cross×時空間の果て×cross | ナノ

cross×時空間の果て×cross(65 / 65)

 
「ニノ、これ……これって!」

 興奮して呼び掛けたが、返事など不可能だった。ニノは棺桶手前ギリギリである。

「と、とにかく回復しなくっちゃ」

 ――漸く、黄泉比良坂から帰還を果たしたニノ。もの凄い目で、リョウを睨んだ。

「ったく、マジ死ぬかと思った」

「すまなかったな。しかし、ライに断りもせず持ち出した、君にも非はあるぞ」

 シレッと言われて、ニノは息を飲む。

「……そりゃあ、オレが悪かったけどよ。
 せっかくだから、驚かせてぇじゃんか」

「ニノ……お前」

 ペンダントに目を落として、顔を緩ませた。外した鎖を、ライの首へ掛けてやる。

「あいつらとの思い出だからよ。あんたが持ってんのが、一番いいしなっ」

 ライの胸元で、美しく輝くペンダント。

 それに負けないくらい煌めいたニノの金と紺碧に、ライは何故か胸を熱くさせた。

「あ、ありがとう」

 恥ずかしさの余り、ライの視線は下へと落ちてゆく。目の端に見えたのは、香珠。

 リョウとの絆を繋ぐ香珠。ニノとを結ぶペンダント。更にそれは、遠く遠い時空間の彼方にいる、ルティア達を繋いでいる。

 美しい賜物で繋がれた絆に、様々な想いを抱きながら、天へ瞳を馳せるのだった。


La Fin

 

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