「性懲りも無く、まだ生きていたのか!」
「はっ、ホントに命根性が汚ぇ野郎だな」
野営中。それを守るライとニノの前へ現れた覆面ビキニパンツ男は、怯え後退りをするものの時既に遅し。この二人、普段は言い合いが堪えないが、戦いに於いてのコンビネーションだけは、なかなかである。
「いくよ、ニノ!」
「了解。それじゃま、手始めにっと!」
グルッと杖を一回転。その動きを合図として、地面上を放射線状の閃光が走った。
一瞬にして逃げ場を失った覆面がたじろいだそこへ、ライの剣が背中を突く。ふらつき地面へ突っ伏したと同時、張られた閃光は灼熱の業火を燃え盛らせたのだった。
「全く……カンダタの奴、僕らを追ってきたのか?」
「さ〜ぁねぇ。でもこれで奴も漸くくたばったんじゃね?」
いまや炭の塊となったビキニパンツへ目を向けて、二人は呑気に喜び合っている。
勇者一行と雖も一人は子供、一人はチンピラ。手加減なんてあったものじゃない。 それぞれに、最大のトラウマを植え付けたカンダタが、よほど許せないと見える。
息の根を止めたのを確認すると、幾何の憐憫も無しにテントへと戻ってしまった。
実のところ、先程のビキニパンツはカンダタでは無く、殺人鬼と言う名の人型魔物であったが、二人がそれを知る筈は無い。 ……というより、奴に対して頭を働かせたくないのである。取り敢えず、問答無用で“止留めてしまえ”といった所だろう。
こうして二人は、魔物達の中で“殺人鬼殺し”として、名を馳せて行くのだった。
|