「はー……。全く冗談じゃないよね」
開口一番、ライが重い溜め息を吐く。
城を出た直後。“呆れた”と、まざまざと分かる顔が、ロマリア城へ向けられる。
「みんなも止めないしさ。先王が間に入ってくれなきゃ、大変だったんだからね!」
「災難だったな。だけどよぉ、あの王様よか、ライの方が幾分マシじゃねぇか?」
「確かに。享楽しか頭にない方だしな」
「はっ、くれるっうんだから貰っとけばいいのによ。討伐より楽しかね?」
薄情なことに、他人事と楽しむ仲間達。
仲間に好き勝手をほざかれ、ライが膨れっ面をすると、一斉に大笑いをかました。
――話は、数十分前に遡る。
カンダタの投獄を見届け、冠は無事に国王の元へ。万事が終了して見えたが……。
「流石は勇者というだけあるな。そうだ、礼として王の座を譲ろうではないか!」
……と、言い出すではないか。
ライが“冗談だろ”と、思ったのは無理もない。しかし、国王の方は至って本気。
王が王なら、重臣も重臣だ。
王の破天荒を止める重臣は、誰一人としていない。早速、ライを“陛下”呼ばわりする始末。本当に、有り得ない国である。 |