に対して頭を働かせたくないのである。取り敢えず、問答無用で“止留めてしまえ”といった所だろう。

 こうして二人は、魔物達の中で“殺人鬼殺し”として、名を馳せて行くのだった。
 



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -