◇杜 夏月◇ 「あれっ?ここってさ〜アリアハンじゃない?ほら、しかもルイーダの酒場の前!久しぶりだね〜」激しい揺れの原因は何か、探って来なさい!と。命令口調でルイーダに、半ば強制で店の外に出されたニノの耳に。最初に響いたのはなんとも呑気過ぎる…気の抜けた少年の声だった。自分に似た金髪に、緑の眼が特徴だ。「えっ!私、失敗したの?もしかして…どうしよう…開拓村に急いで戻らなきゃ行けないのに…」「俺の女王様、そう慌てんな。何ももう一回、ルーラすりゃいいだろ?」「あ、でも…せっかくアリアハンに戻れたんだから。少しだけ居たいかも」しかも人影は、一人だけには留まらず。銀髪の盗賊風の男。青い髪の魔法使いの美女。(内心、彼女に向け。ニノが口笛を吹いたのは…言うまでもない)そして…もう一人は。何処かライに似た、黒髪の少女だった。(さ〜てっと。面倒臭ぇ事になりそうだな…兎に角、逃げるか?)しかし彼の後方。店の入口では…ルイーダが仁王立ちで自分を見張っている。その凍り付く視線に、仕方なく歩を進めたニノであった。