「そうそう、一つアドバイス! 好きって自覚したら、素直になんなきゃ駄目だよ」
ビシッと小指を立てると声を潜め……。
「それと、リョウさんには、ライが女の子だって知ってもらうこと。約束だよ?」
……小指を絡め、強引に“指切りげんまん”をさせて、子供っぽい笑顔を見せた。
「一つじゃないじゃないか……」
「いいの、細かい事は気にしない! 女の子には恋って、凄く大事なんだからねっ」
“恋愛は女の子の活力だ”と、力説すると、アリシアの腕がライの肩へ回される。
まるで、顔を見せまいとしてる動作。
「私は、ライが幸せになるの日を……ずっと、祈ってるから……ね」
綴る言葉が、次第に掠れてゆく。言葉が終わった時、涙が、ライの頬へと落ちた。 ずっと我慢していたのだろう。絶え間なく流れる涙が雨垂れのように降ってくる。
「うん、ありがとう。……じゃあ」
ライの瞳も、涙で霞んだ。
“どうせなら、笑顔で別れたい”
口に出さずとも、お互いそう誓っていた筈だった。抱き合う二人は、泣きながら何度も別れを惜しむ言葉を喚いていた……。
一方、忘れられた感のある男三人。村の門に凭れ、遠目にその様子を眺めていた。
「あいつら、今生の別れみてぇに惜しんでるけどよぉ……誰か教えてやれよなぁ」
「興奮してるようだから、忘れているのだろう。まあ、口出しするのも野暮だな」
「馬鹿じゃねぇの? カザーブなんて、いつでもルーラで来れるってのによ」
“出発は、だいぶ先だろう”と。
三人は同時に長い溜め息を洩らしながら半ば呆れ果てた顔を見合わせたのだった。 |