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ロマリアの死闘(2/31)
 
「はー……。全く冗談じゃないよね」

 開口一番、ライが重い溜め息を吐く。

 城を出た直後。“呆れた”と、まざまざと分かる顔が、ロマリア城へ向けられる。

「みんなも止めないしさ。先王が間に入ってくれなきゃ、大変だったんだからね!」

「災難だったな。だけどよぉ、あの王様よか、ライの方が幾分マシじゃねぇか?」

「確かに。享楽しか頭にない方だしな」

「はっ、くれるっうんだから貰っとけばいいのによ。討伐より楽しかね?」

 薄情なことに、他人事と楽しむ仲間達。

 仲間に好き勝手をほざかれ、ライが膨れっ面をすると、一斉に大笑いをかました。

 ――話は、数十分前に遡る。

 カンダタの投獄を見届け、冠は無事に国王の元へ。万事が終了して見えたが……。

「流石は勇者というだけあるな。そうだ、礼として王の座を譲ろうではないか!」

 ……と、言い出すではないか。

 ライが“冗談だろ”と、思ったのは無理もない。しかし、国王の方は至って本気。

 王が王なら、重臣も重臣だ。

 王の破天荒を止める重臣は、誰一人としていない。早速、ライを“陛下”呼ばわりする始末。本当に、有り得ない国である。
 


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