「あの? まだ、何か?」
目の前で、これ見よがしな態度を取られては、そう聞かざる得ない、というもの。 忽ちに顔を明るくした兵士。またもやビシッと、大袈裟なまでの敬礼を見せ……。
「実は昨晩の騒ぎに紛れて、カンダタが脱獄した次第であります!」
……と、報告してくるではないか。
一度ならまだしも、二度もカンダタにしてやられる辺り、ロマリア国の警備体制が“どうかしてる”のは間違えないだろう。
“呆れ返って言葉も出ない”と、見合わせたライ達の視線がそれを証明していた。 そして――予想通りというか、兵士が頼み込んできたのは、首領カンダタの捕捉。
(また、あの変態ビキニパンツを追わなきゃいけないのかー……。勘弁してくれよ)
心の中で嘆き、ライが肩を落とす。
ただ、今回の依頼は“旅先で遭遇することがあるようならば捕らえて欲しい”ということなので、一同に胸を撫で下ろした。
ロマリアの正面門を通り抜ける最中。
四人の目が、自然に城の方へと向けられる。“この国には散々な思い出しか無い”と。全員が、感想を一致させたのだった。 |